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スナコちゃん再々降臨!! ⑬ スナコさん葛藤の出撃


 すると影に隠れていた整備兵達がぞろぞろと出て来て、スナコのドレス上に重い鎧を着せ始めた。

 ガシャッガシャッ……


「これ何Nキロあるんです?」

「三十Nキロ程です」

「まだあります」

「え?」


 ガチャリ、ガチャッ

 スナコが戸惑うと、今度は潜水用の重りを全身に巻き付けられ始めた。


「これ必要あります?」

「フルエレ様のアイディアです……」

「フルエレ!?」

「フルエレさんこれは酷いのでは?」

「砂緒絶対に死なないでね……」


 フルエレはウルウルした瞳でスナコを見た。


「今初めてフルエレを怖いと思いました。しかし手段を選ばぬ姿勢はアッパレですね、私も渾身の力を込めて落下してやりましょうか」

「ま、そうだな。じゃああたしゃもそろそろ乗り込んで……」


 一緒に蛇輪に乗り込もうとしたセレネをフルエレがガッと止めた。


「飛翔だけなら私一人で出来るわ、実績があるもの。今は地上班が一人でも必要なの、砂緒の成功の為にセレネも地上で戦って欲しい……」


 フルエレはセレネの目を見ながら言った。


「……あたしも一緒に飛びたかった……でもこんな状態のフルエレさんはテコでも動かないな。わかったよ、あたしゃも地上で戦うよ、スナコ死ぬなよ」

「もちろんです。セレネさんが巨乳化するまでは死ねません」

「どんだけ乳をいじる気だ?」

「有難う……」


 フルエレがお礼を言うや否や、ぷいっと振り返りもせずにタラップを降りて行ってしまった。


「ごめんね砂緒」

「いいえ、私は全力でフルエレを守ると決めた以上、当然の事です」

「………………」


 フルエレは何も言わず、整備場から出て行くセレネを見送った。



 ピーピーピー

 変形したままのレール上の鳥型形態の蛇輪を、魔戦車数両が整備場から引っ張って外に出す。


『じゃあ行くわよ』

『はい、どうぞ』


 鎧と重りでがんじがらめにされながら、何とか下の座席に座った砂緒が頷いた。まだ日没では無いが、目覚める前に落下攻撃で仕留める事が出来ればそれが最善であった。


「よーし皆帽振れーーー!!」

「がんばってくれーーっ」

「スナコぉー頑張れー!!」

「砂緒さん死なないで、メランです」

「……」


 人々が声援を送る中、セレネは一瞬無言で見送ると、急いで紅蓮達に合流した。


『行くわっ!』


 ドシューーッ!!

 鳥形形態のままホバリングしてフワリと浮き上がると、そのままスーーッとキラキラ粒子をまき散らしながら綺麗に上昇して行った。そしてそのまま猛烈な勢いで飛翔する蛇輪は、白い雲の壁を突き抜ける。

 シュ~~

 魔法エアコンと生命維持装置が働いているのが音で分かった。


『一瞬で成層圏まで来たわ、綺麗ね』

『よく覚えてましたね、でもまだまだ序の口です』


 二人の前に久しぶりの綺麗な青い地表の姿が見えた。


『そんな事より通信試験よ』


 早速フルエレは司令部の有能メイドさんに魔法通信をテストしてみた。

 ピーピーガーガー……


『……こちら司令部、通信は良好です! 現在千岐大蛇(チマタノカガチ)はまだ眠ったまま。日没までは三十数分程です。カガチの位置を送ります!』


 地上を飛び立つ前に、カガチの移動を警戒してクラウディア王国を座標化した地図を所持していた。


『了解』

『フルエレ、カガチがまだ眠っているなら隙を与えず、早速落下攻撃を行いましょう! もっともっと上昇、三万八千Nキロメートルくらいまで上昇します!』

『そうね……』


 フルエレは全力で上昇を続けた。我々の世界で国際宇宙ステーションが存在する地上400キロメートルを遥かに超える、三万八千Nキロと言えば途方も無い高さに感じるが、月まで行った二人には何て事は無い距離であった。



   ― 一方地上、仮宮殿司令部。

 人々は祈る様な気持ちで蛇輪の攻撃成功を待っていた。

 ヴィーンヴィーンヴィーン

 と、突然静寂を破る警告音が鳴り響き、有能メイドさんが髪を振り乱して椅子ごと振り返った。

 ガタッ!


「大変です観測魔戦車から報告! チマタノカガチが突然目覚め活動を再開! ゆっくりと浮遊しながら川沿いに北上を始めました!!」

「何だと!? 日没前にか??」

「感付かれた??」


 前王大猫乃主(おおねこのぬし)以下、シューネや夜叛(やはん)モズがいる司令部に緊張が走った。セレネとフゥーと紅蓮、猫弐矢(ねこにゃ)は既に西の浜に移動して待機している……

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