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投票、即日開票 中 フゥーの決意

「ありがとう、まさか君達が助けてくれ……」

「シッ、黙ってて!」


 気安く話し掛けて来るシューネを猫弐矢(ねこにゃ)は厳しく叱った。


「どうされましたかな? では良いでしょう、我らで地上出口までお送りします。今後は指定区域内からお出にならない様お願い致します。見たところ投票権無き随伴員の御方の様ですが、持ち場にはお戻り下さい」


 猫弐矢は下手に喜んだりせずに、さも当然という顔をした。


「ええ、それはもちろん。お楽しみは後日他の場所で行いますよ、ふふ」

「左様で御座いますか、では参りましょう」


 警備兵達はとにかくウンザリしているのか、表情一つ変えずにそそくさと三人を地上出口まで送り届けた。



『はい、あとしばらくで小休憩が終了致します。皆さま指定席にお戻り頂きますよう……』


「結局元の中庭広場に戻ってしまったな。すっかり舞台は終わってしまった様だ」


 イェラのアナウンスが流れている。シューネは遠くに見える野外劇場の投票会場と蛇輪を見ながら言った。


「皆が楽しんでる時に魔ローダーで邪魔しようなんて酷いヤツだな」

「でも魔呂が無ければ船まで帰れないよ?」

「騒ぎを起こさなければ良い」

「いや我らの聖都を、聖帝陛下の眼前を魔呂で汚されて我ら家臣が黙っておられるかっ!」

「それは聖帝陛下のお望みなのかい?」

「………………」


 貴城乃(たかぎの)シューネと猫弐矢は睨み合った。


「あの……」

「ああっそうだフゥー君、君が助けてくれて感動しているよ」

「いえ、それより私戦闘員だった時の癖でこの新城の図面や地形を調べてあります。もしお行きになられたい場所があるならばご案内致しますが」

「ふむ、実はあの野外劇場の後ろのさらに小高い丘の地下に建設中の予備の地下魔呂駐機場があって、そこに私の魔呂、金輪(こんりん)を隠してある。そこに案内してくれないかな?」

「お、おいこの子は……」


 重要な事をいともたやすくペラペラ話すシューネを猫弐矢が制止した。


「いいえ、ご心配無く。そこでしたらもはや地下道を通られるより、直接丘から直下に降る非常階段を使われた方が安全かと。ではそこまで押さえられるまでに急ぎましょう!」


 今度は一緒に走ろうとするフゥーを猫弐矢が押し留めた。


「分かっているのかい? 僕たちは本土に帰る為だけど、君は一緒に行く気なのかい??」

「……そのつもりです。お荷物ですか??」


 フゥーは伏目がちに聞いた。


「まさかっ私はフゥー君を大歓迎さっ。喜んで君を神聖連邦帝国に迎え入れるよ」

「君はまたいい加減なっ、この子の人生が掛かってるんだ」

「何を? 君も荒涼回廊から来た女の子を一人迎え入れたそうじゃないか」

「うっそれは……」


 猫弐矢の目が一瞬泳いだ。


「何をされてるの? お早くっ」

「そうだなっ」

「ちい」


 シューネと猫弐矢はフゥーに促されるまま、投票会場の野外劇場を迂回して蛇輪の跪くさらにその裏の丘に向けて走り出した。三人は警備兵の目を掻い潜り、塀を越え外に飛び出した。フゥーは反射神経も運動能力も一切劣っていなかった。むしろ猫弐矢が一番のお荷物的な動きだった……



 ―投票会場の舞台。


『はい、長らくお待たせ致しました。もうそろそろ投票準備も整いますので、あとしばらく待機して頂きます』


 遂に姿を現したイェラはスラリとした長身にフォーマルなスーツを着用していた。砂緒の大好物な格好だ。


『イェラ、フルエレもセレネもまだ戻って来ないの。なんとか場を持たせてっ!』

「おいおい、スナコ何時まで待たせる気だ? セレネは何処へ行った?? 私にはこの場はどうにも出来んぞ」

「客席からお兄様も姿を消したらしいの。一体何が起こっているの??」


 今回の投票の主役の雪乃フルエレ女王、それに会場責任者のセレネ揃って共に姿を消していて、残された何時ものメンバーは焦りに焦っていた。


「一体いつになったら投開票は始まるのですかな?」

「もう待ちくたびれましたワ」


 会場中もざわつき始めた。


「お姉さま、魔法マイクッ!」

「おお、待ったぞ!」


 SRVー2ルネッサから魔法秘匿通信を終えたセレネが大急ぎで戻って来て突然舞台に現れた。


『はいという訳でね、司会代わりまして再びセレネ王女が務めさせて頂きます。早速これから各王族、旧王族の方々、投票に移って頂きます』

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