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雷、なんか電気が出ちゃったb


「キャッ何!?」


 魔銃などより大きな激しい音と共にピカッと眩い閃光があり、フルエレは堪らず腕で顔を隠す。砂緒の髪は逆立ち、しばらくジンジンして動けない。


「え、え、今の何? スライムはどうなったの?」


 フルエレに言われるまでも無く、砂緒の正面には大きく幹が裂けて黒焦げの内部が丸見えになった巨木。そして根本に同じように黒焦げになったスライムだった物が落ちていた。


「わーーー!! 凄い凄い凄い!!」


 今日のお出かけに合わせポニーテールに結んだフルエレは思わず無意識に砂緒に抱き着いて、兎の様にピョンピョン飛び跳ねた。


「一瞬疑いかけたけど、やっぱり砂緒最強だった!」

「疑いかけたんだ……」


 しかし砂緒はあれ程苦労したスライムを倒した事はもう忘れていた。


 目の前でピョンピョン飛び跳ねながら抱き着くフルエレの、間近にある満面の笑顔や揺れる金色の髪や白くて可愛いドレス、そして服の中にある柔らかな体の感触……色々な物が眩しくて仕方が無いのだ。


 いつしか腰をしっかり抱いて真顔でフルエレの事を見ていた。


「え、え、もういいよ、あはは」


 それでも手を離さない砂緒。フルエレはようやく砂緒が以前とは微妙に変化している事に気付いた。


「もういいってば!」


 慌てて両手で胸ドンしてようやく砂緒を突き飛ばす。


 砂緒はもともと機械的な無機質な感情だったが、初めて人間の少年の肉体を得て以降、自分でも気付かない内に肉体側の影響を強く受け始めていたのだった。気まずい無言の時が過ぎた。


「す、すいません……(わたくし)どうかしていた様です。悪気は無かったんですよフルエレ」


 謝罪、これも今までではありえない反応だった。フルエレは大事にしない様に努めた。


「あはは、いいよ、ちょっとびっくりしただけ! それよりも凄い威力だね! 必殺技みたい」


「そうだ……フルエレ、この事は二人だけの内緒にしてもらえませんか? 切り札は最後まで隠したいのです。ですから、私とフルエレ、二人だけの秘密です」


「う、うん。秘密だね」


 フルエレは砂緒が今までに無いくらいの満面の笑顔になった事にさらに驚いた。


「それにしても……あのスライムは黒焦げですね」

「本当だ、これじゃあ食べるのに苦労しちゃうね」


 突然の言葉に驚く砂緒。


「え、これって食べちゃうんだよ。細く切って麺にしてスープにいれたり、干して出汁を取ったり」

「なんですかほぼ烏賊とスルメじゃないですか。しかしあの黒焦げはもう無理でしょう」


 砂緒が黒焦げの物体に指を指す。


「い~や! 砂緒の初めての獲物だもの、意地でも食べようよ」

「いえ、そんな事に意地にならないで下さい」


 会話している時だった、直径五十センチ程の銀色の円盤がフワフワと飛んできた。


「ちょっと! これ何、変だよ」

「小さいUFO未確認飛行物体ですかね?」


 そう言いながらも謎の物体を見ていると、黒焦げのスライムだった物の上まで漂って来ると、ウィンと下側が開き小さな曲がった火箸状の物が出て来て黒焦げを掴むと、そのままふわふわと何処かに飛び去ろうとする。

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