表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

730/1100

スナコちっと面ァ貸しな

『あ~あ、セレネ行ってしまいましたなあ』


 スナコは肩をすぼめ両手を広げる猫呼(ねここ)直伝のポーズで、消えたセレネの方を見つめた。


「ちょっと待てや、セレネ様だろ?」

「お前態度デカクね?」


 セレネが消えた途端にミラとジーノの態度が硬化して来た。


 キュキュッ

『ハハハ、気にせずともセレネと私は抜き差しならぬ仲にて、いつもこの様な感じなのです』

「部長が何も言わないからって調子乗んじゃねーぞ」

「従者だろ、ヤキ入れてやろうか? あーん」

『およよ?』


 スナコには暖簾(のれん)に腕押しであった。


「およよじゃねーわ」

「お前舐めてんだろ?」

「ちょっと御免なさい! 私が謝るわ、この子自身も邪竜に襲われてしまって……礼儀とかが壊れてしまったのね……」


 邪竜に襲われて礼儀が壊れたという、女王フルエレの説明にいまいち得心が行かない二人であったが、セレネが忠誠を誓う女王だけに逆らう事は出来なかった。


「……はい分かりました」

「今度から気ィ付けろよ、チッ」


 ミラとジーノはスナコを一瞬睨んで事を一旦収めた。


「所で今日授業中ずっと寝てたから分からないんだけど、いつになったら魔ローダーに乗る授業があるのよ??」

『フルエレ今日魔輪(まりん)で来てたの覚えてます?』


 女王と言いながらも、一日中寝ていたというフルエレの言葉に面食らったが、二人は一応答えた。


「はい、魔ローダー実習は一日掛かりなんで、体育の授業みたいに着替えて一時間で終わるってモンじゃねーです」

「じゃあ今日はもう?」

「今日は普通の授業しかないですねえ」


 よく考えれば当然の事であった。


「そっか凄く残念、じゃあ午後の授業も寝ちゃおっと!」

「はぁ……」


 とか言いながらミラとジーノの二人も此処に入り浸って、授業をサボり勝ちなのであった。


『所でお主らは魔呂に乗るのですかな?』

「はぁ?」

「何だテメー??」


 もちろんこの二人はスナコの正体である砂緒(すなお)が旗機の蛇輪(へびりん)に乗って、幾多の戦場を駆けた事など知らないので、いちいち言う事が勘に障った。


「どうなの、乗るの乗らないの?」

「あたいらは魔呂に乗れるだけの魔力はねーです」

「魔戦車に少々」

『ハハハ、魔戦車とて立派な戦力ですぞ、肩を落とす事はござらん!』


 気にしていた事をズバリ言われて、遂にミラとジーノはプツンと切れた。


「もう我慢出来ねえ、コイツ締めてやろうか」

「……ちょっと待ちな、ジーノ便所行きたくねーか?」

「お、おおじゃあちょっとスナコも面ァ貸しな」

『お?』


 ミラとジーノはスナコの華奢な両手をガシッと掴んで連行しようとする。


「あら良かったじゃない! 早速お友達行動ね」


 フルエレは良く状況が理解出来ていなくて、両手を合わせて喜んだ。


『いやいや、行ったらマズイでしょ女子トイレですよ、今割とセンシティブな問題なんですから』

「何がマズイのか知らんが、とっとと来いや」

「安心しな、此処の洋館のトイレは誰も来やしないよ」

『フルエレーッ止めて下さい!! 人気芸人でも使い方誤ると一発で芸能生命失うくらいに危険な場所ですよっ』


 スナコは叫びながらもズルズルと館の奥に連れられて行った。



 ガチャリッ

 スナコが女子トイレに連行された直後、ドアが開き猫呼(ねここ)兎幸(うさこ)がようやく辿り着いた。


「あら、猫呼に兎幸じゃない何処行ってたのよ! 身体中葉っぱやら小枝がいっぱい付いてるし何してたの!?」

「此処探すのにあっちこっち探検してたのよ」

「探検してたよー」

「何処を探検したらそうなるのよ?」


 ぱんぱんっ

 等と言いつつフルエレは彼女の小枝や葉っぱを落として上げた。


「ふぅーありがと。所で砂緒の奴は何処行ったのよ?」

「あ、それが早速お友達が出来て、面ァ貸しなって言われて首根っこ掴まれてトイレ連れていかれたわっ」


 猫呼は目を細めて呆れた。


「ヤバイじゃないそれ。軍事介入しなくて良いの?」

「何言ってるの? 友情が生まれる瞬間を壊してどうするのよ!!」


 猫呼は何処まで本気なのかとフルエレを白い目で見たが、彼女は終始にこにこしていた。



 ―洋館の女子トイレ。

 此処は学舎からも離れており、その上セレネ達の溜り場ともなっていて、女子トイレも恐れられていて普通の生徒は一歩も近寄らない。


『あのーーーハァハァ……一体何用でしょうか? はぁはぁ』


 バンッ!!

 スナコは個室に押し込められるなり、壁ドンされて睨み付けられる。


「何お前、異常興奮してるんだよ? ふざけてんのか」

『だってスケバンに壁ドンされてるんですよ、ハァハァ』


 クイッ

 今度は顎くいされて顔を持ち上げられる。


「お前、ちっとセレネさんに甘い顔されたからってウチらが許さないよ」

「アンタ、部長の何なのさ?」


 スナコの目が光った。


『タラッタッタッタターー』

「?」

「!?」

『違います?』


 今の意味不明なおふざけで、二人は完全に切れた。もはやフルボッコにしようと腕を振り上げた。


『待って下さい! 分かりました……脱ぎます……上下とも脱ぎます!! それで堪忍して……』


 等と書いた直後、スナコはスカートにスッと両手を入れるとパンツを降ろしにかかった。

 シュルッ


「ややっやめろよ! 別に脱げ言ってねーよ!」

「何やってんだよ、ウチらはそんなえげつない事は言ってねーよ!!」

『脱ぎます……』

「脱ぐなーーーーーっ!!」


 つづく。

ふざけた展開であり大変申し訳ありません、ストーリー展開上どうしても必要な場面なのです。近々魔ローダー実習が始まる予定です。何卒今後もお読み下さると有難いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ