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襲撃 中 襲い来る機体

「こっちゃ猫呼ちゃんを捕まえてんだ、どうするってんだ!?」


 衣図ライグが少し狼狽えた。


「セレネが本気出せば猫呼を捕まえてる男を一瞬で切り捨てて救出出来ますし、私は雷を枝分かれさせて此処にいる貴方達全員を躊躇無く消す事が出来ます。私達の実力を見誤ってますね」


 衣図が一瞬黙った。


「それホント?」

「ほんとーだわよ。今の内に降参した方がいいわ」


 拘束されている猫呼がうんうんと頷きながら大威張りで言った。


「いやっ猫呼先輩偉そうに言わないで下さい!」

「貴方っやっぱり降参しましょう! 予想外の強さだわ」

「今更そんなの無理だろこいつらヤル気だ」

「自分達から仕掛けておいてヤル気だってどういう了見だよ」


 セレネが焦りまくる衣図を見て呆れて言った。


「ううん、全然遅くないです! 私は猫呼を解放すれば許します! 砂緒許してあげて」

「いやっ許さないです。前にセレネが二度目は無いと言ったのに又やりました。もう許しません!」

「砂緒覚えてたんか」

「当たり前ですよ、大切なセレネさんの言葉ですから」

「砂緒っ」


 セレネは少し照れた。


「よ~し、じゃあサクッとやっちまおうっ!」

「だからっ私が許すって言ってるでしょーがっ!!」


 今度は雪乃フルエレがセレネに激怒して立ちはだかった。


「ちょっとちょっとフルエレさん邪魔です。巻き込まれますよ?」

「私の雷ならフルエレを迂回して皆を消し去る事は出来ますが」

「だからやめれって?」


 さらにフルエレは目くじらを立てて怒った。


「この状況を利用して……なんとか逆転出来んじゃねーか!?」


 内輪揉めする三人を無視して衣図ライグがリズに相談を始めた。


「どうかしら、私が魔銃で撃てば……」

「そこっ! 動かないでっ!」


 セレネが振りかえって怒鳴る。


「あーはいはい」

「だからっアンタ達止めなさいって言ってるでしょーがっ!?」

「フルエレさんまたセブンリーファ後川の時みたいに決着付けます!?」

「あ、あのー私を助ける相談してるのよねえ?」


 猫呼そっちのけで揉め始めた二人を呆れて見た。


「うーん、私達勝てるんじゃ?」


 等とリズが言った直後だった。

 ガガガガガガガガ……ドガガッガラララッ!!

 激しい振動と何かが崩れ落ちる音が断続的に続いた。


「キャーーーッ!? 何これ何よ!?」


 猫呼が拘束されたまま揺れる部屋をキョロキョロ見る。


「何よ地震かしら??」

「うわっ砂緒地震超怖い、あたし苦手なんだよ」


 セレネは思わず砂緒に抱き着いた。


「愛いヤツよのう、前もそんな事言ってましたな。てかこれは衣図ライグの仕掛けですか??」

「違う違う、俺も何が起こってんだが良く分からねえ。外出て見ていいかな? へへ」

「いや動くな!!」

「おい、もう良い猫呼ちゃんを解放しろ!」


 衣図が余りにも不自然な大音響と激しい振動が続く為に慌てて家来に命令した。


「へ、へい良いんですか? じゃあ」

「もう怖かったあ馬鹿っ」


 拘束輪を解除された猫呼も砂緒に抱き着いた。

 ドガーーン! ドガーーーン!!

 さらに激しい音が響く。


「えっこれ何の音??」


 ガチャッ

 その時別の部下が慌てて走って来て血相を変えて叫んだ。


「大将てえへんだっ! 魔ローダーが此処を襲って来やがった!!」

「何だってェーー!?」

「い、一体何処のドイツだい??」


 衣図ライグとリズが夫婦揃って同時に叫んだ。



 ―少し前、猫呼がウーパーの素揚げを頬張っていた頃。


「先生っ此処でやんす! あそこに見えるのが衣図ライグが立て籠もるオゴ砦でやんす」

「先生っやっちゃって下せえ!」


 すると近くに佇んでいた騎士風の男がユラリと立ち上がった。


「ふっ君達何か勘違いしていないか? 俺は単なる用心棒では無いぞ。トリッシュショッピングモールや周辺の村々を襲う衣図ライグを正義の名の元に成敗しに向かうのだ。その辺を間違ってもらっては困る」

「へ、へいそれはもう」


 等と言っているが、彼は商業城塞都市が高額で雇った魔ローダー乗りだった。


「よし行こうぞっ我が愛機アネーロッ!!」


 男は巨大な掌に飛び乗るとオートで操縦席まで移動して飛び乗った。


「ふっっ元ニナルティナ下っ端兵士だった俺が何故か突然魔呂能力に目覚め、そして偶然手に入れたこの愛機アネーロ。何の因果かまさか正義の為に戦う騎士となろうとはなっ! 待っていろ衣図ライグよ、貴様も年貢の納め時だっ、わははははは!!」


 この男が偶然発見した魔ローダーアネーロは、メドース・リガリァのウェキ玻璃音大王が若き日に操縦してトリッシュ王国に放置していたVT25-スパーダと同時代のオンボロ機体であった。しかしメド国戦後に入手したこの機体は一度も魔呂と戦う事無く、弱い敵と戦い続けた為に無敵を誇っていた。


「す、すんません騎士様、早く行って下せえ」

「こっちは高い金払ってんだ、本当に大丈夫なのかコイツ?」


 とうとう地上の依頼主と傭兵達がイラついて来たのを感じて、溜めに溜めた魔呂は遂にゆっくり歩き出した。


「行くぞっ! まずは手始めに城壁を破壊してくれようぞ!!」


 月明りの下、オゴ砦のヤワい城壁の前にプレートアーマーをそのまんま全高二十五Nメートルに巨大化した様な魔ローダーアネーロが突如現れた。

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