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謎の美少女スナコちゃん登場!! の巻 下 声問題の解決法と試練……

「ふぅーー多少緊張しておったのですが、ご好評頂けて良かったですよ。ちょっと今は準備出来てなかったのですが今度はちゃんとタイツかニーソ履こうと思っておりますぞ」


 等と呟きながらスナコに変装した砂緒は、もともとムダ毛が無い体質のつるっとした白い両脚がスラリと伸びたミニスカートを、ひらひらしてめくる仕草をした。その場にいた全員が無意識に両脚の付け根に視線が集中したが、慌ててセレネが砂緒の手を止めた。


「やめい、今お前はスナコちゃんだという事を忘れるな? 安易にスカートまくって恐ろしい物が見えたらどうする気だ……」

「……恐ろしい物って……何ですか?」


 真顔のスナコ顔の砂緒の質問にセレネの動きが止まった。


「………………死ねえええええええ!!」


 セレネが突然赤面して切り掛かろうとするので皆が止めた。


「砂緒よ、今貴様はスナコちゃんなのだ、演じるならば全力でスナコちゃんになり切れ! 生半可な気持ちでスナコになるなら私が貴様を斬るぞ! 女の子らしく羞恥心を持て」


 言ったイェラ意外、その場に居た全員が羞恥心があったらそもそもスナコちゃんにならないんじゃ? と思った。


「分かり申した! 拙者も全身全霊を掛けてスナコちゃんになり切り申す所存にて!」

「う……でも見た目は完璧なのに話し方も声もいつもの砂緒なのよねえ、あ、でもだからって私スナコちゃんよぉ~~~うっふーーんみたいな口調は絶対に止めてね」


 フルエレが再び頬に手を当ててスナコの声問題を悩み始めた。


「あっ良い事思い付きましたっ!!」


 突然某刑事的に手をポンと打ったメランがたたっと走り出し、すぐに息を切らして戻って来た。その手には『冷やし麺料理有り□』と書かれたホワイトボードがあった。


「砂緒さん、いえスナコちゃんこれを首からぶら下げて下さい!! そして会話は全部この魔法ペンとホワイトボードで行って下さい!!」


 キュッキュッキュキュキュ。

 砂緒はさらさらとボードに書いて、再び首にぶら下げた。


『分かり申したメラン殿、これで良いですかな? フフフ』

「…………いや、たとえ文字にしても口調がいつもと同じだとアレじゃん」

「ほほう? ではこうですかな??」


 キュキュッ

『わたしスナコ……少し恥ずかしいな……でも皆大好き!!』

「うゲロー」


 セレネは眉間にシワを寄せ微妙な顔で見た。


「わーーい! 兎幸もスナコちゃん大好きだよっ!!」

「なかなかのものねぇ」


 しかし兎幸はすっかりスナコが気に入って抱き着いた。ぽよんぽよんの大きめの胸がスナコの顔に押し付けられる。


「スナコちゃんデレデレ笑うなっ!! 貴方は今恥ずかしがり屋の女の子なのよっ戸惑った顔をして少し頬を赤らめて!! それと貴方は両親と七人の姉妹が巨大生物によって目の前で食われてしまい、ショックで口がきけなくなったのよ、その設定しっかり頭に叩き込んでっ!!」

「メラン突然どうした? よくそんな謎設定即座に思い付いたな……」


 何故かメランの目に炎が燃え上がりスナコの演技指導を始めた……


「私決めたっスナコちゃんのマネージャー、いえジャーマネになるの! そして女王の投票というステージを一緒に駆け上がるのよ!!」

『分かったメランちゃん……一緒に女王の投票(ステージ)を駆け上がって、ザーギーでチャーネーでシースーしよっ!』

「良く分からないよスナコちゃん……でもギーザーでスーシーしよっ!!」

「じゃあ私とフルエレのライバルねぇ」


 本当に良く分からないがこうしてメランはスナコのジャーマネに就任し、スナコは本気で新女王の選挙に出馬する事となった……そんな二人をセレネは渋い顔で見ていた。


「いやまだまだじゃね?」

「セレネどうしたのよ??」

「今この店には有未(うみ)レナード公というかなりのアホが居る。そいつの接待してアラが出なかったら、このあたしも一応認めてやんよ!」


 セレネは腕を組みながら怖い顔で睨み付けた。


『そ、そんな恥ずかしいです……新人のわたしが接待だなんてっ!』

「もはや全力で成り切っているのね!?」

「セレネさん最初が国主の有未レナード公は厳しいです!」

「いや……私は一度アイツの本性を確かめたいと思っていたのだ。都合の良い事に今レナードはVIP用の個室に居座っている。そこから監視用の小窓があるから、もし危険な展開になったら助けに入ろうじゃないか、スナコよお前の根性見せて見ろ!!」

『は、はいっ! わたしやってみます!!』

「がんばっ! ジャーマネの私も見守っているよ!」



 ―そして有未レナード公が居座るVIP席。

 カラカラ……


「ごめんやす、レナードさん今日は新人の子が入ったから紹介したくて……ほらっスナコちゃん入ってお酌して?」

「おっ猫呼ちゃん気が利いてるね! 新人の子かい……どらどら」

『し、新人のスナコと……申します……』


 戸口から首にホワイトボードをぶら下げた美少女が手にオレンジジュースを持ち、おどおどしながら入って来た。


「おやあこの子は?」

「ええっ実はこの子の家族全員が巨大生物に目の前で食われてしまって、それ以来話す事を止めてしまったのよ……えっ? メランちゃん何かしら? 用事ですって、じゃあスナコちゃん後はよろしくね」


 ピシャッとドアを閉めると猫呼は出て行った。しかしその瞬間、レナードの目がギラリと鈍く光った。


「あーーーメガネよぉ、悪いが宮殿の魔法湯沸かし器の元栓閉めたかどうか見て来てくれないか? 急に気になり出して来たわ」

「えっ? どうしたんですか急に……」

「いやっ頼む、消したとは思うんだけどよ……あ、あと重要書類の金庫も見てくれ早く!!」

「は、はい?」


 こうしてレナードは早速秘書のメガネを追いやった。


「うわっアイツしょっぱなからヤベーヤツだな? いきなり二人きりにしたぞ??」

「シシッセレネ声が大きいわよ」

(だ、駄目よっドキドキで心臓が止まる)


 いつものメンバーは監視用覗き窓から二人の様子を固唾を飲んで見守った。

有未レナード公 旧ニナルティナの負け続けの軍師だったが、失脚中にフルエレが国を滅ぼし無害な人物なので運だけで新ニナルティナの国主になり上がった。悪人では無いが、かなりいい加減で不真面目な性格。

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