表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/1095

お城に呼ばれました。b


 フルエレが半泣き状態で沈み込んだと同時にドアがコンコンと鳴り、確認無く勝手に扉が開かれる。入って来たのは昨日七華(しちか)リュフミュラン王女の横に常に張り付いて護衛していた美形剣士だった。剣士は二人の姿を交互に見ると、目を細めて軽蔑のあからさまに冷たい視線を送る。


「鍵開いてたんだ。おはようございます。一体何の御用でしょうか? 昨日は二人それぞれ凄く離れた部屋でぐっすり眠っておりました」


 フルエレは最大限赤面していたが、何事も無い様にふるまった。


「? ここに新たな衣装があります。どうぞお受け取り下さい。そしてどうぞ御髪をとかし身支度を整えられて下さい。これより王と王女より感謝の式典があります。ご安心下さいお食事も当然用意してあります」


 言うより前に箱を抱えたメイドさんや使用人が、勝手に入って来て勝手に置いて行く。美剣士は言葉は慇懃だが一切心のこもっていない態度だった。


「私はこの軍服が気に入ってるのだが、これじゃだめですかね?」


 砂緒はまるでコントみたいにボロボロの敵国の軍服をひらひらさせる。フルエレは暗くて見えなかったが、ここまでボロボロだったのかと改めでびっくりする。


「だめだめだめ、お言葉に甘えましょう」


 美剣士やメイドさん達が退出し、衣装が入った箱に手をかけぴたっと止まるフルエレ。真横で砂緒は何を考えているのか分からない目で凝視している。


「あのー」

「何でしょう?」

「着替える時は、それぞれ別々の部屋に移動するの。自分の箱を持ってホールから出て行ってください」


 昨日の事もあるので多少厳しめに言ったが、砂緒はなる程と言いながら出て行った。



「でかいですね。あの上には入場料を払えば上らせてもらえるのでしょうか?」


 砂緒はまるで子供の様に、馬車の窓から見える王様を模った巨大な像を見上げる。感覚的には、なになに観音みたいな物だった。


「王様の頭を蹴る事になります。あり得ません」


 二人を見る事も無く味気ない返事をする美剣士。二人は貴族や豪商という程では無いが、それなりに美しい衣装をもらい、見違える様に立派になっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ