フルエレとあの方は同じ顔をしている…
「この辺りがラ・マッロカンプ……王国とかユ、ユティトレッド魔導……王国? やんなあ?」
出会ったばかりの瑠璃ィキャナリーと名乗る女性は、いきなり親しい近所の知人にでも話し掛ける様に馴れ馴れしく聞いてくる。ただし地理不案内なのか地名はたどたどしかった。
「私は地理など全然分かりません。早く教えて追い払って下さい」
「全く違いますよ! こちらは東側、リュフミュランの外れです。貴方達の目的地は大陸の北の中部や西の方に当たります。船で来られたなら、もう一度船で北側の海岸線を行くか、歩きなら海岸線に沿って西に地道に進むしかないですよ……」
砂緒に促された雪乃フルエレも早く追い払い思いは同じだった。少し怒っていた……
「ええ全然違うやんか! 誰がここで降りよ言うたんや罰や。嬢ちゃんありがとな~~? んっんんん?」
突然瑠璃ィがフルエレの顔をまじまじと見つめる。
「あ、あれ……嬢ちゃん……いや、貴方様は!? 何故こんな所に貴方様がっ!! 皆の者土下座や早う土下座やっ!!」
「えっえっなんですかぁ」
ははーっと時代劇の様に、先程まで異様に馴れ馴れしかった瑠璃ィと後ろの怪しいフードの一団が一斉に土下座をする。戸惑うフルエレ。
「んでも……こんな所に『あの方』がいらっしゃる訳あらへんなあ。よう考えたらあの方の髪は烏の濡れ羽色でこんなおしゃれなパツキンやあらへんなあ」
がばぁっと上半身を上げると、またもや馴れ馴れしく今度はフルエレの金色の髪を触り始める瑠璃ィ。横で勝手にフルエレに触られて完全にムッとする砂緒。
「お嬢ちゃんどこの生まれや? 海を渡った事あるんか?」
「私は生まれも育ちもセブンリーフです。一歩も大陸から出た事ありません! 最近ようやく東側まで来たくらいですから」
フードの男が瑠璃ィにひそひそと囁きかける。
「え、あの方よりこっちの方が弱冠可愛くて若くてピチピチしてる? あほ、そんな事あの方に聞かれたら殺されんで、知らんけど……」
次々とまくし立てる様に話を続ける謎の人々にあっけにとられる砂緒とフルエレだった。
「でもホンマに似てるわ~~似てるっていうか同じ顔してるわ! 声も似てる凄い似てるわ」
「ひょっろ、ひゃめてくらしゃい」
今度は瑠璃ィは両手でフルエレの頬をむにょんむにょんして挟む。すかさず砂緒が腕を剥がす。
「でもほんまに可愛いわ~~おっぱいも小さ過ぎず大き過ぎず、美乳タイプや~~」
こんどは易々とフルエレの胸を両手で触り始める瑠璃ィ。赤面するフルエレ。
「ひゃっ! ちょっと何するんですかっっ」
「なあ? 彼氏はん」