ひみつの庭園、本当にモンスターがいました…
「う、そんな言い方されたら行かないでって言い難いじゃないですか! お兄様の意地悪!」
「有難う猫呼」
砂緒は猫呼の頭を動物の頭の様にわしわしする。ダミー猫耳がぴくぴく反応する。
「でしたら、お願いがあります。冒険者の方にリュフミュラン王都からさらに北東に天球庭園という朽ち果てた庭園があると聞いた事があるんです。だからそこに行って見て来て、新たな狩場になりそうか下見して来て欲しいです。それで手を打ちます」
「天球庭園ね。まあ、あったら適当にちゃっちゃっと見て来るわね」
「ちゃっちゃって……フルエレさんって慣れたらズボラな本性を現すタイプだったんですね」
「そうですよ、この人の清楚な外見に騙されてはいけないのです」
「貴方に言われたくないわ」
でも清楚な外見……の部分で密かに喜んでしまうフルエレだった。イェラと猫呼が手を振る中、二人は出発した。
「うーーー~~やっぱり気持ちいいーー!」
フルエレはアクセル全開にして気持ち良さそうに叫ぶ。既にライグ村から北上しリュフミュラン王都を過ぎて、北東に向かっている所だった。
ちなみに魔輪は魔法力で動いている為に殆ど騒音らしい騒音は無く、聞こえるのはタイヤが地面に擦れる音や、葉っぱや小枝を踏み締める音だから、風が出て無ければ普通に会話が出来た。
「しかし王都から北東に向かった辺りとはアバウトな範囲指定ですね」
「いいのよ! 適当に探して適当にみつから無ければそれでいいの! お弁当食べて帰りましょう」
先程清楚な外見などと言われた事が嬉しかったのか、フルエレはひたすら機嫌が良かった。
「そうですね、そこでフルエレに言いたい事があるのです」
「……え、な、何だろうな。あはは」
急にドキドキして心配になるフルエレ。
「しかし……前と同じなのですが、遠くにツルハシを持った作業員風の人がちらほら見えますね」
「え、そうなの? こんな所で工事?」
砂緒は屋上ミニ遊園地の有料双眼鏡の能力を持っており、かなり遠くまで見えた。
リュフミュラン王都から真っすぐ東側には海まで大きな街や村は無く、こんな所に道路工事のおじさん達がいるのは不可解だった。
「もうすぐ目の前に、またもや工事の一団がいるので聞いてみますか? 危険は無いはずです」
「そうね、聞いてみましょう!」
鋸やツルハシやスコップを持った一団に二人の魔輪が近づいた。突然の二人の出現におじさん達はかなり驚いた様だが、別段攻撃して来たりはしない。
「こんにちは。こんな所で工事ですか? ご苦労さまです」
ぺこりと頭を下げるフルエレ。
初めて書く小説で読みにくい部分もあると思うのですが、ブックマークをして頂いた方がいて、とても嬉しいです。有難うございます。とても励みになります。