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王子様実在事案 ‐.


 ー次の日。

 キーーンコーーンカーーンコーーン

 最後の授業のチャイムが鳴った……


「ふにゃっ? もう終わったのね……ふぅ人類史に残る激しい戦いだったわ」


 直前まで寝ていた雪布留と名乗る雪乃フルエレ女王は、ガバッと起き上がった途端に口走った。


「……布留さん昨日も同じ事言ってました」


 セレネの言葉を聞いて、雪布留は目が合った野良猫の様にハッと目を見開いた。


「もしかして同じ日を繰り返しているの?」

「いえ布留さんが成長してないだけです!」

「まっ」

『セレネ雪布留、今日はアレでしょ? 早く行きましょうよ』


 まだまだユーキュリーネの肩を持ったスナコの事が気に喰わないセレネは、軽く彼を無視してスクッと立ち上がった。


「じゃ、予定通り出発しましょう!」

「早くしないと先生が来ちゃう、行きましょーーっ!」

『はいはい』


 フルエレ一味、討伐及び喫茶文化研究会の一行は取り敢えず部としての活動を再開しようと、今日は早速授業終わりに西の海岸にある【大ダンジョン・ドドロの森】に行く事にしているのだ。部館前にはフルエレのサイドカー魔輪とセレネの魔輪、それにミラとジーノの魔法アシスト付き自転車、それに兎幸のUFOにぶら下がる猫呼の姿があった。


「この一行で行くのってなかなか恥ずかしいわねえ」

『兎に角、集団暴走行為だけは止めましょう。他チームとの血みどろの抗争に発展してしまいます』

「せんわっ!」

「他チームってにゃによ?」

『チェーン振り回したレディースに決まっておるでしょう』

「おらんわ! んなもん」

「あたいら魔法アシスト付き自転車なんで、暴走なんてしやせんよ」

「爽やかなサイクリングにしか見えませんぜ」

「よーし、みんな出発よ~~!」


 明らかにミラとジーノにハンデな中、フルエレの能天気な号令で皆は出発した。



 ―ユティトレッド魔導王国、西海岸大ダンジョン・ドドロの森

 この尖った岬の森に入口のある大ダンジョンは、地上から何層もの迷宮が地下深く続き、海の底にまで広がる広大なダンジョンであった。が、過去にあらかたモンスター達が狩り尽くされ、北セブンリーファ社会自体が都会化が進み、冒険者が減少した現在は訪れる者も少なくなって来ていた。


「部長、久しぶりですね!」

「うおーーー探索出来るぞー!!」


 必死に自転車で付いて来たのに、ミラとジーノのテンションは高い。


「ふぅ、本当にするの??」

「ダンジョン探索してどうなるのよ?」

『めんどくさいですなあ』

「お前らな?」


 それに比してフルエレ一味のテンションは異様に低い。


「いつも思うのだけど、何でダンジョン探索するのに冒険者のチーム単位で行くの? 軍隊を組織して圧倒的多数で攻め込めばモンスターも何もイチコロよね?」

『はい、なんで少数のチーム単位で攻め込んで各個撃破されに行くのか理解出来ません』

「そうよねえ、前にフルエレ達がやったみたいに、魔ローダーでバリッてやっちゃえばいいのよねえ」

「うるさいわっ!! ダンジョン探索はそういうもんなんじゃっ!!」


 余りにぶつくさ言うので遂にセレネが切れて怒鳴った。


「そうっスよ、スポーツと思って下さい」

「スポーツにもルールがある様に、ダンジョン探索もチーム単位で行ってモンスターに各個撃破されるのがルールなんス」

「どんなルール?」

『スポーツ? 確かにそう言われれば納得して来ました……』

「納得するんだ」

 

 スナコちゃんが納得した所で気を取り直し、セレネは森の入り口に指を差した。


「よーし、お前ら早速ダンジョンに突入するぞ準備はいいかっ!!」


 とセレネが叫んだ所で入口のトンネル状になっている、鬱蒼とした森の奥から足音が聞こえて来た。

 ザッザッザッ……


『待って下さい、何者かが来ます!』

「先客が居たか」

「え、此処って順番制か何か?」

「別に順番とか無いですが、獲物で取り合いとかはありますねえ」

『何か忘れてない!? 私達は女の子なのよ、もし怪しい人間なら気を付けなきゃ!』

「お前がな」

『ナヌッ!?』


 ザシッザシッザシッ……

 どんどんと足音は大きくなって来る。


「よし、一応武器を持って警戒しとけ!」

「へい!」

「はい」

「でも敵だろうと何だろうとスナコとセレネには勝てないでしょ?」

『そーですねえ』


 そして皆は森の奥の影から出て来る人物を待って固唾を飲んだ。


「あれ、セレネちゃん?? おやフルエレちゃんまで??」


 森の奥から出て来たのは、紅蓮アルフォードであった。


「なんだよ紅蓮かよ」


 セレネは嫌そうに眼を細めた。


「セレネちゃん? え、この御方は!?」

「ていうか本当に王子サマが実在した??」


 ミラとジーノは目を見開いた。



 ユティトレッド魔道王国・地図

挿絵(By みてみん)

主人公3人

砂緒(すなお)  元現代日本のデパート建屋だったが、魂が発生し百年後に崩壊してセブンリーフに異世界転生して来た。硬くなる重くなる電気が出るなどの地味スキルを持つ。中程度の怪力で特に強く無い。気分次第で異常に完成度の高い女装スナコちゃんに変身する。


雪乃フルエレ  ヒロイン①【海と山とに挟まれた小さき王国】の 夜宵姫(やよいひめ) だったが家出して色々あってセブンリーフ大同盟の女王になってしまった。金髪の天使の様な美少女。魔導学園では 雪布留(ユキフル)と名乗る。


セレネ  ヒロイン②ユティトレッド魔導王国王女で髪の長い美少女だが異常に強い魔法剣士。最初嫌悪していた砂緒に猛アタックされフィアンセ同然になる。フルエレを女王に推挙した張本人。討伐部部長。


ユティトレッド魔導学園関係者

ミラとジーノ セレネの子分兼大切な友達。

ユーキュリーネ・カナルト・ヒューゴー 生徒会長でユティトレッド重臣の娘。

サトー スナコの隣の席の目立たない生徒。

学園長 ユティトレッド魔導王国の現王でセレネのおじい様。立派な長い髭がある。


仲間

依世(いよ)  雪乃フルエレの妹。 美柑(みか) と名乗り紅蓮と冒険者をやっていた。探していた姉、夜宵姫・フルエレと遂に再会したが喧嘩が絶えない。


猫呼クラウディア  東の地(中心の洲)クラウディア元王国の元王女。失踪中の兄猫名を探してフルエレ達の仲間になった。今は闇ギルドの頭目をしている。背の低いおしゃまな付けネコミミ少女。


兎幸  うさこ。リュフミュラン天球庭園の氷の博物館の館長。月で魔改造されて微妙に成長した。魔ローダーで補助機能になったり砂緒の女装に強力したりする心強いサポート係。


イェラ  元女戦士の褐色の背の高い美人。厨房で料理を作っている。麺料理屋台のチェーン展開するという野望を持つ。口数少ない性格だが砂緒の事が好き。


シャル  猫呼の部下闇ギルド員でボディーガード。腕がぐんぐん伸びる。

イライザ  喫茶猫呼店員。ぜんぜん意地悪く無い普通の子。

ニィル  イライザの兄で元浪人であったが砂緒セレネに拾われ新ニナルティナ軍幹部に。

有未レナード公  旧ニナルティナ王国の軍師だったが、ポンコツで無害だったので新ニナルティナの代表に選ばれた。雪乃フルエレ女王を盛り立て、東の地【神聖連邦帝国】との関係に悩む。


ウェカ王子 ラ・マッロカンプ王国の王子。御幼少のみぎりに幼稚園留学生として出会った依世に一目惚れしたが、彼女の裏の仕事を目撃し魔法を撃たれ死に掛けてしまった。

メア ウェカ王子の理解者でセクシーなメイドさん。しつこいくらいに玉の輿をねだる。


まおう抱悶(だもん)  可愛い熊耳の美少女だが恐ろしい魔力を秘める。砂緒と知り合った関係で雪乃フルエレ女王と大同盟を組む事となった。


神聖連邦帝国(東の地・中心の洲)

紅蓮アルフォード  【神聖連邦帝国】第二百十二代聖帝の息子。西の島、セブンリーフに単身まおう討伐を命じられて渡って来たが、美少女美柑(依世)と知り合い篭絡され、なかなか討伐する気が起きず、いつもブラブラしている。実は劇中一番強い人物だがなかなか本気で戦わない。爽やかでイケメンで真面目な風情に反し、実は人一倍女の子に興味があるムッツリスケベ。


瑠璃ィキャナリー  るりぃきゃなりー。神聖連邦帝国四旗機 桃伝説(ももでんせつ) の搭乗者であったが、紅蓮のサポートとしてセブンリーフに渡り行き倒れ、ウェカ王子に助けられ以降居候になる。かなり強い騎士だが、当地と故郷の間で悩む事になる。モデルは船〇リリィ。


貴城乃シューネ たかぎのシューネ、神聖連邦帝国重臣で主人公達と度々戦う。

猫弐矢 猫呼の兄でクラウディア王国現当主。父王である大猫乃主を失う。


魔法メカ・ロボット

魔ローダー  全高25Nメートルの騎士の鎧、プレートアーマーをそのまんま巨大化した様な、魔法力で動くロボット。魔法や物理等殆どの攻撃が効かず、魔ローダーの魔法エネルギーが乗った剣攻撃しか効かない。


蛇輪、日蝕白蛇輪  へびりん、ひばみはくじゃりん。砂緒とフルエレとセレネが交代で乗る主役機。劇中唯一の複座型で、表面は鏡の様なテカテカのメッキ調の銀色で、装甲各所に金色の華麗な装飾が施され非常に成金趣味な見た目をしている。頭部に蛾の触覚の様な巨大な二本の角があり、背中にはド派手な巨大な羽を背負い鳥型の飛行形態に変形出来る。実は砂緒の前世の前世、【等ウェキ玻璃音大王】が、ル・スリー白鳥號を参考に真似して作った機体。両手の尖った爪で突き刺した対象からスキルや能力をコピーする事が出来る。また砂緒の能力で巨大化したり強力な雷攻撃を発したりも出来る。


ル・スリー白鳥號  はくちょうごう。【まおう抱悶】の先祖である【王永嶋フィロソフィー王】が搭乗していた純白の機体。蛇輪に似ているが、よりヒロイックな形状をしている。古代にクラウディア王国で建造された。今は 【千岐大蛇】(チマタノカガチ) 退治の時に紅蓮が偶然入手し扱いに困惑している。劇中最強の機体で数々の魔ローダースキルが隠されている。かつてセレネと砂緒が制作させた【最強の魔法剣】を偶然所有しているが、標準装備の【魔法の刃の剣】も使用出来る。

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