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兎幸かわいい導き手と、瑠璃ィなんか邪魔者が来た…b


 しばらく走るとすぐに海に出た。海が眺め易い場所を探り、綺麗な砂浜に出た。


「わー本当に綺麗! 私セブンリーフの西側育ちだから、東側の海は初めて! この海の向こう側に猫呼ちゃんの国だとか知らない人達が住んでるんだね、凄く不思議」


 双眼鏡の能力を持つ砂緒が目を凝らして見れば、遥か遠くにうっすら対岸らしき陸が見えた。橋がかけられる様な海峡という程の狭さでは無かったが、知識と船さえあれば容易に渡れない事は無さそうだ。


 砂緒は根ほり葉ほり聞いたりするタイプでは無いので、フルエレがどこで育って、何故家を出たか等全く知らなかった。


「フルエレ、実は聞いて欲しい事があるのです」

「え、何何? 変な事じゃ……無いでしょうね」


 フルエレが見ると、砂緒はいつになく緊張している様に見えた。


「実は……七華(しちか)に少し言い難い事をされてしまったのです」

「……」


 フルエレは少し俯いて黙って聞く事にした。


「地下牢から外に出ようとした時に……何と言うのでしょうか……うーん」

「……」


「その……キスシーンと言いましょうか、抵抗も出来ずになすがままされてしまったのです。全くお恥ずかしい。七華に内密に言われたのですが、あの者の命令は聞きたくないですので、二人きりになって言ってしまいたかったのですよ」


「もう言わなくていいよ」(何となく分かるから……)


 砂浜に二人共三角座りで海を見つめ、しばらく沈黙が続いた。


「?」


 すっとフルエレの手が砂浜に置かれた砂緒の手に重ねられた。


「……上書き……してみる?」

「!」


 意味を理解して砂緒は横を向き、フルエレの顔を見た。同じようにフルエレもこちらを向いて見ている。言ったフルエレも別に大胆という訳では無くて、少し困った様にじっとしていた。お互い無言で見つめ合った。


「はわ~~~やっぱり若いカップル様はええなあ、どきどきするわ~~」

「うわああああああ」

「きゃああああああ」


 二人の間に突然顔がにゅっと出て来て、砂緒とフルエレ二人共が同時に大声を出す。よく見ると片目が隠れがちな、長い真っ赤な巻き毛の少し化粧が濃い美女が立っていた。


「うちは瑠璃ィ(るりぃ)キャナリー言うもんや、怪しいもんや無いでー。東の方から来た観光客や。お取込み中悪いんやけど、第一村人のあんさんらに道を尋ねたいんや。ごめんな~~」


 この女性の後ろにはフードを被った男性達がずらっと並んでいる。怪しい集団以外に何者でも無かった。

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