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困った時の決闘頼み! の巻 中 予告状……


「私は雪布瑠(ユキ・ふる)です。とても高貴なお仕事をしています」

「ほほう高貴なお仕事とな? なんともミステリアスな子だね? ……おやっ君何処かで会った事あるかい?」

「いえ、無いと思いますが」

『違うでしょ名前を登録すれば誰でも簡単に出来るお仕事よね!?』


 スナコは貴城乃シューネがなるべく雪こと雪乃フルエレ同盟女王に興味が向かない様に慌てた。砂緒自信がその目で東の地の神聖連邦帝国の姫殿下、姫乃ソラーレがフルエレにそっくりな事実を目撃して困惑したので、彼がどの様な態度に出るか未知数だったからだ。


「んーん、とても高貴なお仕事よ」


 雪が再びきっぱりと言い切ったのでスナコはコケた。


「そうなんだね、その内容とは?」

『違うよね、誰でも簡単に出来る……』

「んーん、高貴なお仕事よ」

「やめい、もういいわっ!! はいはいあたしゃセレネ・ユティトレッドな。友達に手出ししたら承知しないよ!」


 お館さまが俄然雪に興味が出たのを感じて慌ててセレネも割って入った。


(何!? 今度はニナルティナと並ぶ北部の雄ユティトレッド魔導王国セレネ王女が此処に? 一体どういう連中なのだ??)


「ほほう。そうだ、セレネくんは最近流行している学園生活におけるぼっち現象……についてどう思うかね?」

「……ぼ、ぼっちじゃねーよ、あたしは別にぼっちじゃねーよ、ぶつぶつ」


 先程まで自信満々だったセレネが突然力なく小さくなってしまった。しかしセレネ自身が完全に忘れているが彼女には討伐部部員という大切な友達が二人存在する。彼女らがひたすらセレネを待ちわびている事を知らない。


『セレネッ!? 元気出して貴方には私達がいるのよ!』

(くっこの男何故、セレネの弱点を把握しているの??)


 スナコは必死にセレネを励ました。


『私はスナコちゃんよ、どうやら貴方とは反りが合わないみたいね。大切なセレネをこんなにした貴方を許せないわ!』

「スナコちゃんとな? ふふ君の様な可愛い女の子に嫌われたくはないな」


 シューネは本気でスナコを女の子と認識してしまった様だ。

 フッッ

 がその直後、突然魔法ランプが全て消えて真っ暗闇になってしまった。


「きゃあ何!? 停魔よ??」

「ぶつぶつ……ぼっちじゃねえ、ぼぼぼっちじゃ」

『ーーー!?』(文字が書けない)


「ハーーーーーハッハッハッハッ」


「にゃーーっ!?」

「何だよ、この不気味な笑い声は?」

「お館さまじゃないの? 変態だわっ暗闇の内に触りまくる気よ! 近付く物全てを殴り倒すのよ、しゅっしゅっ」


 雪は暗闇の中でシャドーを始めた。


『イデッ雪ちゃん何するの?』(蓄光マーカー)

「背後から接近したらダメ」

「お前どさくさ紛れに……」

「まあっ皆で妖しい事をしちゃいますの? いけないのね……」

「心外だこの消灯は私では無い!」


 パッ

 しかししばらくして魔法ランプは再点灯した。


「見てくだされい、あそこじゃっ!!」


 庭師猫弐矢(ねこにゃ)が指差す先を見ると、テーブルの花瓶に何かのカードが突き刺さっていた。


「見て! 硬い花瓶にプラのカードが突き刺さっているわっ!」

「にゃにゃっ!?」

「こりゃとんでもない達人じゃ無いと出来ねー技だな」


 セレネが鋭い目付きでカードを見た。


『あ、セレネさん復活した』

「ふむ、私が取ってみようか」


 お館様が代表して花瓶に突き刺さったカードを引き抜いた。


「……何々、今夜世界が深い眠りに陥った頃、七華メイドを頂きにあがります、怪盗三毛猫仮面……とな」

『ナン・だってぇーーー!?』

「にゃにゃっ三毛猫仮面復活にゃ??」

「あらあら、たかがメイドのわたくしがさらわれる……? いやですわぁ」


 等と言いつつも七華メイドは頬に両手を当てて嬉しそうな顔をした。


「高貴な私でも王女の猫呼やセレネでも無く、どうしてメイド風情の七華なのよ!?」

『雪ちゃん風情呼ばわりはちょっと……』

「怒られるぞ? てか七華だって……いや、七華はなんだっけ?」

『庶民出のセクシーメイドさんでしょ?』


 しかしお館さまは話が良く見えなくて苛立った。


「おいおい、その三毛猫仮面って一体何なのだね?」

『三毛猫仮面……いいですわ、お館様にその正体をお教えしますわ!』


 そう言うとスナコちゃんはスッと椅子から立ち上がり、コツコツとゆっくりと歩き始めた。


『よし、わかったッ!! 犯人は……猫弐矢お兄様、貴様だッッ!!』 


 ビシィッ!

 庭師猫弐矢の真後ろに立ったスナコちゃんは、やおら彼の後頭部に指を指した。ビクッとして猫弐矢は振り返ってガタッと立ち上がった。


「何を仰る? ワシには何の事やらわからんのじゃ、事実無根じゃゴホゴホッ」

「お、お兄様大丈夫、落ち着いて水を飲んで」


 慌てて猫呼が背中を撫ぜた。


「スナコ、皆が薄っすら思っていたけど、何だか言ってはいけない気がして黙っていた事なのよ? ちゃんと空気読んで」

「わわわ、ワシじゃ無いんじゃ信じてくれ! どちらかと言えばワシはセクシー系よりは猫呼ちゃんみたいな可愛い子が好きなんじゃ!」

「もうーお兄様ったら」

「それはそれで普通に犯罪だろ……」

停魔 停電の魔法版であろうが詳細は不明。


姫乃ソラーレ 理由不明だがヒロイン雪乃フルエレと顔声が同じの、東の地西半分を治める神聖連邦帝国聖帝の娘で紅蓮アルフォードの姉。国の代表者でも何でも無いが政治や軍事で父を多く手助けしている。今話タカラ山古城お館さまに扮する貴城乃シューネとは幼馴染で元学友。

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