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タカラ山新城に向かえ 下 スナコちゃん&パピヨン雪布瑠ちゃん新コンビ誕生!? の巻


 ―現在、ロミーヌ城大広間。

 雪乃フルエレと猫呼(ねここ)クラウディアとセレネは会話に花が咲く事も無く、死んだ目で大テーブルの前でうな垂れて固まっていた……


「は、はよせーや」


 セレネが呟いてテーブルに顔を埋めたちょうどその時。

 バタンッッ!!

ドアが勢いよく開け放たれた。


「スナコちゃん出来たよ~~~」

「聞いて下さい、四十分で完成しました! 新記録です、二回目だけど……」


 待っていた連中とは対照的に興奮気味に入って来た兎幸とメランの後ろから、既に世界観に入ってしまったスナコちゃんが、恥ずかしそうに俯き加減にゆっくりと入って来た。給仕の一人がまたまた可愛い女の子が一人増えたと勘違いして、チラッと見てから目を伏せた。


「どうどうフルエレ?」

「どうですかフルエレさん? 今回はゴシックロリータ感で攻めてみましたっ」


 メランが言う様に可愛いお下げ髪のスナコちゃんは、猫呼の普段の衣装である白と黒のエプロンドレスをゴシックロリータ風にした様な可愛いフリフリとしたワンピースを着ていた。兎幸が強引に感想を求めるのでフルエレが仕方なく答えた。


「確かに完成度は高いわよ……」

「ヘンな所を攻めるなよ……なんか腹立つんだよな」

「待たされるのさえ無かったたらね~~~ヤレヤレ」


 猫呼が伸びをしながら言った。


「見て下され、今回はちゃんとニーソを履いておりますぞ」


 バシャッ

 突然砂緒が本来の声で普通にしゃべり出してスカートを少しめくったので、見ていた給仕が思わず銀盆を落とす。


「うゲロー、マジで止めてくれ」

「話しちゃ台無しだって言ったでしょ」

「済まぬでござるよ……ホワイトボードでしたな」


 キュッキュッッ

『どう? 恥ずかしいけど、可愛いかな……』


 スナコちゃんはわざわざ銀盆を落とした給仕の前に立ち、顔を接近させてホワイトボードで聞いた。聞かれた給仕さんは困惑して冷や汗が噴き出る。


「か、可愛い事は可愛いで御座います」

『うふふ』

「うふふじゃねーわ、困惑してるだろが。いい加減にしろよ」


 セレネはスナコちゃんの腕を引いて席に戻した。


『セレネちゃん嫉妬?』

「セレネちゃん言うな。どういう立ち位置のメカニズムの嫉妬だよ解説しろよ……」


 だがセレネは少し赤面していた。


『この後メランどうするの?』

「呼んでおいて酷いわね。帰るに決まってるでしょー兎幸ちゃんお願いするわよ」

「あいあい」


 バンッ!!

 兎幸が返事した直後、今度は緊張した面持ちの執事が入って来た。


「砂緒さま大変で御座います、タカラ山新城がなにやら怪しげな者達に乗っ取られてしまったと……兵達の中に紛れ込ませていた間者からの報告でございます!」

「ナン・だってー!?」

「乗っ取られたですって!?」

『怪しげな者って?』


 しかし執事は砂緒が見当たらなくてを首を傾げた。


「ああ、気にしなくて良いぞ、砂緒は今お星様になってしまったんだよ……」

「はぁ? ではセレネさま、何やらその占拠した者は砂緒様にそっくりな顔をしており、名前を貴城乃(たかぎの)シューネと言い、砂緒さまの兄を自称しております。さらに七華リュフミュラン王女殿下と、猫弐矢(ねこにゃ)と名乗るネコミミを装着した怪しげな男を引き連れ行動しておるよし」

「顔そっくりで砂緒の兄を自称ですって?? なんかそんな話、どっかで聞いた事あるような無いような」


 雪乃フルエレが怪訝な顔をした。


「猫弐矢お兄様まで……? 何をやってるのよ」

「完全にシューネじゃん」

『やだっシューネですって』


 猫呼は困惑し、スナコとセレネは顔を見合わせた。


「何にゃの? 何で二人だけ分かった顔してんにょよ?」

「とにかくタカラ山新城に行くのよね? 砂、スナコちゃん……」


 フルエレの問いにスナコちゃんの額に冷や汗が流れた。


『メランちゃん……妖しげなパピヨンマスク持ってる?』

「はぁ? 妖しげなパピヨンマスクですって? ………………あるよ」


 メランはもはやドラ〇もんの様に衣装トランクからパピヨンマスクをスッと差し出した。


『フルエレちゃん、何も言わずこのパピヨンマスクを装着して、しばらくの間貴方はおきゃんな町娘の雪・布瑠(ユキ・ふる)ちゃんになってくれませんか?』

「おきゃんな町娘は妖しいパピヨンマスクを装着していないぞ」

「えっ……何も言わずに妖しいパピヨンマスクを装着して欲しいですって?? ……何で私がそんな事しなくちゃいけないのよ、ふざけてるわっ………………付ければいいのね?」


 セレネはコケた。


「フルエレさん順応力たけーな」


 フルエレはやおらパピヨンマスクを装着した。もっともパピヨンマスクと言っても七色のギラギラした物では無く、金属細工製のシックな仮装用マスクとなっていたので美しいフルエレの顔に違和感は無かった。


「おきゃんな町娘の雪布瑠ちゃんね……いいわっやってみる!!」

「割とノリノリだな」

『フルエレ、貴方を守る為なの』

「ふぅ、なんだか大変な事になったようですね。では私と兎幸さんは近隣の国に応援依頼でもして来ましょうか」

「メランさん助かる。でもロミーヌ王国とユッマランドは避けてくれないか。今取り込み中で」

「えーーユッマランドの魔ローダーをあてにしてたのにィ」

「すいませんメランさん……」

「良いわよ、なんとかしてみるわよ、兎幸ちゃん飛びますよっ!」

「あいあい!!」


 もはや完全に乗り物と化した兎幸と未確認飛行物体に乗ってメランは窓から飛んで行った。


『よ~し、でわ私達は早速囚われた七華ちゃんを助けに行くのよっ!』


 スナコちゃんはビシッと指をさした。


「いらんわっ!」

「あの子なら大丈夫よめんどくさいわ」

「七華ちゃんならどんな状況でも乗り切るわよ。それよりお兄様よっ!」

『酷い言われようね……』


 等とわいわい言いつつ、緊張感の無いままスナコちゃんを先頭に駐輪場に歩いて行った。

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