フルエレとあの方は同じ顔をしている…b
突然砂緒に妙なフリをする瑠璃ィ。
「わ、私はその様な局所的な部分を見たりはしていませんので、よく分かりませんでした」
「あ~~~~~~~~~~~~~~?」
今度は瑠璃ィの矛先が砂緒に向かい、馴れ馴れしく砂緒の頬に指先を突き刺しぐりぐりする。瞬間的に砂緒の中で殺意が湧き、指先に電気がバチバチし始めた。気付いて滝汗で首を振るフルエレ。
「似ている人なんていくらでも居ますよ。例えば既に亡くなった某有名俳優とヨ○フ・ス○ーリンだとか、他人の空似なんて探せばいくらでもいますよ。もう帰りましょうフルエレ、猫呼も待っていますから」
「う、うんそうだね! 行こ」
砂緒がフルエレの手首を掴んで連れ出そうとする。
「ちょい待ち! 今ねここ言うたか? 猫呼クラウディア知ってるんか?」
今までの親戚の様な馴れ馴れしい口調から一転、急に険しい顔と厳しい口調になった。
「い~え? 僕の可愛い子猫ちゃ~んと言っただけですが、何か?」
「はい私は常時、僕の可愛い子猫ちゃ~んと呼ばれていますわ」
二人して豪快に嘘をついた。
「ほ、ほんまか、ほんまに子猫ちゃん言うてたか?」
「ねえ、子猫ちゃん?」
「は~い子猫、この地獄を早く脱して帰りたいです!」
「今地獄言うたか? 何が地獄なん?」
少しムキになりかけた瑠璃ィにフードの男が耳元でひそひそ話し掛ける。
「何やて? こんな所で道草食ってる訳には行へんて? 第一村人にべらべらしゃべり過ぎやて?」
二人は心の中でナイス、フードの男! と親指を立てた。
「そうやなあ、なかなか愉快な第一村人に出会えて浮かれてもうたわ~~お嬢ちゃんまた会おな~」
二人は『いやもう金輪際会いたくないです』と心の中で強く思った。
「ほんならな! 若君~~~何処へ~~~~~!」
そう言うと、瑠璃ィキャナリーを先頭にフードの怪しい男達は、空手の鍛錬で砂浜を進む集団の様に、異常に組織的に手足を揃えてザッザッと走り出した。