表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

504/1099

困った時の決闘頼み! の巻 上 晩餐会

 ―その頃、新城のふもと。


「おかしい……ここにはタカラ山砦を転用した新築があるハズなのに、見えているあの城は数百年は経ってる感じのボロボロ廃城……地図が間違っているのかな?」

「もうそんな事どうでもいいじゃない、早く近場の街か村で宿屋を探そうよ、野宿はいやよっ!」


 地図を片手に歩く超S級冒険者の紅蓮アルフォードと美柑(みか)ノーレンジがやって来ていた。紅蓮も東の地からセブンリーフ南に割拠するまおう軍のまおう討伐に単身やって来ていたのだが、偶然出会った美少女美柑との旅を続けたい為に、まおう討伐を伸ばしに伸ばしてダラダラと生活していた。


「はぁ~~仕方が無いわねえ、紅蓮頭を出して?」

「へ? よく分からないけどこうかな!?」


 ポカッ!!

 突然美柑は紅蓮の後頭部を魔法の杖の硬い宝石の部分で鈍器の如く殴った。


「いたっ何するですか!?」

「ごめんごめん、でも周りを良く見て、今貴方に一瞬で解呪魔法と魅了解除魔法を適当に掛けてみたのっ!」

「適当て? わわ……ほ、本当だ……今まで美少女だと思っていた美柑が凄く……アレな感じに見えるよ」

「え、嘘……嘘よっ!」


 美柑は両手を頬を当ててわなわなと震えた。


「なーんて、嘘でした。でもこれは!? 周囲に兵隊さんやメイドさんが寝転んでて、古ぼけた城だと思ってたのがちゃんとした新城に戻ってるよ!」

「本当!? 私も見たい見たい」


 という訳で紅蓮で実験した美柑は自分にも魔法を掛けたのだった。


「どういう事だろうね?」

「多分魅了魔法をお城の結界魔器で増幅して皆を催眠状態にしたのね……でもま、私達には関係無いっしょ、ささ行こうよっ!」


 美柑は事も無げに寝てる人ゝを避けて通り過ぎようとした。


「待ちんしゃい! こんなの異常だよ僕ら力でバシッと解決しないの?? 寝てる人達起こしてあげないの??」

「なんでよ疲れるわよ、どうせ同盟軍同士の内輪揉めか何かでしょ? 知らんわよ、紅蓮行こっ!」

「美柑って案外冷たいんだね。言葉遣いも微妙に変化してる気がするし」

「バレたかっ、これが隠してた私の本性なのだっ! 嫌いになった?? でももう私再建されたグルメタウンに行くから!! 出でよフェレット!」

「やったぜーーーっ久々に復活!!」

「こんな所にお姉さまは居ないわっ! わーーーーーん」


 美柑は叫びながらフェンリル化したフェレットに乗って走って行った。しかしこんな所にお姉さまは居て、またしても姉妹はすれ違ったのだった……


「あーあ行っちゃったよ。でもフェレットが居るし平和になったこの地では危険も無いと思うし、まいっか! よ~~し、ボスっぽいヤツをぶちのめしてやるぞ~~~!! ぬははははは」


 本筋であるまおう討伐には見向きもせずに、ひたすら横道に入る紅蓮は笑いながらタカラ山新城の石段を登って行った。



 ―そしてお館さまの夕食会に戻る。


『だははははは、ハライテーこ、こいつひよってやがるぜっヒャッハーー!!』


 セレネやスナコちゃんはここぞとばかりに指を指して爆笑(わらい)続けていた。


「わ、わなわなわな……ひ、ひよって等いない、ひよってなどいなわーーっ!! 第一、君達の中にも妖しいパピヨンマスクを装着した子や猫耳を付けた子が居るじゃないか!?」

『うっそれは』

「ネコミミ関係ある!?」


 お館さまこと貴城乃(たかぎの)シューネには考えがあった。彼は自分に顔がそっくりな主人公の砂緒の到来を待っていて、彼が来た時にガバッとマスクを外してびっくりさせてやろうと考えていたのだ。しかし彼はスナコちゃんがその当の砂緒だとは認識出来ていなかったのだった。


(無駄に地元民共に顔を晒す訳には行かない。しかし親切心で入れてやればなんと無礼な連中であろうかっ!)


 貴城乃は妖しいパピヨンマスクを装着した雪こと、雪乃フルエレ女王と目が合って少し違和感がしたが、それが何か良く分からなかった。


「爆笑はもういいじゃない? 一旦落ち着いてお夕食を始めませんの?」


 七華メイドは身を屈めスナコの耳元で吐息混じりに囁いた。視線に深く開いた胸元が入り、耳に生暖かい息が触れる。


『ごくり……え、ええそうね。一旦落ち着きましょ! 美味しそうなお料理よ』

「毒とか入ってねーよな? よしスナコちゃんお前先に一人で完食しろ!」

『私硬くなれますが別に内臓が強い訳じゃ無いですが……』

「内臓も硬化すれば乗り切れるんじゃね?」

『滅茶苦茶言わないでよ』


「どうしたんだね? 凄く美味しいぞ、皆も食べたまえハハハ。それよりも私はまだ君らの自己紹介を受けていないな。良ければ教えてくれたまえ!」


 貴城乃は美味しそうにステーキを食べ始めた。


「私は猫呼(ねここ)クラウディアにゃっ最近急ににゃーにゃー言い出したにゃ!」

(何!? いきなり猫呼クラウディア王女だと??)

「ほほう? 最近急ににゃーにゃー言い出したのかい? 可愛いねえ」


 お館様の貴城乃は猫呼(ねここ)と庭師猫弐矢(ねこにゃ)のネコミミをしげしげと見比べた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ