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反撃! 上 フルエレ疾走る(足で)


 全員が全員砂緒のフルエレに忠実な性格や、戦場の正確な情報を把握している訳では無く、混乱の中いい加減な誤報が流れ始めていた。しかし突然聞かされた衝撃の情報の連続にフルエレは声を失った。


夜宵(やよい)姫っ! ご無事ですか?? 私がお守りしますぞっ!!」


 十分状況を見計らってコーディエが断りもなく入って来て、シャルは眉間にシワを寄せた。


「だからそのヤヨイ姫ってなんだよ、ウゼー奴だな」

「コーディエ!! わた私どうしよう? どうすればいいの??」


 不安感で一杯の中、気が動転したフルエレはコーディエが頼もしく見えた……


「夜宵姫、私は貴方がこんな小さい時からずっと見守り続けて来たのです。今こそ私に頼って下さい。これが本来あるべき姿に戻ったのですよ」


 コーディエはだいぶん手を低い位置にして、潤ませた目で訴えた。


「手が低いなヤベー奴じゃねーか、完全にロリコンじゃん! ずっと狙ってたって事だろ、フルエレそれで良いのかよ?」

「シャル、ちょっと静かにして。コーディエ貴方はそれでも一軍の将、この状況をどうすれば打開出来るの? 教えて頂戴」


 フルエレは哀願する様な目でコーディエに訴え、彼は遂に念願が叶ったと思い背中がゾクゾクしていた。


「ご安心を。まずは一旦敵魔ローダーに降参を申し入れ、その後に和議の会談をすれば良いのです。金や領土で簡単にケリが着きますよ……」


 言いながらコーディエは早速フルエレの細い腰に手を回した。


「手を回さないで! 離して頂戴……でもそれで本当に上手く行くの??」

「ちょっと待てよ! そいつ殺していいか?? フルエレ良く考えてくれよ、貴方は砂緒とセレネと出会う前は一人で行商人なろーっつって一人で彷徨ってたんだぜ? 全部一人で考えて全部一人で行動してたんじゃねえか? いつからそんな頼りなくなっちまったんだよ! 目を覚ましてくれよ。皆フルエレの為に命懸けてるんだ、いきなり降参するのかよ??」

「黙れこのガキが、子供の出る幕では無い!」


 コーディエに強引に腰に手を回されたまま、雪乃フルエレはシャルの言葉にハッとした。


「……そうだわ、私一人で海と山と国を出ていつも一人で足掻いてた……それが砂緒とセレネと出会って、大切な仲間が沢山出来て安心の中で暮らしてて……何時の間にか富豪のマダ~ムみたいな感じになっちゃってたかもしれない。私を待っている人がいるなら、行かなきゃ……」


 コーディエは手に入れ掛けたフルエレがすぐに正気に戻って焦った。


「目を覚まして下さい、あんな子供の戯言に惑わされないで!」


 言葉とは裏腹に正気に戻り掛けた心を必死に惑わして元に戻そうとするコーディエ。


「もういいわっ離してっ」

「離しません。私の気持ちを理解して下さい」

「しつけー奴だな、殺すぞ」


 シャルは思わず手をわきわきさせてギルティハンドを発動させようとする。


「もういい、離してっ!」

「うお!?」


 ドンッ

 このままではコーディエがシャルに殺されてしまうと思い、フルエレは必死で両手胸ドンして彼を突き飛ばした。

 バンッッ!!

 丁度その時だった、フルエレを方々探して廻って来たライラが全力でドアを勢い良く開けた。


「ぎゃっ!?」


 コーディエは物凄い力で突き飛ばされ壁に〇ョン吉の様に張り付いてしまった。


「女王陛下、此処でいらしたか!? お探ししました!!」

「ライラ、良く来てくれました。部屋から出てなくてごめんなさい」


 ライラは勢いよく床に跪いた。


「挨拶は良いわ、状況は??」

「はっ砂緒さま衣図(いず)ライグ殿、何とか倒れた蛇輪に乗り込む手はずに。また陛下を探す間に覗き見た戦闘ではセレネさま撃破機体から無事トンズラされたよし。猫呼(ねここ)さま瑠璃ィ(るりぃ)さま達と王族達の避難誘導の最中であります」


 ライラは走りながらも配下の闇の冒険者ギルド員達から次々と最新の情報を仕入れて行動していた。登場人物が多過ぎる為に省略されているが、約百人の闇ギルド員達は常に主人猫呼の周囲で暗躍していた……


「貴方……なんて出来る子なの? 分かったわ、今から私も蛇輪に向かいます! シャルも来るのよ」


 と言いながらフルエレはリズから貰ったカートレス魔銃ライフルを担いだ。


「やったぜっ遂に俺が戦闘で活躍するんだな」

「貴方は戦ってはダメよ」

「ちぇっ。あの色男はどうすんだよ?」


 シャルが壁に張り付いたままのコーディエに指をさした。


「ほっときましょう」

「陛下、お早く……」

「よし、行くぜっ!!」


 何故かシャルがライラと並んで先頭に立って走り出した。フルエレも背中にライフルを担いだまま、両手でロングスカートを持ち上げて全力で走り出した。その後ろをせめて邸内だけはと侍女達がせわしなく追いかけて行った。

 ズルズル……

 壁に張り付いていたコーディエが剥がれて倒れた。

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