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選定会議開始 緊急動議 上


 引き続き昼食が始まるぎりぎり前まで、セレネは魔ローダー操縦者達に指示を出していた。


「メランさんは目立たない射撃ポイントから動かないで下さい。他の機体も会場からは見えないギリギリの距離に跪いて隠して……」

「セレネ様どうしました?」


 突然黙り込んだセレネにジェンナが心配して聞いた。メラン始め他の皆は堂々めぐりするセレネの話に早く終わってくれないかな~と飽き飽きしていた所だった。当然兎幸(うさこ)はまたスリープモードに戻っていた。


 ピキュイーーーンッッ!!

 が、その時セレネの頭には軽い頭痛の様な、またはあたかも線香花火の最後の輝きの様に何かがバチバチと閃いていた。


「来る! 何かが此処に来るッッ!!」


 セレネは片手で頭を押さえながらガタッと思わず立ち上がった。


「もしかして!?」

「ヤツが、ココナツヒメが此処に??」


 ジェンナとカレンも思わず冷や汗を掻いて立ち上がった。

 コツーンコツーンコツーーン。

何者かが廊下を歩く音が響く。


「え? 歩き、ヤツは歩きで来るの?? 魔呂じゃなくて??」


 メランが思わず廊下の方を見た。


「皆、武器を持て!!」


 セレネの声に従ってメランは久々に魔法の杖を構え、ジェンナは剣をカレンは短魔銃を、ナリは取り敢えず銀盆を握り締めた。

 バンッッ!!

 突然開くドア。


「〇よーん!!」


 砂緒だった。セレネはコケ、他の皆の目は恐ろしく白い目になって視線を逸らした。


「はろ~~!!」


 突如目を覚ました兎幸のみ、砂緒のは〇ーん!! の掛け声に元気に挨拶で返した。


「セレネとメランと兎幸の居る所砂緒さまの影あり。ふむふむ兎幸は今日も元気ですな! 何か重要な会議がある時は、この同盟の裏盟主である砂緒さまをのけ者にするなど酷いですぞイケズ~~」


 セブンリーフの人々には絶対に伝わらない物真似を連続で披露して人々を氷河時代に叩き込んでもまったく動じない砂緒だった。


「ただ単にセレネさまの濡れ落ち葉ってだけだろ、この御邪魔虫がっ」

「しっ聞こえたら絡まれるよ」


 メドース・リガリァ攻めはセレネも雪乃フルエレも同じ事なのだが、特にジェンナとカレンとフゥーは砂緒の事を目の仇にして嫌悪していた……


「おやあっそこに居るのは現地妻ではないですか、息災であったか?」


 目ざとくカレンを発見した砂緒が彼女の後ろに笑顔で立った。


(来たー、無視よ無視)

(見ちゃダメ)

「ツーーーン」


 ジェンナとカレンは気絶した様に目を閉じて固まった。


「止めてくれっ!! 見てられん。それ以上ヘン絡みするな。あたしが全ての犠牲になる。絡むならあたしに絡めッ!!」

「はいはい、嫉妬ですね分かりますよ」


 何とかジェンナとカレンは砂緒被害を回避出来た。


「ふう、どうしてセレネ様の様な素敵な王女があんな砂緒と付き合ってるのか意味が分からないわ」

「弱みを……握られてるのかも」

「あり得る」


 等と陰口を言われていても笑顔の砂緒はセレネを昼食に誘った。


「セレネさんそろそろ昼食にしましょう。午後からの選定会議に間に合いませんぞ」

「仕方ないわねーこのメランちゃんも付き合ってやるかっ」

「兎幸も忘れるなっ!!」

「そうだな、警備会議も煮詰まっていた所だ。ど、どどどうだろう、ジェンナさんとカレンさんも、御一緒しないかな?」


 セレネは緊張を隠しながら必死に二人を誘った。しかし二人にはそれが威圧的に誤解して感じた。


「あははは、私らはご遠慮します……畏れ多いです」

「二人で片隅でハンバーガーでも食べておきます!」

「有難う御座います!!」

「行こ行こ」


 二人は作り笑いを浮かべながらペコペコ頭を下げ、そそくさと会議室を出て行った。


(……緊張しながら必死に誘ったのに……断られた。恥ずかしい……)


 ポンッ

 セレネが振り向くと、砂緒が薄ら笑いを浮かべながら肩に手を置いていた。


「お前に慰められたくないわーーーっ!!」

「アーーーッ!!」


 砂緒はセレネに蹴り飛ばされたが、くるくると回転して見事に着地した。


「よし、今だッ!! スナコちゃーーーんフューチャーーーチャーミーーン、メタモルフォーーーーーゼッッ!!!」


 言いながら砂緒は謎の舞を舞い始めた。


「台詞変わってるよね?」

「えっまたまた変なタイミングで?」

「待って待って、先に昼ご飯よ!」


 ジャーマネのメランの提案により変身は昼食後となった。



 ―昼食終了。


「イェラさんの麺料理美味しかったね~~」

「どんどん本格的になって行きますな」

「ケータリングサービスも始めたのね」

「と、いう訳でメラン殿兎幸お頼みします!!」

「覚えてたんだな。お前本当にスナコちゃんで出る気かよ……」

「当たり前ですーー」

「なんか腹立つな?」



 ―約三十分後変身完了。


「はやっ!!」

「セレネさん麻痺してますよ、三十分掛かりましたから」

「新記録樹立だよ!」


 スナコちゃんは今回はシックなドレスで登場した。


 キュキュッ

『セレネちゃんちょっと式次第見せてくれない?』

「あっああ? いいぞ。最初にあたしが選定会議の開会宣言をして、次に立候補者の紹介読み上げ、そしてフルエレさん始めこの場に来ている立候補者による簡単なスピーチやアピールタイムの後、小休憩を挟んで投票となる。全部昨日あたしが組み上げて来たからな。まっ最初からフルエレさんを勝たせる為の場だ」

『ふむふむ、なるへそ……』


 スナコちゃんはセレネが書いた式次第を必死に熟読していてセレネは怖かった。


『むふふ、はい』


 スナコは最後に笑うと紙をセレネに返した。


「な、なんだよ怖いなお前……」

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