謎の物体がっ、氷の博物館!! +兎幸顔①
「うわああああ、何これ!? 変だよ、凄く変。どこに行くの?」
「まるでUFO○ャッ○ャーその物なのですが」
その妙な物体は黒焦げを掴んだまま森の中に消えていく。
「砂緒、乗って早く!」
「は、はい」
フルエレと砂緒はサイドカー魔輪に乗り込むと謎の物体を追いかけ続ける。
どこまでもふわふわと飛び続ける謎の物体。しばらく走り続けると、突然目の前に石造りのコロッセオ風の円形の大きな建造物が見え始めた。そのまま追いかける二人。
「入っちゃう入っちゃう」
フルエレが叫ぶ間もなく、浮かぶ物体は円形建造物の黒く開いた入り口から中に吸い込まれる様に入って行く。すると突然ガシャンと石の扉が落ちて来てもう追いかけられなくなった。
「閉まりましたね」
「もう、中どうなってるのこれ……」
砂緒はサイドカーから降りるとみるみると真っ白い大理石の肌に代わってく。
「行きますよ! 付いて来て下さい!」
後ろに下がり助走をつけてから重くなりつつ肩から突っ込むと、ごわっと石の扉が破壊される。
先程フルエレが言っていた砂緒の本領発揮だった。なおも奥に飛んで行く浮遊物体は、再び次の扉に吸い込まれて行きまた扉が閉まる。
砂緒は連続で壁を破りながら進み、フルエレも恐々後に続いた。やがて石の扉は尽き、真っ暗な大きな空間に出た。どれ程の広さなのか分からない。
「気を付けて下さい」
「う、うん」
砂緒が雪乃フルエレを後ろに庇いながら歩く。突然目の前にぽうっと白い光が現れた。
「モンスターですか?」
「……ようこそ……いらっしゃいませ……ここは天球庭園……氷のモンスター族館です……」
白い光の主は頭に白い兎の耳を付けた可愛い女の子だった。近くにはあのUFOが浮遊している。
「君は何者ですか?」
「私は……氷のモンスター族館の館長です……魔法人形です、名前はありません……これは黒焦げ……」
ウサ耳の少女は悲しそうな顔をした。
「……でも展示」
女の子がそう言うと、床がぽうっと光って穴が開き、UFOが静かに黒焦げを収納して去って行く。収納した途端に床がキュッと閉じた。よく見てみると床は透明な材質だった。
「こ、これは透明な床に色々なモンスターが収納されてますね。いやマグロやサンマなんかも混じってますが……高級すし店のカウンターですか」
「凄い……綺麗」
「ええ? 綺麗ですかね、意見が別れそうな展示方法ですねえ」
目を凝らして見ると、遠くの床までびっしりと透明な素材の中にモンスターが敷き詰められている。翼の生えたドラゴンや本物の方のゴーレムの様な大型モンスターまで交じってる。