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投票、即日開票 下③ 結果、セレネの衝撃

(ちょ、ちょっとちょっと! 砂緒で二票なの!? その二票も砂緒とセレネの票だったらもう実質ゼロ票じゃないの、全然手心が加わってないじゃない……ガチねもう完全にガチだわ)


 膝から崩れ落ちて泣き続けるスナコちゃんを見て、猫呼は身震いした。同盟の実力者セレネの心の愛人砂緒がわずか二票、それは当然だった。皆明日の自分達の生活が掛かっている投票である。貴重な一票をお茶らけでスナコちゃんに投票する訳も無かった。しかし同情でスナコに投じた一票が後でセレネを苦しめる事になる。


『お次三票獲得、第三候補猫呼クラウディア王女さま』


「ひゃうっ!?」


 ぶつぶつ考えている時に突然名前を呼ばれて猫呼はビクッとなった。


「ありがとう、皆さんありがとう!」

(ガクー三票、このネコミミ美少女猫呼さまがたったの三票なの?? スナコちゃんと変わらないじゃない)


 必死に作り笑いで手を振ったが猫呼は内心穏やかでは無かった。しかし猫呼は闇ギルド主と知れ渡っており、女王になれる訳も無かった。


「も、もしかしてウチ、セブンリーフ女王になれるんとちゃうか!?」

「おおそれは凄いな。ボクは女王のご主人様という事になるナ」

「じゃあ私はスーパー侍女ですねえ」


 相変わらずお気楽な事を言っている三人。


『次四票獲得、第十候補瑠璃ィキャナリースイートス王女殿下』


 おおーーっと地響きの様な騒めきが起こった。


「ほらっ瑠璃ィさん立って! 皆さんにご挨拶して下さい」

「いきなりやって来て大健闘だナ、瑠璃ィ僕は鼻が高いゾ」


 瑠璃ィはおずおずと立ち上がって笑顔で手を振った。


「ありがとうな~~皆友達やでーー……ちっウチに四票ぽっちって此処の連中はアホ揃いやな」

「えっ? 瑠璃ィさん最後の心の声は聞きたく無かったですー」

「ハハハ、メアー誰にでも闇の部分はあるものさっ」


『はい、ここら辺から泡沫候補は終わりまして本番です』

「なんやて!?」


 スナコ始め今まで発表された全員が恐ろしい目で振り向いた。


『次五票獲得、第六候補七華リュフミュラン王女さま』


 まだまだ泣きじゃくるスナコを見ていた七華は突然の呼び出しにハッとして立ち上がった。

 

「あらわたくし?? まあ五票もあれば満足ですわ。お父様以外の方々ありがとう……」


 全ては美貌とプロポーションとおっぱいに狂った男性王族の票だった……


『次六票獲得、第七候補大アリリァ乃シャル王の娘さん』


 娘さんは美人コンテストで大袈裟に喜ぶ女性みたいな感じで、ハッとして口に手を当てて左右を見て、えっ私? 私の事? みたいな小芝居をしつつ前に歩み出た。


「私が七華さまより上?? 光栄です、それでは……喜びの舞を舞いますっ!!」


 娘さんは再び服を脱ごうとしたが食い気味に声が割って入る。


『その様な時間はありません。次、いよいよ上位三名の発表になります』


 再びおおおーーという地響きの様な声が上がった。


「スナコもう立て、安心しろあたしの票読みではフルエレさんがぶっちぎりで文句なしの一発当選になるからな!」

「はぁ……そうなんですか? それよかフルエレはいつ戻って来るんです? 心配ですー」


 スナコは涙を拭きながら立ち上がった。


「お前の余計な劇の所為で気分が優れぬらしい」

「むっアルベルトの件はフルエレが入れろと……」


 と、そこに荘厳なBGMが流れ始めた。


「いよいよだな」


『では第三位、十票獲得第二候補セレネ・ユティトレッド王女様』


 おおおーーーとまた歓声が上がった。


「凄いじゃないですかっ十票ってもう異次元の獲得ですよ」

「十票は多すぎる! それに第二位はつまり……」

「そんな事言って~十票も入って喜んでるんでしょ~?」

「い、いやそんな訳は無い」


 しかしセレネは一瞬だけ嬉しそうだった……


『では第二位……』

「どうした、早く読め!」

『は、はい、第二位、じゅ十九票獲得、第十一候補……姫乃ソラーレ神聖連邦帝国女王』


 シィーーーーーン……

 名前が読み上げられるとまた水を打った様に会場中が静かになった。それよりも同時にセレネの顔がビキッと険しい顔になり多くの人が恐れおののいた。フルエレと違い勉強が出来るセレネはここまでの数字を全て合計していた。つまりフルエレの獲得数がもはや分かっていた。


「どうした、早く読め」

『は、はい。そして第一位は五十票獲得、第一候補雪乃フルエレ女王陛下』


「おおおおおおーーーーー」


 会場中から大きな歓声が上がった。


「クッ〇がぁああああああ!!!!!」


 どっぎゅいいいいいいいんんん!! がんっ!


「いでっ」


 いきなりセレネが怒鳴って魔法マイクを床に投げ付け、それが跳ね返ってスナコのおでこにぶち当たった。それを合図に会場中がシーンとなった。五十一票の過半数に達しないと決選投票になってしまう、それがセレネは許せないのだった。

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