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反撃! 上 フルエレ衝撃……

「ハハハハハ、お前達がいくら束になって掛かって来ても敵う事はあるまい。この神聖連邦帝国四旗機は全て一対多の戦闘で無敵の強さを誇る。その中でもこの黄金の機体金輪(こんりん)は本来若君がお乗りあそばす最も尊い帝機。その帝機を聖都で侮辱した罪、とくと味わうが良いわっ!!」


 足元に転がるSRV達の残骸を眺め、貴城乃(たかぎの)シューネは満足気に高笑いを続けた。


「もういいんじゃないか? 満足しただろうこのまま船まで飛んで帰ろうよ」


 シューネが機嫌が良さそうな所で猫弐矢(ねこにゃ)は刺激しない様に慎重に言った。


「……? はてそう言えば私は何をしに来たのであったか?」


 猫弐矢に言われて周囲を見回したシューネは、前のめりで倒れ込んだ蛇輪を再び見つけた。


「もういいだろう?」

「忘れていた! あの銀色だ、アレが動き出すのをずっと待っていたが……もう良い猫弐矢が言う様にアレを破壊して帰るとするか」


 猫弐矢は藪蛇になったと後悔した。



「あ、あんなのと戦うなんて無理だよ!? あんなのどうかしてるよ」


 駐機場から一歩も動けない残り十数機程のSRV達は、どうする事も出来ず指を咥えて経緯を見つめていた。その中でもこれが初陣となるジェンナは震えが来る程に恐れ戦いていた。


「落ち着いてジェンナ、まだ何の命令も出ていないわ」

「でも何だか自分の判断でアレに突っ込んでいくみたいな空気になってるわよ!?」


 ジェンナは魔法モニター上で後光を背負い空中浮遊する異様な姿の金輪に指をさした。


「そんな空気は無いわよっ!」

「私怖い、凄い意気地なしだって今気付いた」


 ジェンナは本気でガタガタ震え始めた。


「そりゃあんなの見せられたら誰でも怖いわよ。そうだわ、もし無理ならSRV捨てて今すぐ脱走しよ! 戦場って不利になったら兵士は逃げる物らしいわよ!」


 メドース・リガリァのシャクシュカ隊として戦ったジェンナと言っても、それは魔法で洗脳された状態であり、素の状態で戦うのはこれが正真正銘初めてのジェンナは恐怖に慄いていたが、逆にカレンは何度も死線を掻い潜っていて妙に性根が座っていた。


「そ、そうだよね私達元々砂緒やフルエレさんと敵対してた訳だし……命懸ける必要ないもんね!?」


 という結論に至った。駐機場から出撃しない残りのSRV乗り達も似たり寄ったりであった……

 ガンッッ!!


「おいコラーーッ!! 高貴なるボクが乗る魔呂を早く準備しろオラーッ!!」

「へっ?」


 何かが装甲に投げ付けられて、ジェンナとカレンが魔法モニターを観ると、足元には縄でグルグル巻きにされ猿ぐつわまでされた巨乳のセクシーメイドさんを連れた、犯罪者にしか見えない石を握ったウェカ王子が居た。


「むぐうむぐう!!」

(いやあああ、あんなのと戦う魔呂に乗りたくないですーーー!!)


 メアは泣きながら首を振っていた……



 ―ザ・イ・オサ新城内、雪乃フルエレ控室。


「お、おいフルエレなんだか外でズバンズバン言ってるけど放置してていいのかよ? 微妙に振動とか衝撃まである気がするんだけどさ」


 窓を閉め切った部屋に籠っているフルエレを護衛中のシャルは、異様な衝撃や騒音の連続にさすがに不安を感じていた。


「何を慌ててるのよ? どうせ大した騒ぎじゃないわよ。それに何かあっても結局セレネと砂緒がパパッと解決しちゃうのよ。そんな事より貴方も紅茶飲みなさい」


 バンッ!!

 その直後、血相を変えた侍女がノックもする事無くドアを開けて入って来た。


「失礼致します! 女王陛下大変で御座います!! 投票結果発表中に謎の魔ローダーが乱入、攻撃を開始して会場は大混乱となっております!!」


 シャルは言わんこっちゃ無いという顔をした。


「う、嘘よ、戦闘にしては静かだわ。本当の戦闘はもっとドゴンドゴン言うものよ?」


 確かにそれもそうだった。戦っている金輪が音も無く敵を撃破出来る機体であるからの特殊状況でもあったが、フルエレは少し引きつり笑いしながら窓を開けて見た。


「え……何これ?」


 窓を開けたフルエレの眼前には、謎の後光を背負った魔ローダーが浮遊し、その足元には複数の魔呂のパーツとおぼしき物が山積みになって煙を上げて転がっていた。まさにカオスな状況であった。……フルエレは無言で窓をそっと閉じた。


「閉じんなっ!」


 シャルが思わず叫んだ。


「砂緒は? セレネは?? 何とかしてくれるハズよ」

「申し上げ難いのですが……セレネ様が真っ先に撃破されて行方不明、蛇輪は倒れたまま放置され砂緒様は当初から衣図ライグ様と何処かへ……既に脱走したのではとの噂が……」

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