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瞬間移動斬り込み! サッワの策


 同盟軍に回復の時間を与えない為に、ココナツヒメとサッワ達はすぐさま出撃の準備に取り掛かった。


「よし行け! 既に潜んでいるゴーレム兵と魔戦車と騎馬兵の突撃もすぐに準備しよう!」


 貴嶋の言葉にサッワは一礼すると敬礼して自身の魔ローダーレヴェルに乗り込んだ。


「これが新しい武器ですね……」


 サッワは魔ローダーの身長程もある巨大な大剣を背中に装着すると、何故か壊れた魔砲ライフルまで抱えた。


『サッワちゃん、何故壊れたライフルを持って行くの?』

『ココナツヒメさま、僕に策があります。これで必ず敵ザコ魔呂を数機撃破出来ます!』

『あらまあ、どんな策なの?』

『ごにょごにょごにょ……という策です!』

『あらまあ面白そうね、美女軍団もちゃんと聞いたかしら? 早速やってみましょう!』

『ハイッ!!』


 シュンッ

 シャクシュカ隊Ⅱの美女達も返事をして全員が魔呂の手を繋いで駐機場から消えた。


「頼むぞお前達……」


 貴嶋は一言呟くと急いで走って行った。



 ―砂緒率いる同盟軍東側本隊。

 砂緒率いる本隊は、サッワとココナツヒメの数々の攻撃によって、当初地上兵総兵力一万四千程度であった物が九千数百にまで減り、魔ローダーSRVも、十七機であった物が十五機に減少していた。これ以上兵力が減少すると、地上兵による城攻めが著しく困難となってしまう。もっとも同盟旗機である日蝕白蛇輪に砂緒とセレネとY子こと雪乃フルエレが三人で乗り込み、最大魔法力の雷を帯びた魔法剣でメドース・リガリァの街と城を滅茶滅茶に破壊すれば一気に解決するのだが、そうした方法は雪乃フルエレ女王自身が許さなかった。だからこれ以上の損耗は避けたいと思いつつ、東西の軍が同時に急いで進軍を再開していた。


「砂緒さん、本当にもう速き稲妻Ⅱの中に乗っちゃってて良いのでしょうか……」


 メランが魔砲攻撃を跳ね返す為に、もうル・ツーの手に握られる必要は無いと言い切った砂緒に疑いの目を向けた。


「もうあの大砲は私が潰した所、貴方も見たでしょうがっ疑い深いですねー」

「ま、まあそうですが」

「メランは砂緒が中に一緒にいて嬉しいの? 嫌なの? どっち??」


 兎幸が唐突に聞いて来た。


「そ、そりゃ一緒に中に居る方が嬉しいですよ」

「じゃあそれでいいじゃん!」


 兎幸は砂緒の頬に大きめの胸を思い切り押し付けながら笑顔で言った。


「いや励まされてるのか何だか良く分からない構図だわ」

「デヘヘ」


 ピーーーーッ!!

 等と他愛の無い事を言っている時に警報が鳴った。


『南側、半透明と大砲野郎が出現!!』


 至近に居たSRV操縦者が叫ぶ。


『盾役警戒!! 大砲を持っているぞ!!』


 別の操縦者も叫んだ。砂緒の言う大砲とは火薬の大砲だが、この異世界の連中が言っている大砲は魔砲の意図で言っている……


「ほらほら、砂緒さん!!」

「言い合いしてる暇は無いです、我らも警戒しましょう!!」

『あ、大砲野郎を置いて半透明だけが消えました!!』


 本隊から少し離れた南側の場所に出現したサッワのレヴェルだったが、魔砲ライフルをガチャガチャ操作するばかりで一向に射撃してくる気配が無く、しかも連れて来た半透明つまりル・ワンだけが突然消えた。


『マシントラブルだっ!』

『アタッカー役、全員斬れっ!!』

『やられた兵士の仇だっ!!』

 

 ガシャンガシャンガシャンガシャン!!

 魔砲ライフルをガチャガチャ操作し続けるレヴェルに向けて、先に指定されていたアタッカー役生き残り五機のSRVが一斉に剣を振り上げて走り出した。


『あっ油断しちゃダメだよっ!!』


 走り出したSRV五機に向けてメランが叫んだ直後だった、突出して工兵達が設置した結界くんの効果範囲を飛び出た直後、ココナツヒメとシャクシュカ隊Ⅱ四機のレヴェルがその間を縫うように出現した。当然SRV操縦者達は結界くんNEOを所持していて、いきなりグサッと突き刺せる背中の至近に出現する事は不可能だが、サッワに向けて全力突撃する最中の後ろに突然出現された事で即座の対応は不可能だった。

 シュンッ!!


『バッカじゃないの? こんな策に掛かるなんて!!』


 ココナツヒメのル・ワンと四人の美女達が駆るレヴェルが一斉に後ろから五機のSRVを走って追いかけて背中から切り掛かる。


『ゲッ、後ろに出たっ!?』


 血の気の引いた一人のSRV操縦者が急制動を掛け、なんとか急旋回して後ろに出現したココナツヒメ達に対応しようとした直後、サッワがゴトッと壊れた魔砲を投げ捨てた。

 ガチャッ!!


『お前の相手はこっちなんだよっ!!』


 即座にサッワのレヴェルは背中の大剣を振り回し、ココナ達にいち早く対応しようとしたSRVの胴体を真っ二つに切り裂いた。

 ドゴーーーン!!

 爆散するSRV。 


『しまっ……』

『貴方達の相手はこっちよっ!』


 ココナツヒメと美女達の魔ローダーが残りの四機のSRVに斬りかかり、あっさりと各機に致命傷を与えて行く。

 ザギュッ!!

 ドガッ!!

 ガキーーン!!

 ザバッッ!!

瞬く間に五機のSRVを撃破されてしまった砂緒の本隊だった……


『なんて事!?』

『砲は壊れてる! 盾役十機全員立て!! こいつらを囲んで切れ!! 魔戦車、結界くん弾発射!!』


 ドンドンドーーーン!!

魔戦車部隊が小さな結界くんが飛び散る魔砲弾を敵魔呂の足元に向けて撃ち続ける。砂緒もメランと兎幸の魔法供給を受けながら、速き稲妻Ⅱことル・ツーを急いで半透明を斬る為に走らせた。


「ゴーレム隊、騎馬兵、魔戦車突撃ィイイ!!」


 魔ローダー各機が南側に出現したサッワ達に向かって走り出した直後だった、北側のバックマウンテンの麓の森に隠れる様に潜んでいたゴーレム部隊と魔戦車、それに騎馬兵達が突如怒涛の勢いで同盟軍地上兵本隊の横っ腹を分断する様に突撃して来たのだった。


「くそっ!! 待ち伏せだっ!! 混乱するな! 秩序を保て!!」

「魔戦車部隊、ゴーレム兵を撃てっ!!」


 騎馬に跨るイェラと衣図ライグが左右を確認しながら必死に叫んだ。

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