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襲撃 下 逆襲のジークフリード?

「はーーーはっはっはっ、どうだまいったかっ悪の城壁!!」


 ゴワッシャアッッ!! ガラガラガラガラ……

 魔ローダーアネーロは巨大な片足で簡単に城壁を蹴破って破壊すると、そのままオゴ砦の街中に突き進み始めた。この時砂緒達が大きな音を聞いたのだった。



 ―そして現在オゴ砦邸内夕食会場。


「だってよ?」

「野生の魔ローダーでしょうか?」

「魔ローダーは野生動物じゃ無いと思うの」


 砂緒のとぼけた問いに雪乃フルエレが真剣に答えた。


「十中八九、トリッシュショッピングモールが雇った報復の傭兵でしょうね。私の闇ギルドも時々そういう依頼受けるから……」


 猫呼が事も無げに答え、皆が彼女の顔を怪訝な表情で見た。


「え? あ、い、今はそういうのやって無いのよオホホホホホ」


 猫呼は慌てて裏掌でオホホ笑いをした。


「て、訳らしいな? ではセレネ総司令官殿、オゴ砦を守って良い物でしょうか? へへ」

「そりゃオゴ砦はもともと同盟の固有財産だ。破壊されりゃ守るのは当然、しかし釈然とせんな」

「ね、ねえ皆で一緒に協力してオゴ砦を守らない?」


 リズが恐る恐る言った。


「私は賛成するわ。皆で一致協力して魔ローダーを排除しましょう!」


 いち早くフルエレが賛成した。


「フルエレさん……」

「そうですね、固有財産でも破壊されてしまえば意味がありません。取り敢えず撃退しましょうか」

「もーっ砂緒!」


 砂緒まで同意してセレネは地団太を踏んだ。


「ふふっ後でまたいっぱいキスをしてあげます、そう怒らないで下さい!」

「いつもやってるみたいにサラッと平気で嘘を付くな?」

「まあっ!? そんな事をしてるの?」


 フルエレが赤面して両手を頬に当てた。


「信じんなっ!」

「よし、じゃあ決まりだなっ! 争いは水に流して友情パワーで撃退しようぜっ!!」

「てめーが言うな?」


 調子の良い事を言い出した衣図ライグにセレネが高速で突っ込んだ。

 ガラガラガラガラ……

しかしまだ断続的に振動と破壊音は続いた。


「そんな事言ってられません、早速行きましょう!」

「私も行くーーー」


 猫呼は両手いっぱいにウーパーの素揚げを掴むと砂緒を追い掛けて行った。


「よし、俺達も行こうぜセレネちゃんよっ!」

「魔呂の前にお前を倒そうか?」


 等と言いながらも渋々セレネも走って行った。


「私も行かなきゃ……何も出来ないけど」


 等と言い出したフルエレの手首をリズがガッと掴んだ。


「待ちなさい、これを持って行って。新型のカートリッジレス魔銃よ。魔銃弾が無くても魔法力がある者が握れば魔力ある限り無限に撃てるわ。あと魔法の腕輪も」


 リズは近くの戸棚に隠していた魔銃ライフルと付けていた腕輪をフルエレに渡した。


「リズさん……ありがとう」

「エリザベスよ。それにとても高い物よ! 大切に使ってね」

「はい、エリザベスさん!」


 フルエレは笑顔になって走って行った。


「皆気を付けて~~!!」


 リズは火打石を打つポーズを決めた。



 ―オゴ砦内の小さな街。


「はーはっはっはっ悪の街よ滅びよっ!!」


 魔呂アネーロは滅茶苦茶に街を破壊していた。


「お、おい住人達は?」

「へ、へい城壁を破壊された時点で避難を開始してやす」

「なら良い」

「どうしますかセレネさん」


 相談し合う皆の後ろで猫呼はウーパーを噛み砕いている。


「あたしゃも実は生身で魔呂は倒せないよ。だから氷魔法で凍らせ続けるから砂緒は地味に親指の辺りとか攻撃しまくってくれ! フルエレさんはその他の傭兵を狙撃し続けてくれ」

「……分かったわ。高い所に上がって来る」

(狙撃……)

「気を付けて下さい」

「皆がんばって~~」


 猫呼はウーパーを振った。


「ウザいな猫呼先輩!?」

「一匹いる?」

「要らんわっ!」


 等と言っている間にも魔ローダーはどんどん衣図の邸宅に接近しつつあった。


「じゃあ皆さん行きますよ、 野〇一家ファ〇ヤー!!」


 砂緒は腕を出して叫んだ。


「だから何だよソレ」

「オオーーッ!!」

「乗んなよ」



 ガシーーン、ガシーーン


「ふふっ他愛も無い。この街には骨のある奴は居ないのか!?」


 等と言いながらもこの騎士風の男は徹底的に依頼内容をリサーチして、このオゴ砦が魔戦車数両以外、魔ローダーが居ない事をキッチリ確認してから依頼を受けたセコい男だった。


「行くぞっ!! アイスベルグッ!!」


 と、その瞬間二十Nメートル以上はある、魔法カメラの目の前にセレネが飛んで現れた。


「何だ!? 氷魔法!?」


 一瞬で真っ白になった魔法モニターを前に騎士風の男は冷静に考えた。


「セレネが居るなら砂緒もいる! アイツは飛べんから硬い拳さえ避ければ!!」


 等と言いながらアネーロは足をピョンピョンと愉快なステップで小さくジャンプし始めた。


「はあぁああああああああ!!! ってアレ!? 足が動いて……」


 砂緒は拳を最大限硬化させて親指に激痛を与えようとしたが、その当の魔呂の靴部分が奇妙なステップを踏んで捉える事が出来なくなった。


「何やってる砂緒!?」


 ジャキンッガリガリッッ

 しかしセレネの目の前で魔呂は自らの頭部にパンチを加え冷静に氷を割って剥がした。


「冷静に対処すれば勝てなくとも負けはしない!!」

「アイスベルグッ!!」

「何のっ当てなければ!」


 建物の屋上からジャンプするセレネの軌道を見切り、アネーロは氷魔法を避け始めた。


「何で、どうして!? この魔呂セレネと砂緒の動きを把握してるの??」


 そんな二人を見ながら、雪乃フルエレは城壁内に侵入を始めた傭兵を狙撃するのに逡巡していた。

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