魔ローダー発掘現場?? どうなの、その情報b
「して、発掘現場の警備状況は?」
再び大臣が聞く。
「はい、ニナルティナ軍では再度ライグ村への侵攻の準備を進めており、多くの魔戦車など軍の主力は南部に駐屯しております。魔ローダー発掘現場の半島にはさほどの戦力は無い模様です」
突然大臣の一人が立ち上がった。
「王よ、私より献策が御座います。発言をお許し下さい」
「許そうぞ」
「はは、有難き幸せ。件の魔ローダー発掘現場はニナルティナ北部。しかもきゃつらめの魔戦車隊などの軍主力は南部に集中。この様な好機は御座いませぬ。我がリュフミュラン王都からそのまま西に息を潜めて進軍し、半島に達して魔ローダーを破壊、もしくは運良くばこれを奪取して我が王の物とするのです」
「魔ローダーを奪取? その様な事が……誰が操縦出来るというのだ」
「スピナよ、出なさい」
「はっ」
いつも心が籠っていない七華の護衛の美剣士が進み出る。
「私少々魔ローダーには詳しく、必ずや乗りこなしてみせる自信が御座います」
(え? え? 何を言っているのスピナ!)
七華が突然の展開に動揺する。さらに大臣が話を進める。
「事前の陽動として、ライグ村の義勇軍の連中を西に進軍させます。やつらには硬い化け物と鹵獲した六両もの魔戦車隊がおり、防御は十分です。これらが敵を引き付けている間に我ら正規軍が魔ローダーを見事奪取してご覧にいれましょう」
「おおお、なんという壮大稀有な作戦か! いつもいつも侵攻して来ていたニナルティナに一泡吹かせる事が出来る絶好の好機ぞ!」
王がまだ成功もしていないのに喜び勇んで立ち上がる。
「お父様! お止めください、余りにも馬鹿げていますわ、そんな事成功するはずがありません! スピナもお控えなさい! 怒りますわよ」
言われてスピナが無言で胸に手を当て頭を下げる。
「黙れ! お前は見目麗しいだけの置物だという事を忘れるな! 男の会議に口を出すでないぞ!」
「す、すいません……申し訳ありません。差し出がましい事を申しました」
実は普段世界は自分の物の様に振舞っている七華王女だが、唯一尊敬する父王だけには逆らえなかった。しゅんとして下を向く七華。それを冷たい目で見下す様に見つめるスピナ。
(ああ、砂緒……助けて下さい……)
七華自身気付いていなかったが、地下牢で襲われていた所を砂緒に助けられ抱き抱えられて歩き、その後ちょっとした悪戯をしてしまって以降、七華の心の中で砂緒が大きなウエイトを占め始めていた。
※後の情報が混じっています。




