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タカラ山新城に向かえ 中 謎の美少女スナコちゃん再降臨……①

「お兄様が、猫弐矢(ねこにゃ)お兄様がセブンリーフの地に……」


 猫呼は嬉しい反面もし対面出来たとして、つい最近同盟首都新ニナルティナにもう一人の兄、猫名が攻め込んで来たという複雑な経緯をどう伝えようかと思い悩んだ。そしてそれは横にいる大親友の雪乃フルエレ女王には絶対に伝えられないという思いも彼女を苦しめた。


貴城乃(たかぎの)シューネですか……」

「よりによって貴城乃シューネかよ」


 そしてほぼ同時に砂緒とセレネが同じ感想を漏らした。


「おや、セレネはシューネの事知ってましたか?」

「バカかよ、ナノニルヴァの交通警備兵に不純異性交遊罪で捕まった時に、そいつの名前を出して脱獄したんだろーが」

「ああそうでしたな」

「にゃにゃっ不純異性交遊罪にゃ!?」


 耳年増な猫呼が色めき立った。


「ああ猫呼先輩、あたしゃらはそこまで進んでるんだよ……」

「嘘よね? セレネ……」

「猫呼ってにゃにゃとか言ってたかにゃ?」

「ソコに触れないで……急にキャラ付けする事ににゃったのよ」


 猫呼は激しく赤面した……


「でもたかぎの? シューネ? 何者なのよ」


 雪乃フルエレが怪訝な顔で二人を見回した。


「い、いえ何でもござらんよ、ハハ」

「そうだよな、お前は唇の記憶があるものな」

「唇……何なの? どうしたの??」


 フルエレにしては珍しくしつこく食い下がった。


「なな何でも無いですって! セレネさんそれは言ってはダメな奴です、てかセレネ見てたんですか!?」


 砂緒はセレネの両肩を掴んで小声で言った。


「さあ」


 セレネは振り返って一人笑った。砂緒は一瞬、東の地の聖都ナノニルヴァで姫乃ソラーレの隙を突き唇を奪ってしまった事を思い出した。そしてその彼女は不思議な事に微妙な年齢差以外、目の前の雪乃フルエレ女王と顔も声も全く同じ女性だった。だから余計フルエレには知られたくなかったのだった。


「お、何だ何だ、やっぱり結構有益な情報だったらしいなっ!? しかもお前に顔そっくりな男にはお前の名前は出さなかったからなっ! 感謝してくれよなあハハハ」

「それは感謝しますぞ……」


 そして衣図ライグが言う通り、雪乃フルエレと姫乃ソラーレが同じ顔声であるのと同様、主人公砂緒と貴城乃シューネも年齢差以外は顔が同じであった。


「おっじゃあ場が和んだ所で俺は無罪放免って事で此処に住んでいいんだよな!?」

「それは無い」

「それは許さんぞ」

「それは止めて頂きたい」


 同盟総司令官のセレネと中部最大のユッマランド王とオゴ砦近くのロミーヌ王が同時に否定した。


「とほほ、厳しいぜっ」

「では早速ナリ殿お願いがあります!」

「ははっ何なりとお申し付け下さいませ」


 先程から既に魔呂から降りている執事見習いのナリが砂緒に畏まった。


「衣図ライグがこのままちゃんと退去するを王達の下見届けた上で、リュフミュラン王に依頼を完遂したと書簡でお伝え願いたい」

「かしこまりました」

「ナリ殿、君の姉上はとても素晴らしい姉上でしたぞ! なんなら拙者を義兄とも思って頼って下されい……」


 突然砂緒はナリの両肩を抱いて泣き付いた。


「は? はぁ? それは……どうも」

「怖いから止めろ? 戸惑ってるだろが」


 セレネに無理やり引き剥がされる。ナリの姉リナと砂緒が悪戯心に一晩を共にしたのは誰も知らない事だった。


「では拙者らはこのまま魔輪でロミーヌ城に赴き、そこで一晩泊まらせてもらいたい!」

「え、出るの? 今から??」

「ブーブー」


 フルエレと猫呼がびっくりした。


「なんでえ此処に泊まればいいじゃねえか?」

「いや、衣図ライグは今晩此処を即時退去する身、我らがここの館で寝ればナアナアとなり退去に支障が出かねないでしょう。衣図が退去するなら我らも此処には泊まらない! 王様達お願い致します」


 オゴ砦に宿泊して監督する立場の二人の王に頭を下げた。


「うむ、よいじゃろう」

「どうぞロミーヌ城にお泊り下さい。使者を出しましょう」

「何だよお前変な所が四角四面だな。でもまあ嬉しいぞっ! 私の顔を立ててくれたんだな」


 セレネは少し嬉しかった。そして砂緒達は手を振り本当にそそくさとオゴ砦を出発しようとした。


「ちょっと待って~~~! 待ちなさ~~い!!」


 が、そこに慌ててリズが走って来た。


「ああエリザベスさんの事を忘れていたわっ! いっけない借りパクしちゃう所だったテヘ」


 フルエレは片目を閉じペロっと舌を出した。


「はぁはぁ待ちなさいって……はぁはぁ」

「ごめんなさい、はいこれ魔銃と腕輪! 凄く役に立ちました」

「はぁはぁ運動不足で息が切れて。てそんな事じゃないの! それはあげるわよ。そんな事よりフルエレ、貴方は今も私にとっては会ったばかりの頃の可愛い妹みたいな存在よ、それを忘れないで! それが言いたかったの!」

「リズさん……」

「女王になったからって昔の貴方を忘れないで!」

(お互いさまですね……)


 二人は泣き笑いでしばし抱き合い、皆二人を見守った。フルエレはリズがようやく昔の優しい人に戻ってくれた事が嬉しかった。



 ―次の日。

 ロミーヌ城、朝食会場。


「まだ眠いにゃ~」

「ふう昨晩は城内でドキドキのイベントが盛りだくさんでしたなあ」

「意味の無いウソ付くなよ」

「着いたらすぐに寝ただけでしょ」


 等と言いながら食事を終えた砂緒は突然すくっと立ち上がり腕を天に掲げた。


「スナコちゃーーーん、スーパーーーマジカ~~ル、メイクアーーーーーップ!!」

「ぶっ」

「え、このタイミングで?」

「にゃにゃっ!?」


 そして天に向かって腕を伸ばした砂緒はそのまま謎の舞を舞い始めた。


「ちゃららーちゃらららーーらーーーでゅーわっ」

「遂にBGMを自分で口ずさみ出したぞ」

兎幸(うさこ)がなかなか来なくて困惑してるのね……」


 バンッッ!!

 その直後、朝食会場となった大広間の大きなドアが開き、ポットを持った執事や侍女達が振り向く。


「ハァハァ何なのよもう! 私朝食中なんですけど!?」

「はろ~~~砂緒来たよ~~!!」


 城の大窓を蹴破る訳にも行かず、未確認飛行物体で瞬時に飛んで来た兎幸(うさこ)とメランは、わざわざ玄関から走って来た。

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