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新女王投票用紙・試案 下 謎の名前……

 ピラリッ

 セレネが指し出したプリントを皆がまじまじと見た。


      ☆          ★          ☆        


 <厳重マル秘>北部列国&セブンリーファ後川流域中部同盟、新女王投票用紙・セ試案一号一型 


この投票用紙は魔法マークシート方式となっています。新女王に相応しいと思う御方の□にチェック「ゝ」を付けて下さい。(その他の表記は無効票となります。)


□一枠 清楚&天使の如き美しさっ! 新ニナルティナ我らの輝く女王!!

   雪乃フルエレさま

(皆さま、この御方に投票しませう)


□二枠 チャーミング! 可愛いネコミミがトレードマーク、実は幻の王家の王女!?

   猫呼(ねここ)クラウディアさま


□三枠 敵国メドース・リガリァの女王

   エリゼ玻璃音(はりね)さん

(皆さまこの女は行方不明です、投票せぬよう)


□四枠 全てが謎! まおう軍の熊ミミ女王!!

   抱悶(だもん)ちゃん


□五枠 南海に輝く黒真珠!

   アイイ酋長


□六枠 海の見える神殿の風光明媚な地が生んだ妖しい元意地悪王女!!

   七華(しちか)リュフミュラン王女


□七枠 ダイエットが成功! ナメ国山中の神秘の女神

   大アリリァ乃シャル王の娘さん


□八枠 年齢を重ねても色あせない美しさ!!

   海と山とに挟まれた小さき王国のお后さま


□九枠 荒涼回廊の館から海を渡って来た冒険者!

   伽耶クリソベリルさん  


□十枠 経歴、身長体重、性格、好きな食べ物、能力、出身地など全てが謎!

   謎の美少女スナコちゃん


よく分からない方はとにかく雪乃フルエレさまの□にチェックをお入れ下さい。


      ☆          ★          ☆ 



 皆は息を飲んだ。


「……ややっこれは酷い……まさかこれはふざけておるのではあるまいな??」

「敵国のエリゼ玻璃音とかアイイって誰だ? そんなのアリか」


 砂緒とイェラがぼそりと呟いた。


「……この御方に投票しませうって書いちゃダメ」

(お母様や七華まで入ってる!?)


 フルエレが首を振った。


「でもフルエレさん、もう貴方と決まっているのです! 諦めて従って下さい」

「何を言っているの? そんなの選挙って言わないじゃない」

「発展途上国もびっくりの不正選挙ですなあ」


 砂緒も投票用紙を見ながら言った。


「フルエレさん貴方はあたしを生き返らせただけじゃなく、自ら戦闘服を着て戦陣に立ちメドース・リガリァに引導を渡したのです。もはや貴方に逆らえる者はおりません。あたしはフルエレさんの事を身長2Nメートルの豪傑だと言いふらそうと思っています」

「何よそれ嘘付いちゃダメ」


「やだ、コレ私も入っちゃってるじゃない……投票用紙は何票になるの?」


 猫呼が嬉しい笑いを必死に堪えながら聞いて来た。


「最初は各国の王の三十七票だったのですが、重臣や有力者等を増やしていく内にちょうど百票になってしまいました……ですがご安心をフルエレさんが当選する様に全力で裏工作をしていますから! あっ砂緒、メド国征伐で功績のあったお前も、便宜上フルエレさんの弟って事にして一票あるからな、フルエレさんに入れろよ?」


 砂緒が首を傾げた。


「はぁ? 一票あるのは良いのですが、私がフルエレの弟?? どう考えても大王で覇王で皆をグイグイ引っ張りまくる私が長兄だと思うのですが」

「いや……かなりの甘えんぼさんのお前は弟だと思うぞ」

「私もどちらかと言うとオツムがアレな砂緒は弟タイプに見えるわ」

「いやそこは意見合うんか、酷い言い方だな!」


 砂緒はヤレヤレと目を閉じ首を振った。


「それより! どうして此処にセレネが入っていないの?? 私セレネが出ないんだったら絶対に立候補しない」

「はあ? 私は女王というタイプじゃないですから。後ろから貴方を支えます!」

「嫌よ! 私セレネが出ないんだったらテーブルにかじりついてでも出ませんから!! セレネがシックだけどセクシーな、背中がガバッと開いたドレスを着て立候補するのが最低条件でーす。あと海と山と国のお后さまというのも削除して! 何よそれ」


 言いながらフルエレは駄々っ子の様に床に寝転んでイェラは呆れて見た。


「お前な……今でも北部列国の女王なのだぞ」

「あのさ……フルエレもセレネもそんなに新女王嫌だったらさ、私やろうか??」


 遂に猫呼が目を輝かせながら本心を打ち明けた。


「いやーそれはちょっと違うのと思うのよね……」

「あたしも猫呼先輩はそういうのじゃ無いなって……」

「いやそこも意見合うんかい! てか自分が実は女王になりたいだけだろ!!」

「いえーー?」

「違うわ、女王になんてなりたく無いもの」

「じゃあやっぱり私がっ!」


 再び猫呼が両手親指で自分を指した。


「やっぱり違うのよね~~~」

「うんうん」

「コラーーー!! じゃあ勝手に投票用紙に個人情報書かないでよっ」


 しかし砂緒は途中から、そんな三人を横目にもじもじして様子がおかしくなって来ていた。


「あの……皆さま、投票用紙をくまなくちゃんと御覧下さい、何かに気付きませんか??」

「……何が?」

「いやー特に」

「何かあるか?」

「何も無い……わね」


 イェラも猫呼も雪乃フルエレも首を振った。


「ほらほらーーいけずだなぁ~~、下の方に……見慣れぬ気になり過ぎる名前が、ありませぬか??」


 砂緒が伏目がちにチラチラ皆を見ながら小声で聞く。


「いいえ、特に何も」

「私最近目が霞んで……よく見えないのよ」

「駄目でしょそれ! 魔法病院に行きなさい!」

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