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依世の女王修行!?


 そんなこんながあって、しばらくしてようやく依世(いよ)が喫茶猫呼(ねここ)店内におずおずと出て来た。


「わぁーー可愛いわっ! さすがフルエレの妹ねえ」


 たまにしか店に来ない店長の猫呼クラウディアが、依世のメイド服姿を見て両手を合わせて喜ぶ。


「そうでしょ? もともと短かった依世のコスチュームから、さらにミニスカートをギリギリに短くして攻めてみたのよ! ちょっとしゃがんでみてみなさい!」


 さらに満面の笑顔でフルエレがしれっと言った。


「アンタ鬼か? 自分の妹だろーがっ」


 シャルが腕を組みながら眉間にシワを寄せた。


夜宵(やよい)お姉さまこれはさすがに恥ずかしいです。こんな服を着てお店に出る事と、女王修行に何の関係が? というか私そろそろ紅蓮とまた冒険の旅に出たいんだけど……」

「ダメッッ! 何言ってるの? その服はこの店の新人の伝統なのよ……私の目の黒い内は貴方に好き勝手させないわよ、さぁ手始めにあっちに座ってる紅蓮に塩水出して、アンタとはお別れよフンッって言ってらっしゃい?」

「なんで!?」


 突然のフルエレのムチャブリに依世は激しく困惑した。


「絶対フルエレなんか依世ちゃんに恨みあるでしょ?」


 猫呼とシャルは表面は笑顔でもフルエレの笑って無い目に底知れない恐ろしさを感じた。



 ―紅蓮の席。


「だから貴様は早く出て行け!」

「いやだな、お前こそ出て行け、この席は僕の領地とするよ」

「はあ? 雷落とすぞコラッ!」

「やってみろ跳ね返してやるっ」


 ギャース!

 イェラは厨房に戻ったが、まだ砂緒と紅蓮は言い合いを続けており、実は名剣でも何でも無くても振れば炎の出る紅蓮アルフォードは、スチャッとフォークとナイフを振りかざした。


「いらっしゃいませお客様、これはサービスの塩水に御座います、どうぞ」


 カチャッ

 そこにギリギリミニスカ姿の依世がやって来て、紅蓮に言われた通り塩水を差し出した。


「おっうまそうな塩水だな、ごくごくごくぷはーーーっ!」


 カチャッ

 紅蓮は一瞬で塩水を飲み干した。唖然とする依世。


「紅蓮……アンタとはもう終わりよ! とっとと店を出てって頂戴!」


 言われた通り言い、依世がくるりと後ろを振り向くとフルエレが目を光らせて監視していた……


「ハハハハじゃあ依世、もうそろそろ出発するかい?」


 しかし紅蓮も砂緒レベルで人の話を聞いていない……


「お前、今の依世の話聞いてましたか? 思い切り振られたでしょーが。しかしなんですかその破廉恥なスカート丈は。最近の若いコは……はぁ~はしたないです」


 砂緒は自分の事を差し置き、肩をすぼめ両手を広げて笑って呆れて見せた。

 カーーッ

 すぐに顔が真っ赤になる依世。


「あんたのご主人の私のお姉さまに命令されたんでしょーがっ! 好きでやってんじゃないのよバカッ!!」


 と、言いつつ紅蓮に助けを求め目を向けた。


「どうしたんだい依世、凄く似合っているよ、むしろ普段からそのメイド服で戦えば良いよ」


 紅蓮はにこっと笑いながら健康的な依世のスラッとした足を眺めた。


(タスケテ……紅蓮タスケテ)


 依世は必死に目で合図を送る。


「ん、どうしたんだい依世?」

「はぁ~~~これだから露出狂の破廉恥娘は、そんなにじろじろ見て欲しいんですかねえクク」


 カッカッカッ……

 そこに目を光らせたフルエレが歩いて来た。

 パンッ

 来てすぐさま手を叩いて会話を黙らせる。


「はいおわり。次は大切な常連さんの芹沢老人の席に行ってジュースでも注いで来なさい。芹沢さんは有名なセクハラ老人だから何をされても口答えしちゃダメよ?」

「ヒィッッ有名なセクハラ老人ですって??」


 依世は血の気が引き、クラクラとした。


「はははは、セクハラ老人かい? それは良いね、依世気を付けるんだよ」

「良く無いでしょ!!」


 紅蓮はセクハラには甘い女の敵体質であった……


「おやおやこれはフルエレのナイスなスパルタ教育ですなあ、依世よ貴様はせいぜい芹沢老人の激しいセクハラ攻撃に耐え抜くのですなハハハハハ」


 砂緒は指を差して依世に勝ち誇った。


「えっ……ウチの店ってセクハラ厳禁よね? いつからいかがわしいお店に経営方針変わったのよ?」

「知らないよ」


 猫呼が眼前で繰り広げられる謎の茶番に戸惑いまくった……


挿絵(By みてみん)

主人公3人

砂緒(すなお)  元現代日本のデパート建屋だったが、魂が発生し百年後に崩壊してセブンリーフに異世界転生して来た。硬くなる重くなる電気が出るなどの地味スキルを持つ。中程度の怪力で特に強く無い。


雪乃フルエレ  ヒロイン①【海と山とに挟まれた小さき王国】の 夜宵姫(やよいひめ) だったが家出して色々あってセブンリーフ大同盟の女王になってしまった。金髪の天使の様な美少女。


セレネ  ヒロイン②ユティトレッド魔導王国王女で髪の長い美少女だが異常に強い魔法剣士。最初嫌悪していた砂緒に猛アタックされフィアンセ同然になる。フルエレを女王に推挙した張本人。


仲間

依世(いよ)  雪乃フルエレの妹。 美柑(みか) と名乗り紅蓮と冒険者をやっていた。探していた姉、夜宵姫・フルエレと遂に再会したが喧嘩が絶えない。


猫呼クラウディア  東の地(中心の洲)クラウディア元王国の元王女。失踪中の兄猫名を探してフルエレ達の仲間になった。今は闇ギルドの頭目をしている。背の低いおしゃまな付けネコミミ少女。


イェラ  元女戦士の褐色の背の高い美人。厨房で料理を作っている。麺料理屋台のチェーン展開するという野望を持つ。口数少ない性格だが砂緒の事が好き。


シャル  猫呼の部下闇ギルド員でボディーガード。腕がぐんぐん伸びる。

イライザ  喫茶猫呼店員。ぜんぜん意地悪く無い普通の子。

有未レナード公  旧ニナルティナ王国の軍師だったが、ポンコツで無害だったので新ニナルティナの代表に選ばれた。雪乃フルエレ女王を盛り立て、東の地【神聖連邦帝国】との関係に悩む。


まおう抱悶(だもん)  可愛い熊耳の美少女だが恐ろしい魔力を秘める。砂緒と知り合った関係で雪乃フルエレ女王と大同盟を組む事となった。


神聖連邦帝国(東の地・中心の洲)

紅蓮アルフォード  【神聖連邦帝国】第二百十二代聖帝の息子。西の島、セブンリーフに単身まおう討伐を命じられて渡って来たが、美少女美柑(依世)と知り合い篭絡され、なかなか討伐する気が起きず、いつもブラブラしている。実は劇中一番強い人物だがなかなか本気で戦わない。爽やかでイケメンで真面目な風情に反し、実は人一倍女の子に興味があるムッツリスケベ。


魔法メカ・ロボット

魔ローダー  全高25Nメートルの騎士の鎧、プレートアーマーをそのまんま巨大化した様な、魔法力で動くロボット。魔法や物理等殆どの攻撃が効かず、魔ローダーの魔法エネルギーが乗った剣攻撃しか効かない。


蛇輪、日蝕白蛇輪  へびりん、ひばみはくじゃりん。砂緒とフルエレとセレネが交代で乗る主役機。劇中唯一の複座型で、表面は鏡の様なテカテカのメッキ調の銀色で、装甲各所に金色の華麗な装飾が施され非常に成金趣味な見た目をしている。頭部に蛾の触覚の様な巨大な二本の角があり、背中にはド派手な巨大な羽を背負い鳥型の飛行形態に変形出来る。実は砂緒の前世の前世、【等ウェキ玻璃音大王】が、ル・スリー白鳥號を参考に真似して作った機体。両手の尖った爪で突き刺した対象からスキルや能力をコピーする事が出来る。また砂緒の能力で巨大化したり強力な雷攻撃を発したりも出来る。


ル・スリー白鳥號  はくちょうごう。【まおう抱悶】の先祖である【王永嶋フィロソフィー王】が搭乗していた純白の機体。蛇輪に似ているが、よりヒロイックな形状をしている。古代にクラウディア王国で建造された。今は 【千岐大蛇】(チマタノカガチ) 退治の時に紅蓮が偶然入手し扱いに困惑している。劇中最強の機体で数々の魔ローダースキルが隠されている。かつてセレネと砂緒が制作させた【最強の魔法剣】を偶然所有しているが、標準装備の【魔法の刃の剣】も使用出来る。

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