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漂着して……


 ひゅるるるるるるる。

 兎幸の個人用未確認飛行物体の巨大なマジックハンドに片手片足を掛け、スナコは黄金に光る巨大なお宝らしき物を凝視した。


『所で兎幸はこのUFO一人乗りだから誰も乗せないとか言ってなかったですかな!?』


 彼女以外誰も聞いていないにも関わらず、律儀にホワイトボードに片手で書いているのは、砂緒なりのプロスナコ根性であった。


「もーっ! 何で込み入った時にそんな事聞くの? 魔改造されてキャパが増大したんだよっ!」

『あっ成程……すまぬでござるよ!』


 ほぼ怒らない兎幸が珍しく怒って即座に謝罪するスナコであった。


「もう良いから、上に来たよ!」

『おお……』


 兎幸に言われて改めて見ると、黄金に光る物は想像以上に巨大であった。


「何だろこれ?」


 兎幸が首を傾げるように、一般的に想像される普通の金塊と違い、ごつごつしていびつな形状をしていた。むしろ何か機械か何かが風化した用な感じにも見える。


『所々明らかに人工的に鋭角的な形状をしてますなあ、見れば見るほど不思議な金塊です』

「ちょっと見て!!」

『何じゃ??』


 兎幸が指を指す方を見ると、何か巨大な文字の様な物が見えた。


「何て書いてあるの?」

『うーん、しいて言えば【千】ですかね』

「せん?」

『ちょっと向こう側にも同じ文字がありますね』

「えーー?」


 今度はスナコが発見した所に向かうと、対照的な位置に同じ用な千という文字があった。


『千……えっこれって……??』


 スナコのあまり賢くない脳にピコーーンと何かが閃いた瞬間であった。突如として深い水の底から何者かが物凄い勢いで飛び出して来た。

 ぶくぶくぶく……ざばあああああああっ!!


「きゃーーーーー!?」

『ドラゴンだ、お宝を守るドラゴンですよっ!!』


 等と状況を解説しているスナコめがけて大口を開けて襲い掛かって来る。


「大きい!!」

『本当だ、凄く大きい!』


 襲われてる最中でもボードに書くプロスナコ。

 カチンカチンと大あごが何度も二人を噛もうとして空振りをする。


「早く逃げよう」

『賛成です』


 等と二人が決意した直後であった。


「うおおおおおーーーーーい!」

「何やってんだーーー!!」


 遠くから迫りくるセレネやミラの叫ぶ声が聞こえた。


「ややこしい時に来たね」

『おおーーい! 来るなーーー!!』

「スナコちゃん、聞こえる訳ないじゃん!」

『あっ』


 スナコはプロ根性を取るか、少年の声で叫ぶか一瞬逡巡した……

 ガブッ!!

 その瞬間、その隙を突かれてスナコは巨竜に食べられてしまった。あとにはちぎれたマジックハンドの根本だけが残された。

 ザバーーーーン!

 スナコを口に入れたまま、水中に帰る巨竜。


「きゃーーーースナコちゃん!?」

「どうした君!!」


 叫び声を聞いて、紅蓮アルフォードが物凄い勢いで猫呼と乗るボートを漕いでやって来た。


「スナコちゃんがドラゴンに食べられちゃった……」

「ふーん」

「砂緒が、なんですって!?」


 紅蓮と猫呼、対照的な反応であった。


「どうした、何があったのよ??」

「兎幸先輩、スナコはどうした??」


 雪布留とセレネ、そしてミラとジーノの乗るボートも到着した。



「かくかくしかじかという事で、竜に食べられちゃった」

「スナコーーーーーッ!!」

「なんてこった出来たばかりの新入部員が……」


 ミラとジーノは叫んだり肩を落としたり常識的な反応をした。


「……死んでは無いとは思うが、自分で出れんのか?」

「死んではないでしょうけど、助けた方が良いのかしら??」

「ま、死ぬ事はないでしょーけど、どうすんの?」


 雪布留にセレネに猫呼は、最近伽耶クリソベリルが千岐大蛇に飲み込まれて生還したばかりなので、いまいち慌てふためく事は無かったから、ミラとジーノからは奇異に見えた。


「部長、おかしいですよ! どうしてそんな落ち着いてるんスか!?」

「落ち着けって、スナコは邪龍に襲われたせいでかなり頑丈になっちまったんだよ!」

「最近何でも邪龍言って無いスか?」


 ぶくぶくぶく……

 ミラが珍しくセレネに食って掛かっている時であった。先程と同じように水面が盛り上がる前兆現象が起こり始めた。


「何か来るよ! 警戒してっ」


 いち早く紅蓮が危険を察知して皆に呼び掛ける。

 ざばああああああっ

 先程と同じように遂に皆の前に巨竜が姿を現した。


「こ、これは……超巨大だが、黄金糖衣竜の一種だ! 昔神聖連邦帝国の大図書館で見た百科事典に載っていたよ……」

「黄金糖衣竜……拾って来た岩だとか気に入った物を抱いている内に、体から分泌した黄金でメッキしてしまうという伝説の竜……」

「本当なの? なんだか凄く嘘っぽいわ」


 雪布留が頬に手を当てて呟いた。


「嘘も何も目の前におるじゃろがい!」


 セレネは血走った目で叫んだ。皆、もうスナコの事は忘れていた……

お読みいただいてありがとうございます。


主人公3人

砂緒(すなお)  元現代日本のデパート建屋だったが、魂が発生し百年後に崩壊してセブンリーフに異世界転生して来た。硬くなる重くなる電気が出るなどの地味スキルを持つ。中程度の怪力で特に強く無い。気分次第で異常に完成度の高い女装スナコちゃんに変身する。


雪乃フルエレ  ヒロイン①【海と山とに挟まれた小さき王国】の 夜宵姫(やよいひめ) だったが家出して色々あってセブンリーフ大同盟の女王になってしまった。金髪の天使の様な美少女。魔導学園では 雪布留(ユキフル)と名乗る。


セレネ  ヒロイン②ユティトレッド魔導王国王女で髪の長い美少女だが異常に強い魔法剣士。最初嫌悪していた砂緒に猛アタックされフィアンセ同然になる。フルエレを女王に推挙した張本人。討伐部部長。


ユティトレッド魔導学園関係者

ミラとジーノ セレネの子分兼大切な友達。

ユーキュリーネ・カナルト・ヒューゴー 生徒会長でユティトレッド重臣の娘。

サトー スナコの隣の席の目立たない生徒。

学園長 ユティトレッド魔導王国の現王でセレネのおじい様。立派な長い髭がある。


仲間

依世(いよ)  雪乃フルエレの妹。 美柑(みか) と名乗り紅蓮と冒険者をやっていた。探していた姉、夜宵姫・フルエレと遂に再会したが喧嘩が絶えない。


猫呼クラウディア  東の地(中心の洲)クラウディア元王国の元王女。失踪中の兄猫名を探してフルエレ達の仲間になった。今は闇ギルドの頭目をしている。背の低いおしゃまな付けネコミミ少女。


兎幸  うさこ。リュフミュラン天球庭園の氷の博物館の館長。月で魔改造されて微妙に成長した。魔ローダーで補助機能になったり砂緒の女装に強力したりする心強いサポート係。


イェラ  元女戦士の褐色の背の高い美人。厨房で料理を作っている。麺料理屋台のチェーン展開するという野望を持つ。口数少ない性格だが砂緒の事が好き。


シャル  猫呼の部下闇ギルド員でボディーガード。腕がぐんぐん伸びる。

イライザ  喫茶猫呼店員。ぜんぜん意地悪く無い普通の子。

ニィル  イライザの兄で元浪人であったが砂緒セレネに拾われ新ニナルティナ軍幹部に。

有未レナード公  旧ニナルティナ王国の軍師だったが、ポンコツで無害だったので新ニナルティナの代表に選ばれた。雪乃フルエレ女王を盛り立て、東の地【神聖連邦帝国】との関係に悩む。


ウェカ王子 ラ・マッロカンプ王国の王子。御幼少のみぎりに幼稚園留学生として出会った依世に一目惚れしたが、彼女の裏の仕事を目撃し魔法を撃たれ死に掛けてしまった。

メア ウェカ王子の理解者でセクシーなメイドさん。しつこいくらいに玉の輿をねだる。


まおう抱悶(だもん)  可愛い熊耳の美少女だが恐ろしい魔力を秘める。砂緒と知り合った関係で雪乃フルエレ女王と大同盟を組む事となった。


神聖連邦帝国(東の地・中心の洲)

紅蓮アルフォード  【神聖連邦帝国】第二百十二代聖帝の息子。西の島、セブンリーフに単身まおう討伐を命じられて渡って来たが、美少女美柑(依世)と知り合い篭絡され、なかなか討伐する気が起きず、いつもブラブラしている。実は劇中一番強い人物だがなかなか本気で戦わない。爽やかでイケメンで真面目な風情に反し、実は人一倍女の子に興味があるムッツリスケベ。


瑠璃ィキャナリー  るりぃきゃなりー。神聖連邦帝国四旗機 桃伝説(ももでんせつ) の搭乗者であったが、紅蓮のサポートとしてセブンリーフに渡り行き倒れ、ウェカ王子に助けられ以降居候になる。かなり強い騎士だが、当地と故郷の間で悩む事になる。モデルは船〇リリィ。


貴城乃シューネ たかぎのシューネ、神聖連邦帝国重臣で主人公達と度々戦う。

猫弐矢 猫呼の兄でクラウディア王国現当主。父王である大猫乃主を失う。


魔法メカ・ロボット

魔ローダー  全高25Nメートルの騎士の鎧、プレートアーマーをそのまんま巨大化した様な、魔法力で動くロボット。魔法や物理等殆どの攻撃が効かず、魔ローダーの魔法エネルギーが乗った剣攻撃しか効かない。


蛇輪、日蝕白蛇輪  へびりん、ひばみはくじゃりん。砂緒とフルエレとセレネが交代で乗る主役機。劇中唯一の複座型で、表面は鏡の様なテカテカのメッキ調の銀色で、装甲各所に金色の華麗な装飾が施され非常に成金趣味な見た目をしている。頭部に蛾の触覚の様な巨大な二本の角があり、背中にはド派手な巨大な羽を背負い鳥型の飛行形態に変形出来る。実は砂緒の前世の前世、【等ウェキ玻璃音大王】が、ル・スリー白鳥號を参考に真似して作った機体。両手の尖った爪で突き刺した対象からスキルや能力をコピーする事が出来る。また砂緒の能力で巨大化したり強力な雷攻撃を発したりも出来る。


ル・スリー白鳥號  はくちょうごう。【まおう抱悶】の先祖である【王永嶋フィロソフィー王】が搭乗していた純白の機体。蛇輪に似ているが、よりヒロイックな形状をしている。古代にクラウディア王国で建造された。今は 【千岐大蛇】(チマタノカガチ) 退治の時に紅蓮が偶然入手し扱いに困惑している。劇中最強の機体で数々の魔ローダースキルが隠されている。かつてセレネと砂緒が制作させた【最強の魔法剣】を偶然所有しているが、標準装備の【魔法の刃の剣】も使用出来る。

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