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いつもの雪乃フルエレとセレネの帰宅


「ではせめてこれを付けて欲しいの……私の魔法自動付けネコミミのスペアよ、ちゃんと魔法クリーニングしてあるから臭くないわ」


 そういう言うと猫呼(ねここ)はドラ○もんの様に何処からともなく出したスペアネコミミをフゥーに渡した。


「そ、そんな畏れ多いです! 王族の方が付けてらした付けネコミミを奴隷の私が預かるなど」

「いいえ、かつて敵対し今は例え奴隷の身であってもクラウディアの民です、どうか受け取って」

「い、いいえ……そんな訳には!」


 譲り合いはしばらく続いた。


「あれ羞恥プレイだから本当に付けたく無いんじゃない?」

「シッカレンちゃんまた余計な事を言わない!」


「はっはっはっでは間を取り私がその付け猫耳を貰ってしんぜよう。何故なら猫弐矢(ねこにゃ)兄者から口約束のネコミミがまだ届いておりませんからな、ほれほれ」


 砂緒は笑いながら身を屈め猫呼にヌッと頭頂部を差し出した。


「わかりました是非……頂きます!」

「よかった、貰ってくれるのね……」


 カポッ

 フゥーは貰ったネコミミを早速装着した。


「わぁ~~可愛いっ!!」

「ぴったりだっ!!」


 カレンとジェンナはフゥーのネコミミ姿に一瞬で心奪われた。


「そ、そんな……少し恥ずかしいです」

「あ、あの……皆さん? 何故無視を??」


 砂緒は失意の顔で首を振ると後ずさりでその場から走り去った。再び目からキラリと涙が光った。



「ほらっメラン、早くお客さんにこのチェリーパイとアップルパイを持って行って下さい! 出す時にちゃんと欧○か? と言うのを忘れない様に!」

「意味わからないわよ、何で私が本当に手伝いを……最悪……」


 等と言いながらもメランは出来たてのパイをトレーに乗せて持って行った。しかし彼女は拘りがあるとかでメイド服は着ていない。


「ふぅ~~~やっと二人きりになれましたねイェラ」

「おい?」


 砂緒は調理中のエプロン姿のイェラを後ろから抱きすくめた。


「イェラ聞いて下さい! 考え過ぎで神経質なだけだとは思うのですが、何故か皆が大英雄の私に冷淡なのです。どういう事でしょうか? 人気者で誰からも好かれているはずなのに……私が高貴な存在過ぎて、自らの小ささに気付いてしまい恥ずかしいのでしょうか??」

「そう思うのならそうじゃないか? 手を離せジャマだ」


 しかし後ろから抱きすくめた腕は徐々に上がって行き、エプロン上からもはっきりと分かる大きな膨らみに微かに触れる。


「少し褐色で立派な体格のイェラが家庭的な白いエプロン姿でせっせと料理……興奮します」

「だから止めろって殺すぞ」

「いいですよ……」


 イェラのうなじに顔を擦り付けながら、なおもいけない片手がイェラの胸を触ろうとする……


「怪しいとは思ってたけどアンタ達いつからそんな関係になってたのよ? 砂緒の唯一の理解者のセレネを裏切るつもり?? 言い付けるわよ……」


 声がして砂緒がビクッとしながら調理場の戸棚に隠れた床を見ると、お菓子を食べながら三角座りをした雪乃フルエレ女王が分厚いマンガ雑誌を握りながら自分を睨んでいた。


「う・わ~~~お、フルエレ!? どこにも居ないと思ったら此処に??」


 瞬間パッとイェラから手を離した。フルエレはもう視線を外しマンガ本を読んでいる。


「遂にはっきり見たわよ、完全にやっちゃってたわね……」

「ち、違います。完全に誤解です。誤情報をセレネに告げ口するとか止めて下さいよ。なんなら土下座致しましょうか?」

「強気なのか弱気なのかどっちなのよ……」


 なおもフルエレはお菓子を食べながらマンガを読んでいる。


「あの……この集まりは一応フルエレを励ます会みたいな物でもあるので少しは出た方が?」

「恥ずかしいわよ、何よ励ます会って」


 等と言いながらも砂緒もイェラも為嘉(なか)アルベルトの戦死から立ち直り始め、実は清楚な見た目の雪乃フルエレ女王の本性、いつものぐうたらな姿に戻りつつある事が嬉しかった。


「……ふふっ」

「何よふふって、優しい笑いでさっきの出来事誤魔化せないわよ? 揉もうとしてたでしょ?」

「乙女が揉むとか言ってはなりません。いや揉もうとなどしておりませんっ! それより兎幸は??」

「必死ね、兎幸は部屋で寝てるわよ」

「安心しろフルエレ、私は平和になった以上は再び汁に浸かった麺料理の研究を再開するぞ! そして屋台からスタートしてセブンリーフ中にチェーン展開するのが夢なのだ、砂緒など相手にしないぞ」

「まあっ屋台から始めるだなんて……女王である私の権力を使ってショッピングモールにフードコート出してあげるわよっ! そして皆に食する事を強制させるわっ! こんな時に権勢を使わずしてなんとするの」

「滅茶苦茶言うな。そんな事してもらっても嬉しくないぞ、実力でチェーン展開するから安心しろ」


 砂緒は上手く話題がそれた事で内心胸を撫で下ろした。


「で、揉もうとしてたでしょ?」

「いやしつこいなっ」


 しかしそれは雪乃フルエレの興味が再び砂緒に向き始めた事を意味していた。


 キキキキィイイイイイイイイイイイーーー、ドギャッッ!!

 ドォーーーーーーーン!!!

 その直後金切り音の後に物凄い爆発音がした……


「キゃーーーー!?」

「今の何!?」


 フルエレからも客席からも悲鳴が上がった。


「何だ攻撃か!?」

「攻撃て、誰からですか」


「ふぃーーーただいま~~~店内に知らん人がいっぱいおるぞ?」


 しかしそこにヒョコヒョコ足を引き摺りながら制服姿のセレネが調理場に入って来た。


「セレネッ今の音は何なの??」

「魔輪の最高速からギリギリを攻めてスライドしながら駐輪しようとしたら壁に激突して爆発して炎上したから氷魔法で鎮火したった」

「たかが駐輪にギリギリを攻めちゃダメ」


 フルエレはふるふると首を振った。

付けネコミミ 猫呼や猫弐矢などクラウディア王国の民は先祖が猫であったという伝説にちなみ、地位や老若男女関係無く全員が魔法で感情に反応して自動で動く付けネコミミを装着している。本来の耳が髪で隠れている場合、よく獣人族と誤解される。行方不明の猫呼の兄、猫名(スピナ、スピネル)は国が神聖連邦帝国に臣従した時点でネコミミを捨て一般人として生活している。

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