初めてのお客さまっ! 猫呼クラウディアb
ぺこりとお辞儀をする猫耳少女。
「本当にごめんなさい、私実は行方不明になってしまった兄を探して旅をしているのです。そちらのお方が私の好みの兄タイプだった物でつい抱き着いてしまいました」
「好みで探すな」
黙っていたイェラがソーダのストローを吸いながら突然突っ込む。
「あ、落ち着いて話してくれますか? 砂緒適当に何かを」
落ち着いて少女は再び席に着いた。コトっと砂緒がテーブルに飲み物を置く。
「有難うございます。私はセブンリーフ大陸の東の海を越えたさらに東にある国からやって来た者です」
「何、セブンリーフの東にも人が住んでいるのか」
イェラが割り込む。
「はい、セブンリーフで百年もの戦乱が続く為に往来が途絶えてしまい、忘れ去られてしまっているのですが、昔は確かに交流があったんです」
フルエレが猫耳に興味津々な様子で続きを促す。
「それで?」
「はい、行方不明の兄を探して旅をする内、遂にセブンリーフのニナルティナやリュフミュラン辺りで猫耳の付いた怪しい男の目撃例があると聞いたのです」
じっと無言で話を聞いていた砂緒の興味が遂に爆発した。無造作に猫耳を触り出す。
「ひゃうっ」
全身がびくっとして動きが止まる少女。耳はぴくぴく動いている。
「ひゃうっ」
砂緒は無言で再び触る。
「ひゃうっ」
「ちょ、ちょっと何してるの砂緒」
「やめい」
もう一度触ろうとした砂緒の胸倉を掴んで引き剥がすイェラ。
「ごめんなさい! 私が悪いんですっ。私がこんな興味をそそり過ぎるアイテムを身に着けている事がっ!」
少女が頭の猫耳に手をかけると、ぱかっと外れる。
「えーっ付け耳だったの?」
フルエレはがっかりして椅子に座る。
「はい、私達の一族は祖先が猫であったという言い伝えから、常に公衆の面前では猫耳を装着する事を強要されているんです」
「ええ強要!? 誰に?」
フルエレがびっくりして聞く。
「自分に」
「自分になんだー。え、でもでも猫耳動いてて、あたかも神経が通ってる様に反応してた気がするの」
「ああ、これは猫耳にあたかも神経が通っているかの様に演技しているのと、猫耳の中に複雑な魔法機械が仕込まれいて自在に動くんです」
そう言うと激しくぴくぴく動かし始めた。
「ひゃうっ」
砂緒は今度は無造作に尻尾を握る。
「砂緒やめてっ。つまりこれも祖先を偲ぶ風習なのね?」
「あ、これは私の趣味です。これもメカで自在に動きます!」
そう言うとにっこり笑って、尻尾をぐるんぐるん回す。
ーしかしこの尻尾は物語が進むごとに存在感を失って行くのでございます。