ゴーレムさんに出会った!! 硬化a
「下郎貴様鬼か即刻商品を戻せ! 全額弁償しろ!!」
先程までの呆けた様子と違い突然時代劇かかった激しい語気で叫び、憤怒の表情で目を光らせながらずんずんと男達の前に歩み寄って来る。
「なんだコイツ、わざわざやられに戻って来たか? バカめ」
大男は少女を掴んでいた手を離すと、少女はどさっと草の上に落とされ倒れこみ痛そうに手首を握る。しかしすかさず二番目の子分格が逃げない様に羽交い絞めにして押さえ付けてしまった。
「あうっ!?」
そのまま大男は不敵な顔で目の前まで来た全裸の少年の華奢な首をがっしり掴むと、またもや軽々と持ち上げた。しかし持ち上げられた少年は、少しも動じず無表情で男を睨む。
「どうした、何か言ってみろよははは」
その時、無言で大男を睨む少年のもともと色白な全裸の肌のあちこちが、シュワシュワと炭酸水の泡が弾ける様にさらに透き通る様な大理石の乳白色に変わって行き、みるみるその白い面積が増えていく。
「なんだコイツ、ビビリ過ぎて血の気が引いて行くじゃねーか! あ」
バキッ! グチャッ……
森の中に鈍い音が響く。少年の肌が乳白色に変わって行くと同時に、その体重は加速度的にとてつもなく重くなった。
そして大男が自ら手を放して落とすよりも先に腕の骨を折り、さらにはそのまま落下した靴を履いていない少年の裸足は、大男の足の甲から指先まで軍靴の上から超重量で踏み付け全てを粉々に粉砕していた。とても地味な偶然の攻撃だが言語を絶する激痛であった……
「ぎゃー」
大男は情けない声を上げて、思わず粉砕された足先に力を込めて立とうとしてさらに激痛が走り、一瞬で耐えきれず尻もちをついて倒れこむ。
「……」
だが大理石色の少年は無表情で倒れこんだ大男の太もも辺りを、畳み掛ける様にすかさず凄まじい重さで容赦なく無言で踏み潰して行く。
ベキベキベキ
不気味な音に少女は恐怖で顔を背ける。
「ぎゃあああああ」
大男は一瞬で片腕と片足の大腿部と足の甲と指を粉砕され、のたうち回る事しか出来ない。
「やめろコラ!」
パシュパシュパシュパシュ!
突然の出来事に言葉を失っていたが、正気を取り戻した子分格の男が背負っていた魔銃で全裸の少年を撃ちまくった。銃と言っても、形こそモーゼルKar98kの様なライフル形状をしているが、火薬で鉛玉を飛ばす銃では無い。
魔導士が弾丸に魔力や魔術を込め、魔力が無い者でも魔法が使える様に開発された銃だが、全身大理石の乳白色に変わった少年には何の手応えも無く弾き返されるだけになっている。まるでおもちゃの鉄砲の玉の様にぽろぽろと地面に落ちて行くばかりだ。
「う、嘘だろ」
カチンッ! カチャカチャ……
全弾を撃ち尽くし魔銃弾が込められていたクリップが飛び出したのに、二番目の子分格の男はまだカチカチとトリガーを引き続けている。
「現状回復しろ」
後で物語るが、不本意に無理やり転生させた女神への怒りも重なって……というよりもほぼ八つ当たりの怒りで、少年は全弾撃ち尽くし恐怖で足がすくみ動けない子分格の男にズンズン近寄ると、先程の大男の真似をして容赦無く首を掴み片手で軽々と持ち上げる。持ち上げると言っても、もともと身長差があったので無理やり腕を伸ばして地上から数センチだが。
「うぐうぅ……ぐ、ぐるじぃは、離してくれ」
ギリッギリッッ
少年は苦しむ男を睨み付け、首を絞める力をさらに強めようとした時だった。三番目の少し頼りなさそうな小柄な男がようやく勇気を振り絞り、仲間を助ける為剣を振りかぶると少年の後ろから闇雲に襲い掛かり背中から切り付けた。
「きゃあ危ない!?」
「うわあああああああ死ねえーー!!」
カシィーーーーン!
乾いた音が森に響いた。