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投票、即日開票 下① 投票へ……

「セレネさん心配しましたよ、トンズラしたのかと思いました」

「何でだ?」


 セレネはギリギリまで魔ローダーの中で敵の出現を待っていたのだ。


『それでは各有権者百名の投票により北部中部新同盟女王を選出します。しかし一番多い得票者が過半数五十一票を越えて居なかった場合、上位者二名による決選投票が行われます』


 セレネは淡々と解説した。


『それでは各地域ブロックごとに壇上に上がって貰いまして投票を順次行って頂きます。では後十五分で投票を開始致しますので、まだご記入されて無い方はお早くお願い致します』


 黒いドレス姿のセレネは深々と頭を下げた。


「ドキドキだなあハハハ」

「私は何か変な人物と思われないか心配よ」

「あの敵女王の役かあ? 似合っていたゼ」

「喜んで良いの?」


 衣図(いず)ライグとエリザベス夫妻が座席に戻って投票用紙を最終チェックした。彼らは既に雪乃フルエレに投票するつもりで変更は無かった。


「セレネさん……貴方の様に乳の低い女性がそういうハリウッド女優みたいな胸元見せドレスを着るとセクシーですね。胸と胸の間が開いた部分が好きなんです」

「離れ乳が好きなんか? マニア過ぎて付いて行けんわ。それよか抱悶(だもん)ちゃんどうすんだよ? さっきの劇でもガン無視したしこのまま放置するのかよ?」

「折角寝てるんです。起きるまではそっとしておきましょう」

「いいんかよそれで。突然起きて怒り出したらお前がタコ殴りにされて責任取れよ?」

「はは、お安い御用です。それにしてもセレネさん本当に細身で綺麗な身体のラインしてますねえ」

「久々にお前が変態だという事を思い出したわ」


 身体のラインがまるきり映ってしまう薄布一枚のドレスを纏ったセレネは赤面しぷいっと横を向いた。今度は綺麗な背中が砂緒の目に飛び込む。短期間でどんどん健康的に肉感的になって行く雪乃フルエレとは対照的に、セレネは細身なスタイルのままだ。スナコはセレネとこそこそ喋る時はホワイトボードを使っていない。


 ―十五分経過。


『はい、ではまずは海と山とに挟まれた小さき王国を先頭に、セブンリーファ後川南側の各王族から投票を開始して頂きます』


 細かい装飾の付いた軍服を着たコーディエが緊張気味に壇上に上がり、どういう意味か良く分からないが投票用紙を一瞬空中に掲げると、そのまま投票箱に投じた。


『はい、投票が終わり次第速やかにお降り下さい』

「は、はい」


 セレネに促されて慌ててコーディエが壇上を降り、くすくすと笑い声が起こった。コーディエに続いて、ロータス王や大アリリァ乃シャル王、タカラ指令等見知った面々が次々に投票して行く。さらには衰退したり吸収された旧王族達も投票して行く。一旦投票が始まると、次々とスムーズに進んで行った。


『次はセブンリーファ後川北側の国々の方々どうぞ』


 心なしかセレネの声が冷たい。壇上に上がるカヌッソヌ市長や北側の少数の国々の連中も最後までメドース・リガリァに協力して統一化に抵抗した後ろめたさもあり、身を縮めて投票を行った。


『次は荒涼回廊の館からラ・マッロカンプまでの海峡国の方々どうぞ』


「来たー!! 王子頑張ってきいやっ!」

「何を頑張るんだ。ただ紙を箱に入れるだけだゾ?」

瑠璃ィ(るりぃ)さんもうすっかりお母さんじゃないですかぁ~~」

「ウチ、二十九やで? お姉さんの間違いやんなあ?」

「そ、そうでしたすいません」


 瑠璃ィが一瞬恐ろしい目になったが、ウェカ王子は二人を無視して構わず壇上に進んだ。


『次はリュフミュラン周辺と東側の国々の方々』


 東側の国々と言っても、もちろん海を越えた東の地の事では無く、ププッピ温泉やコ・ウサ・コ神殿跡がある辺りなどの事である。もちろんまおう軍炎の国の地域、神聖連邦帝国発祥の地や最南端の未開地、二つの角地域等には投票権は無い。


『新旧ニナルティナ王族、貴族の方々どうぞ』


 元々大国であるニナルティナには戦死した為嘉(なか)アルベルトや、ライス氏の様に名門貴族出の有力者が多く、複数の区域から投票者があった。アルベルトの投票権は領地を引き継いだ親族が投票した。


『最後にユティトレッド魔導王国』


 最後にこの投票の管理人を務めるセレネの国となった。セレネ自身と王の代理としてヒューゴーの投票があった。明らかに北部海峡列国同盟に偏重した投票権の区割りになっていたが、実質的に同盟を運営するユティトレッドが自分達の思惑通りになる様に組んだ物で当然であった。


『これで、わたくしも投票を終えました。これより即日開票、集計となります』


 セレネが最後に自らの投票用紙を差し入れて百票全ての投票が終わった。ちなみに塞ぎ込んだ雪乃フルエレの票は事前に受け取っていたセレネが同時に投じていた……


挿絵(By みてみん)

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