魔ローダー発掘現場?? どうなの、その情報
作業場らしき建物の前に着いた。ガチャリとドアが開き、もう少しドアを拡張した方が良いだろうという程の大男がのっそりと出て来る。
「やあ! ライグ良く来たね」
機械油でねとねとの作業手袋を脱ぎ、ガッチリ握手を交わす。
「やあ! 植土、俺たちの魔戦車が完成したのかい?」
「ああ、やっと完成したよ! 僕は大男なので中に入れない。だから大変な分解作業でした。しかし全体で五百万Nゴールドものお金を浮かせる事に成功したのです」
「ああ分かってる分かってる! 早く見せてくれ。砂緒とフルエレも来いよ」
作業場の中に皆で入ると、まさに新品に近くなった魔戦車が置いてあった。
「主に車体後部にあった魔法動力も蓄念池も念デンサーも無事だったのが幸いしました。この車両はそこの君がへこませた装甲の板金や砲塔可動部のローラーの修理など、リュフミュランの技術レベルでも修復可能な故障で良かったです」
「うわーーー凄い! 乗りたい乗りたい! 私、乗ってみたいです!!」
「絶対だめです! もう既に乗員が決まっていますよね、その人達の役割を奪ってはなりません」
目を輝かせてはしゃぐフルエレに対して、砂緒は先程からやきもきしている。
「ん、まあなあ、俺たちの中じゃ一番リズが魔力があるんだが、アイツは絶対に嫌だと。それで野郎共の中でも防御魔法使いや微力な魔力がある者をなんとか選抜している。いずれも髭の生えた筋肉男共さ」
砂緒は当時こそ何も感じていなかったが、一番最初に二人が出会った場面を思い出し、そんな連中の中にフルエレを放り込むなんて絶対あり得ないと思った。
「分かりましたかフルエレ、もう貴方の席は無いのです。諦めて下さい」
「……分かったわ! いつもいつも私の願い聞いてくれてるからね、今回は砂緒の言う事聞くわね! でも魔力が足りなければ外から魔力を注入しますね! 何時でも言ってくださいね」
「おおそりゃありがたいねえ」
「お金が浮きます」
「所で植土さんってニナルティナの路面念車って知っていますか!?」
「あの魔法力で、市街の軌道上を走る乗り物ですね。お詳しい僕も一度乗りたいです」
「そんな物があるのかい!? そりゃこっちと文化レベルが違いすぎだろうやべえな」
砂緒そっちのけで三人はしばらくの間、魔戦車や魔法乗り物談義に花を咲かせた。
その頃リュフミュラン王城では、魔ローダー騒ぎが変な方向に向かっていた。
衛兵が扉を守る城の広間の一つでリュフミュラン王と七華王女を中心にして、大臣達が居並び重要な戦略会議が開かれていた。
「ではニナルティナに潜入させている者からの報告を再度述べよ」
大臣の一人が偉そうに指示をする。
「はっ。現在ニナルティナでは北部の外れの半島で実際に魔ローダー発掘作業が行われており、進捗状況は九割五分程だと判明しました」
「九割五分とな……」
場内が騒めく。