女王会議、めんどくさい
「メア~これは男同士の命を懸けた闘いなんだヨーお前の出る幕じゃない、さぁ剣を拾えかっこつけダサ野郎がー」
ウェカ王子が出て来たメアをぐいんっと横に避けた。しかし無造作に押し退けた腕が、メアの大きな胸にポヨンと当たり形の良い胸がぐにゃっとひしゃげた。しかしウェカ王子にとっては日常茶飯事な上に、割りと興味が薄くたいして無反応であった。
「やんっ」
「早くどけメア!」
しかし逆に紅蓮はそのやり取りを目を皿の様して見ていた。
(手がポヨ~ンと大きな胸に。ごくり、凄い……でも何だ!? この少年にとってはあれくらい普通なのか? 何て贅沢な奴……その上美柑にまで手を出そうなんて……許せん奴だ)
聖帝と姉姫乃ソラーレが支配する聖都ナノニルヴァの城には、メアの様な胸の谷間丸出しのメイドさんは居ない。
カシャッ
何故か背中から激しい憎悪のオーラ発し、さっき負けた事も忘れ紅蓮が恥ずかし気も無く剣を拾った。
「おっ今度こそヤル気になった様だなあ!? じゃあこっちも本気で行くぞぉー」
「こちらこそ、先程までとは一味違うからね。逃げるなら今の内だよ」
ウェカ王子も紅蓮アルフォードも二人共真剣な目で剣を構えた。
「あわわわわわ、私の玉の輿が!? 王子止めて下さい!!」
「もう紅蓮も何急に本気になっているのよ!?」
(もしかしてメイドさんのおっぱいに嫉妬してる??)
メアも依世も何とか二人を止めようと声を掛けたが、二人の間に割って入る事をためらう程の真剣勝負の気を発し始めた。
「ヒャハハハハッやれっやってしまえ我が弟子ウェカ王子よっ!」
と、そこへ突然現れた砂緒が指を差して煽りまくった。
「誰がお前の弟子だっ!!」
「砂緒は無視して! お願い二人共止めて頂戴、ウェカ王子くんも紅蓮くんも……」
「お姉さま? 今の二人はとても」
砂緒は前座で、一緒に出て来ていた雪乃フルエレ女王が二人の前で手を組んで、瞳をうるうるさせてお願いした。
スチャッ
紅蓮は一瞬で剣を収めて依世は軽くコケた。
「フルエレちゃんが言うなら仕方無いね。でも……ウェカ王子とやらか、次こんな無礼があったら決して許さないからなっ」
「ナニ」
「はぁーーー!? 何を隠そうこのウェカ王子は、我が108人の弟子の中でも最弱の男。貴様が我に勝つ事など万に一つも無いわっ!」
何故かウェカ王子が何か言おうとする前に、砂緒が立ちはだかって勝ち誇った。
「何だよオマエは? 勝手にボクの台詞を取るなよ」
今度はウェカ王子と砂緒が言い合いを始める。
「いこ紅蓮、こんなの相手にする事ないよ」
「うん、フルエレちゃんまたね」
「ちょっと依世待ちなさい!」
「フンッ」
依世は紅蓮の手を引いて、これ幸いにとそそくさとウェカ王子の前から消えて行った。
「あーーーーー依世ちゃんがヘンな男と行ってしまったじゃないかっ」
「王子、世間的には貴方の方がヘンな男なんですよっ!」
「ハハハ、メアは冗談が上手いナ~~」
ポンッポヨ~~ン
ウェカ王子が笑いながらメアを押すと、また大きな胸に手が当たって弾力で押し返された……
「ウェカ王子くん、折角だから貴方達もお店に入ってお茶でも飲んで行って!」
雪乃フルエレ女王のお招きで二人は店に入ったのだった。
―店内。
中に入るなりウェカ王子は猫呼と再会した。
「あ、猫呼ちゃんお久しぶり」
「う、うん王子様こそお元気でしたか」
二人は何故か両人とも普段の態度と違って、顔を合わせると赤面してぎこちなくなった。
「きょ、今日はお邪魔するよ」
「は、はい、あんまり良い物は無いですけど、ごゆっくりして下さいね」
猫呼は赤面の笑顔で頭を下げると恥ずかしそうに店の奥に消えた。
「王子都合が良すぎです~~依世さんの事は良いんですか?」
「ボクも良く分からないんだ」
とても素直なウェカ王子であった。それに比して砂緒は先程から不気味に顔を高速でキョロキョロさせている。
「どうしたのよ砂緒、壊れたの?? 何をキョロキョロしてるのよ」
フルエレが不審な目で見る。
「いえ、いつもコイツの周囲をうろちょろしているオバ、いえ妙齢な熟女が居ないものですから」
「あら、そういえばあのとても強いオバ、いえお姉さまいらっしゃらないの?」
砂緒にまで気を遣わせる微妙なお年頃の瑠璃ィキャナリーが確かに居ない。
「アー、瑠璃ィの奴なら神聖連邦本国に呼び戻されたらしいぞ。若君とか言う奴のサポートが上手く行かず怒られるらしいナ。怖がってたナー」
「若君ってさっきお前が撃退したヤツですが」
コトッ
客なので仕方なしに飲み物を差し出しながら砂緒が言った。
「マジデッ!? なんだ瑠璃ィの知り合いかあ? じゃあ良い奴って事??」
「確かに王子と違って真の貴公子って感じですからねえ」
「お前は王子で無ければ普通に犯罪者顔ですなあ」
「それはお前だろがっいつからボクは砂緒の弟子になった!」
「あらあらうふふ」
と、和やかな雰囲気を見計らってイライザがそ~っと忍び寄って来た。
「あの~~~フルエレさま、お耳に入れたき事が」
「あら、呼び捨てかフルエレちゃんで良いのに! 何かしら」
「あの、レナード公から我が兄ニィルを通して私に、雪乃フルエレ女王にそろそろ会議に出てもらいたいと伝達が……」
「え~~女王会議? めんどくさいわぁ」
フルエレは頬に手を当てて凄く嫌な顔をした……
主人公3人
砂緒 元現代日本のデパート建屋だったが、魂が発生し百年後に崩壊してセブンリーフに異世界転生して来た。硬くなる重くなる電気が出るなどの地味スキルを持つ。中程度の怪力で特に強く無い。
雪乃フルエレ ヒロイン①【海と山とに挟まれた小さき王国】の 夜宵姫 だったが家出して色々あってセブンリーフ大同盟の女王になってしまった。金髪の天使の様な美少女。
セレネ ヒロイン②ユティトレッド魔導王国王女で髪の長い美少女だが異常に強い魔法剣士。最初嫌悪していた砂緒に猛アタックされフィアンセ同然になる。フルエレを女王に推挙した張本人。
仲間
依世 雪乃フルエレの妹。 美柑 と名乗り紅蓮と冒険者をやっていた。探していた姉、夜宵姫・フルエレと遂に再会したが喧嘩が絶えない。
猫呼クラウディア 東の地(中心の洲)クラウディア元王国の元王女。失踪中の兄猫名を探してフルエレ達の仲間になった。今は闇ギルドの頭目をしている。背の低いおしゃまな付けネコミミ少女。
イェラ 元女戦士の褐色の背の高い美人。厨房で料理を作っている。麺料理屋台のチェーン展開するという野望を持つ。口数少ない性格だが砂緒の事が好き。
シャル 猫呼の部下闇ギルド員でボディーガード。腕がぐんぐん伸びる。
イライザ 喫茶猫呼店員。ぜんぜん意地悪く無い普通の子。
ニィル イライザの兄で元浪人であったが砂緒セレネに拾われ新ニナルティナ軍幹部に。
有未レナード公 旧ニナルティナ王国の軍師だったが、ポンコツで無害だったので新ニナルティナの代表に選ばれた。雪乃フルエレ女王を盛り立て、東の地【神聖連邦帝国】との関係に悩む。
ウェカ王子 ラ・マッロカンプ王国の王子。御幼少のみぎりに幼稚園留学生として出会った依世に一目惚れしたが、彼女の裏の仕事を目撃し魔法を撃たれ死に掛けてしまった。
メア ウェカ王子の理解者でセクシーなメイドさん。しつこいくらいに玉の輿をねだる。
まおう抱悶 可愛い熊耳の美少女だが恐ろしい魔力を秘める。砂緒と知り合った関係で雪乃フルエレ女王と大同盟を組む事となった。
神聖連邦帝国(東の地・中心の洲)
紅蓮アルフォード 【神聖連邦帝国】第二百十二代聖帝の息子。西の島、セブンリーフに単身まおう討伐を命じられて渡って来たが、美少女美柑(依世)と知り合い篭絡され、なかなか討伐する気が起きず、いつもブラブラしている。実は劇中一番強い人物だがなかなか本気で戦わない。爽やかでイケメンで真面目な風情に反し、実は人一倍女の子に興味があるムッツリスケベ。
瑠璃ィキャナリー るりぃきゃなりー。神聖連邦帝国四旗機 桃伝説 の搭乗者であったが、紅蓮のサポートとしてセブンリーフに渡り行き倒れ、ウェカ王子に助けられ以降居候になる。かなり強い騎士だが、当地と故郷の間で悩む事になる。モデルは船〇リリィ。
魔法メカ・ロボット
魔ローダー 全高25Nメートルの騎士の鎧、プレートアーマーをそのまんま巨大化した様な、魔法力で動くロボット。魔法や物理等殆どの攻撃が効かず、魔ローダーの魔法エネルギーが乗った剣攻撃しか効かない。
蛇輪、日蝕白蛇輪 へびりん、ひばみはくじゃりん。砂緒とフルエレとセレネが交代で乗る主役機。劇中唯一の複座型で、表面は鏡の様なテカテカのメッキ調の銀色で、装甲各所に金色の華麗な装飾が施され非常に成金趣味な見た目をしている。頭部に蛾の触覚の様な巨大な二本の角があり、背中にはド派手な巨大な羽を背負い鳥型の飛行形態に変形出来る。実は砂緒の前世の前世、【等ウェキ玻璃音大王】が、ル・スリー白鳥號を参考に真似して作った機体。両手の尖った爪で突き刺した対象からスキルや能力をコピーする事が出来る。また砂緒の能力で巨大化したり強力な雷攻撃を発したりも出来る。
ル・スリー白鳥號 はくちょうごう。【まおう抱悶】の先祖である【王永嶋フィロソフィー王】が搭乗していた純白の機体。蛇輪に似ているが、よりヒロイックな形状をしている。古代にクラウディア王国で建造された。今は 【千岐大蛇】(チマタノカガチ) 退治の時に紅蓮が偶然入手し扱いに困惑している。劇中最強の機体で数々の魔ローダースキルが隠されている。かつてセレネと砂緒が制作させた【最強の魔法剣】を偶然所有しているが、標準装備の【魔法の刃の剣】も使用出来る。




