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思わぬ再会とニアミス 下 貴城乃シューネからのドレス

 瑠璃ィ(るりぃ)キャナリーは、セクシーなメイドさんのメアや七華王女程では無いが、開いた胸元の前でササッと腕を組んで隠した。


「瑠璃ィさま、貴方にはひと肌脱いでもらいます!」

「よ、容赦なく畳み掛けるなあ……知らへんかった、シューネがそこまで年上のウチの事を、欲情してたやなんて……」


 仕方なく、おずおずと瑠璃ィは真っ赤な上着のジャケットを脱ごうとした。


「何をやっとるんですか? 此処で脱いでどうするんですか? 常識で考えて下さい」

「あっ違うんや? でも常識で考えて下さいって自分の事をよー見いや? 聖都では堅物で無口で朴訥で仕事一辺倒て言われてるお前が、ミョーなマスク付けて出歩いてるて信じられへんわ。そやっ聖都に帰ったら絶対に姫乃殿下にお伝えするわ。いい土産話が出来たわ~~」


 その言葉を聞いて、突如シューネは土下座した。


「お、お止め下さいお願いします。若君にも全く同じ事を言われました。絶対に言わないで下さい」

「プライドの高いお前が土下座やて!? 早う立ちや! 言わへん言わへん」

(多分なー)


 シューネはゆっくりと立ち上がった。


「本当ですね?」

「……好きやねんな? イメージ崩しとうないねんな?」


 今度はシューネは愕然とした顔して、直後に周囲を必死に見回した。


「誰にも聞かれておりませんね? 口が裂けてもその様な事を言わないで頂きたい。そうで無くとも姫殿下と私が口を聞いただけでとやかく言う者が多いのです。ただ私のイメージが崩れると、純粋な心根の姫殿下がショックでご体調に変化を来さないか心配したまで」

「なんでやねん。なんでシューネのイメージが崩れたら姫殿下がご体調を崩すねん。よーわからん理屈やな。んで、ひと肌脱いでってなんやねんな?」


 シューネは服を整え直した。


「はい、この後大急ぎで手配してシックでエレガントなドレスをお贈り致します。投票会場にはそれを着てご入場頂きたいです。サイズをお教え下さい」

「え、やっぱり……シューネって……趣味を押し付けるタイプなん?」

「お願いします話が進みませんので。貴方には神聖連邦帝国の存在をセブンリーファ島の人々にアピールする為にひと肌脱いで頂きたいですの! ですからそのヒョウ柄のスパッツでは駄目なのですよ!」

「なんでなん? ヒョウ柄と飴ちゃんはウチのアイデンティティやで」

「いえ、それでは困ります。ちゃんと着替えてもらいますよ!!」


 シューネはピッと指をさした。


「なんやよーわからん展開やな、まーいいわ着といてやろか。でもやっぱ姫殿下にはシューネが変になってた言うとくわ」

「お願いします、それだけはお止め下さい」


 シューネは再び土下座した。


(お、面白いやんこれ!!)


 瑠璃ィは半笑いになって見た。



 一定時間後。ザ・イ・オサ新城ラ・マッロカンプ王国控室。

 コンコン


「瑠璃ィさま、貴方にお届け物で御座います」


 シューネの手の者の女数人が衣装ケースを運んで来た。


「お手伝いも致します」

「おっ来た来た。ちょっと失礼するでごめんやっさ」

「お、おい瑠璃ィまた何処に行く!?」

「ちょっ瑠璃ィさん??」

(ちょっと気を遣い過ぎですよーっもーっ)


 メアは再び二人きりになって赤面してウェカ王子をちらっと見た。



 さらに一定時間後。

 ガチャッ


「戻って来たでーーー」

「おっ戻って来たか瑠ブフーーーーーッッ」

「あっ瑠璃ィさブフーーーーーッッ」


 ウェカ王子とメアは今飲んだばかりのコーヒー牛乳を思い切り吹いた。


「うわ、ばっちいなあドレスに掛けんといてやー」

「げはっごほっ、何なんだそのドレスは!? まるでどこかのお姫様じゃないかっ」

「うわっキレーですよ瑠璃ィさん」

(でもちょっと年齢に合って無い気も……)


「そーーかなあ変やろか?」


 瑠璃ィはひらひらのドレスのスカートを持ち、くるくると回転した。


「ちょっちょっと良く見せて……うん、瑠璃ィ綺麗だ……」

「えっほんま!?」


 瑠璃ィは頬に両手を当てて赤面した。


「瑠璃ィ、ちょっと胸に顔埋めていいかな?」

「ちょっとだけやで? ドレス汚さんといてやあ。ほんま甘えんぼさんやなあ~~~」


 言うや否やウェカ王子は既に瑠璃ィに抱き着いていた。


(エーーーーーーー!?)


 メアは最大限目を細めて二人を見た。



 一方、ザ・イ・オサ新城、警備指令本部。


「ジェンナさんメランさん良く来て下さった。ん、カレンも何故此処にいる?」


 砂緒を放置し、あちこちせわしなく走り回るセレネが、今度は警備計画を指令していた。


「あっあの、その……」


 セレネにギロッと睨まれしどろもどろになるカレンだった。


「あっセレネさま、この子は私の大切なパートナーで、魔ローダーにも一緒に乗るんです」

「そ、そうなんです……駄目でしょうか?」


 カレンは上目遣いにちろっと見た。


「ふん、そうなのか? ジェンナさんが言うなら仕方ないな」

「お許し有難う御座います。それに、私の様なぽっと出の元敵将にこんな重要な局面の魔ローダー警備を任せて頂いて本当になんと言って良いか。この警備、式典必ず成功させます!!」


 ジェンナはグッと握った拳を掲げた。


「敵等と……洗脳されていたのでしょう。それに実力と実戦経験がある方はとても貴重な存在。こちらこそ貴方に参戦して頂いてとても有難い」

「あの、セレネさん私もいますよ~~」

「あ、あすすいませんメランさん貴方も頼りにしていますから」


 ジェンナとカレンはやたらセレネ王女に強く出るメランを見て、二人はどういう関係なんだろう? と思った。

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