表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

593/1099

雪乃フルエレの聖なる力

「んがあああああああ!?」


 突然激しい衝撃と痛みが全身を走りながら、貴城乃(たかぎの)シューネは前のめりで倒れ込んだ。背中の光の輪が消えた金輪(こんりん)は彼同様に頭から地面に激突して、当然中に乗る猫弐矢(ねこにゃ)とフゥーも再び操縦席内を転がった。


「駄目ですっ!」


 フゥーが猫弐矢を胸ドンした。


「べ、別に毎回毎回キスする訳じゃないよ!?」

「何事だああ!? 騙し撃ちかあああ!?」


 肩を押さえながら、シューネが鬼の形相で上半身を起こして振り返ると、先程まで自分達が好き放題やっていた様に、背中に光の輪を背負った銀色、蛇輪がふわふわと浮いていた。


「フハハハハハハ、これは良い。さしずめ日蝕白蛇輪ならぬ日照白蛇輪とでも呼ぼうか、どうだまいったか!?」


 後ろから立ち去る敵をいきなり攻撃しておいて、スナコこと砂緒は勝ち誇って高笑いした。


「くっクレージーだわ……お兄様無事なの?」


 親友とは言え、砂緒のあまりにも外道な行動に猫呼(ねここ)は血の気が引いた。


「がはははは、見ろよさすが砂緒だぜ、滅茶苦茶しやがるぜ!!」


 対照的に衣図(いず)ライグと配下のガラ悪い軍団は腹を抱えてゲラゲラ笑ったが、大半の者は猫呼と同じ反応、女王陛下の仲裁で綺麗に収まりそうなのに、また余計な事をして騒ぎが大きくなりそうだといぶかしい顔で見た。


『さてさて、あの光の矢は出るのかな~~? 出でよっ光の矢っ!!』


 スナコちゃんがふざけた様に言いながら念じると、シューネの時と同じく背中の輪からニョキニョキと光剣が出て来た……


『砂緒さま……』


 ライラが何事か言い掛けるが砂緒の耳には入らない。


『よし、取り敢えずあの金色の足元にでも撃ってみるか、そらそらダンスしろよ! ひゃははは』


 言った途端に数本の光剣が発射される。

 シュパパパパ

 光剣は金輪の足元に次々突き刺さって消えていくが、蛇輪を睨みつけるシューネは一歩も動かず慌てて避ける事は無かった。


『光の矢では無い、光の剣だっ金輪!! よし城から出て来た連中を撃ってやる!!』

「シューネさまお止め下さい!」

「おいふざけるな、そんな事したら東の地とセブンリーフの友好は粉々になるぞ!」


 フゥーと猫弐矢が必死にシューネを止めようとするが、怒りに打ち震えるシューネは絶対に止める気配は無かった。


「友好だと?? そんな物最初から不要だ! 聖帝陛下はいずれ親征される。知らぬのは姫乃殿下だけだっ!」

「なんだって!?」


 猫弐矢は衝撃を受けた。が、その一瞬の隙をついてシューネは光剣を発射してしまった。

 シュパパパパパ

 バリバリバリバリ!!!

 全ては一瞬の出来事なのだが、放たれた光の剣は砂緒の雷で全て撃ち落とされた。激怒したシューネがそうするかもしれないと、スナコちゃんがあらかじめ雷雲を展開していた……


『甘いわ!! あん〇つ姫の様に大甘なんだよっ! ハハハ、信義違反成立だな! 兄者には悪いが貴様らには死んで頂こうか!!』


 今度は宙に浮く蛇輪の後光の輪からニョキニョキと光の剣が生えて来て、発射体制に移行しようとする……


「ガハッッ!!」


 が、その瞬間だった。もともと実力以上の魔力を放出していたライラが、光輪の発生によりさらに負担が増え体がもたなくなって遂に吐血した。その瞬間背中の輪も消えて蛇輪は地面に着地した。


『ちっライラもうちょっと頑張って下さいよ。まあ良いでしょう、ハッチが壊れた金色ならば私の雷で充分黒焦げに出来るでしょう! さぁ行きますよ』


 蛇輪は空の雷雲に向かって片手を高く掲げ、指先から眩い稲妻を発生しようとした。


「ふっ仕方があるまい」


 それを見てシューネは効果が無いと分かっていながらも意地で光の輪から光剣を出した。


『バカめ死ね!!』

『止めなさい!!』


 が、その直後操縦桿を握り直した雪乃フルエレ女王が強制的に片腕を地面に向けさせた。


『フルエレ何をするんです?』

『貴方こそ何て事をしてくれたの??』

『悪いのですが今回ばかりは貴方の為にも命令を聞きません。雷を発射します』


 今度は強引にスナコちゃんが片腕を天に向けようとする。ぐぎぎぎとせめぎ合いが起こっていたが、砂緒の方が蛇輪を動かす事に慣れていたのか、腕はやがてゆっくりと上に向いた。


『止めなさいと言っているでしょう!! ライラが血を吐いたのよ!? 私の命令が聞けないのかーーー!!』


 ザーーーーーーーーー!!!

 その直後、雪乃フルエレから激しい何かが放出された……魔法が一切使えないスナコちゃんは全く何も感じていないが、周囲には激しい影響を与えていた。

 フッ……

 直後、蛇輪は全機能を停止して膝を付いてしゃがみ込んだ。


「何だ、どうした!? 真っ暗になったぞ!!」


 上の操縦席の中で砂緒は慌てた。


『どうした!? ウッ気持ちわるい……何が起こっている??』


 恐ろしいまでの魔力の奔流が周囲を襲い、魔法を使える者たちは吐き気を催した。


『ううっ大変ですシューネさま、銀色から激しい魔力が放出されていて、私達の魔呂の許容量を超えそうです!』

『このままでは自壊しかねないぞ! フゥーちゃんシステムをシャットダウンさせろ!!』

『な?』

『はい!!』


 フゥーは慌ててシューネに断りも無く横から手を出して主魔法システムをダウンさせた。その瞬間、金輪も目の光を消してその場で動かなくなった。


『これは!?』


 同じようにメランのル・ツー速き稲妻Ⅱもシステムをダウンさせたのだった……

銀色、蛇輪、日蝕白蛇輪 ヒロイン雪乃フルエレと砂緒の専用魔ローダー(全高25メートルのロボット)で、敵の能力を解析して取り込む力がある。


金色、金輪 貴城乃シューネが乗る神聖連邦帝国の四旗機の魔ローダー


星評価とブックマークお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ