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爽やかな午前、戦争参加のお誘いb


「観賞用って何なのですか。早く完成してもらいたい物です。いちいち戦場に出るのは面倒です」

「完成したって魔導士が揃うかどうか。そうだフルエレに乗ってもらえねえかな」

「私は彼女が魔戦車に乗るのは反対ですね」

「大好きな彼女が取られちゃうってか?」


 衣図(いず)が大袈裟に笑う。砂緒は何故反対すると言ったか論理的に説明しようとしたが無理だった。


 実は衣図が言った通りだったのだ。魔戦車だと最低3人の乗員が必要なので、残りの乗員と何か親しげになる事が不安だったが、自分では良く意識出来ず分かっていなかった。


「おおーい、敵が接近していますぜ~~」


 斥候のラフが走り寄って来た。砂緒の肌が大理石の乳白色に染まって行く。



 ー数時間後


「おっかしいねえ、また少し揉んだだけで、すぐに逃げやがる」


 あの時の巨馬に跨る衣図。


「手ごたえが無いですねえ」


 先程まで騎馬隊や盾を持った重装兵に重くなってボーリングの球の様にぶち当たり続けていた砂緒が、変身を解除して一緒に歩きながら撤退する敵兵を追撃する味方のリュフミュラン義勇兵を見ている。


 もちろん覚えたての雷攻撃は一切使用していない。


「無理に追撃するな! 伏兵に気を付けろ! こっちは領土拡張する訳じゃねえんだからよ」


 しかし敵指揮官有美(うみ)レナードが多用する伏兵も無く、あっさり本当に撤退するだけの敵軍。何の為にわざわざ少し多めの数で侵攻して来たのか分からない。


「おおーい大将~~変な事口走ってる捕虜がいやがるんで、見てくだせえよ~」


 またラフが走って来るので二人で行ってみる事にした。



「ははははお前が衣図か、予想通り図体がデカいだけのマヌケなツラしてやがるぜ」

「うるさい!」


 縄で縛られた捕虜が兵士に囲まれて地面に座り込んでいる。兵士の一人が思い切り殴る。


「痛えな。ふざけるなよ。はははは、だがなお前らが生きて居られるのも今の間だけ、ニナルティナじゃもうすぐ魔ローダーが発掘されるんだ。魔ローダーさえあれば上空から魔法瓶百連打してやるからな! リュフミュラン王都は火の海よ、はははは」


「うるさい黙れ! ほらを吹くな!」


 周囲の兵士からぼこぼこに殴り続けられる捕虜の男。


「おいおい殺すな。埋めるのがめんどくせえだろ」


 慌てて衣図が兵士達を止める。


「どう思うよ砂緒?」


「本当にそんな物があれば極秘裏に敵国を奇襲します。下っ端が言いふらすなど十中八九脅しか何かのデマでしょう。何かしら意図的な物を感じますねえ」


「お、お前さんもそう思うかい。硬くなったり重くなったりするだけじゃねえな、分析力がある!」


 足蹴にされる捕虜を見ながら淡々と語り合う二人。


「大将~~この捕虜たちはどうしやしょうか~~?」

「飯代もかかるんだ、また前みたいに王都に送っとけや。それ以上は知らねえよ!」


 如何にも人道的な措置だったが、この措置が間違いだった。


 以前からこうした事が各所で散発的に起こり、戦を知らない王宮と王都の人々の間では徐々に魔ローダーが空から攻めて来るという噂が広がり始めて行った。

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