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雌伏のじっ、ジークフリード 中 思わぬ再会


「アイスベルグッ!!」

「ふははは、もはや無駄だと分からん様だなっ!」


 シャキーーーーン!!

 セレネが後ろから氷魔法を掛けるが、魔ローダーアネーロは完全に見切って避け続ける。


「……これで本当に良いのか砂緒? どうなっても知らんぞ」


 セレネは砂緒と事前に打ち合わせた通り、ある程度攻撃をすると後は何もしないで見守った。



「はーーはっはっはっ、もはや衣図ライグの館は目前、あれを踏んでトンズラだぜっ」


 パンッ!!

 アネーロに乗る騎士風の男が勝ち誇った直後、魔ローダーの眼球に正確に魔銃の魔法が当たった。


「な、何だ!? 何のつもりだ??」


 バンバンッ!!

 再びアネーロの眼球に正確に魔法弾がヒットし続ける。


「馬鹿かっ!? 歩兵の魔銃ごときが魔ローダーには傷一つ付けられんと分からんのか!?」


 騎士風の男が言う通りだった。例えガラス質や透明の鉱石を削って作られている薄い部分とは言え、魔ローダーの眼球も中枢機関魔ァンプリファイヤで増幅された膨大な魔力による防御力が掛かっており、フルエレの魔銃弾では全く何の影響も与えられなかった。


「何やってんだフルエレさん!?」


 バンッ!!


「砂緒、本当にこれで良いの? どんどん迫って来てるわっ!!」


 バンッッ!!

 フルエレは疑問を感じながらも再びカートリッジレス魔銃を撃ち続けた。この魔銃は魔法弾を込めるタイプと違い身も蓋も無い言い方をすれば、腕から外したコ〇ラのサ〇コ〇ンみたいな武器であるが、だからと言って感情で威力が増幅するという事も無く、いくら撃ち続けても敵魔呂を撃破処か傷を付ける事も出来ないのは明白だった。


「バカにしおって! この正義の騎士を愚弄する者は許さんっ!! 位置が丸わかりだぞ!」


 アネーロはフルエレが隠れて狙撃する建物の屋上にどんどん迫って行く。


「もういいわよ、信じて撃ち続けるわっ!」


 バンバンッ!!


「そこだっ!!」


 グシャッッ!!

 接近途中から突如スピードを上げてダッシュした魔呂アネーロは、騎士風男が発見時から剣を持っていないので、そのまま拳でフルエレが居た建物の屋上を破壊してしまった。


「フルエレさーーーーーーん!? くっそーーー生きてるかーーー?」


 セレネは血相変えてフルエレが居た建物の屋上に向かった。


「くっそ、言わんこっちゃ無い」


 セレネは魔呂が背を向けた後、滅茶苦茶に破壊された屋上を漁った。

 ボコッ!

直後、ガレキの下からサ〇エさんのEDの様に、頭に板を乗せたフルエレが生きて出て来た。


「安心して、リズさんに貰った腕輪のシールドと砂緒の硬化で何ともないわっ」

「本当にどこも骨折とかしてないですか!?」


 セレネはフルエレの身体中をペタペタ触り始めた。ついでに前から興味があったフルエレの胸も軽く触ってみた。


「やっやんっ、やめっやめてっくすぐったい!」

「……何反応してんすか? 分かりましたもっと触ります」

「やっややっやめっだめっあん、てやめろー」


 ガスッ!


「アブッ!?」


 赤面して反応していたフルエレは突如セレネを銃床で殴った。


「痛いです。所で砂緒は??」



「はーーはっはっはっ栄光まで後一歩!!」


 魔呂アネーロは遂に衣図の邸宅の前に立ち、腕を振り上げた。


「これで終わりだっ!!」


 ガキーーーーン!!!

 が振り上げた直後、振り上げた腕は肩の根元辺りからダランと垂れ下がった。


「イテッッ何だこれは?? どうした事だっ??」

「乗り移れればこっちの物です」


 砂緒は意図的にフルエレの狙撃位置を狙わせた上で、攻撃がヒットした瞬間に硬化して受け止めて防いだ後に腕に乗り移っていた。そのまま二十五Nメートルの魔呂の巨大な腕の上を素早く伝って走り、鎖骨の辺りまで来ていた。


『ちっしまったゴミムシみたいな奴がっっ!!』

「敵を虫呼ばわりした者は負ける法則がありますよっ! はああああああああ!!!」


 砂緒は言いながら拳を最大限硬化させて、振り上げた腕が白く発光して輝き出した。

 ズキーーーーン!!

間髪入れずに今度は首の付け根に痛撃を与えた。激しい打撃でボロが来ていた魔呂アネーロの首は付け根から斜めに歪んで止まった。


『いてーーーーっっ』

「アイスベルグ!!」


 ジャキーーーン、コキーーーン!

 その直後、フルエレを放置したセレネが飛んで来て頭に氷魔法を掛け、完全に凍り付かせた。


「もう一度!! はあああああああああああ、おりゃあああ!!」


 ゴシンッ

 凍り付いた首の付け根に再び砂緒が痛撃を与え、遂に脆くなっていた首が飛んだ……

 フッッ

その瞬間、激痛の中操縦席の魔法モニターから映像が消えた。


『くそったかが主魔法カメラが消えたくらいでっ!!』


 バシャッ

 騎士風は視界を確保する為に本能的にハッチを開けた。黒くなっていた魔法モニターの代わりにあちこち点々と炎が上がる夜の街が広がり、冷たい風が吹き込んだ。


「もう一方の肩を潰せば取り敢えずはっ!!」


 砂緒がすかさず飛んだ首の向こうに走って行こうした。


『次はそうするだろっ!!』


 ガッ

 しかし動きを読んでいた魔呂は素早く砂緒を巨大な掌で掴んだ。


『獲った!』

「どー。しまった捕まってしまいました……」

『? 何だ? どーって何だ?』

「死ぬ事は無いでしょうが、困りましたね」


 砂緒の言葉通り、全身を硬化させれば死ぬ事は無いのだが、身動きが出来ず手指に傷でも無い限り雷攻撃も効果は無く、手詰まりになってしまった。


『ハハハッ虫呼ばわりがどうしたって? 完全に虫ケラではないかっそこで俺が足で館をぐちゃぐちゃにする様子を見てればよいぞ砂緒よ!』

「へ? 何故私の名前を」


 その瞬間、フルエレは丁度潰れた屋上から開いた操縦席ハッチの中をバッチリと覗いた。


「じっちゃんさん!? 貴方じっちゃんさんね??」

「ちっしまった」


 フルエレの叫び声を聞いて、騎士風の男は慌てて片腕で顔を隠した。

魔ァンプリファイヤ 巨大な全高25Nメートルの魔法ロボット、魔ローダーのエンジンに相当する。操縦者の魔法力を吸い取り何十倍にも増幅して身体各所の念デンサーに送り機体を動かす。魔ァンプリファイヤの作成には希少な金属や魔法宝石が必要になり、それが魔ローダーが貴重な戦力の理由になっている。


1Nメートル=1メートル

1Nキログラム=1キログラム


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