表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/1094

どきどきの相部屋、花火の夜b


「でも衣図が怒るのも無理は無いわ、あの丘の向こうの王都のかがり火の中に、塔みたいなのが見えてるでしょう? あれは王様の像なの。あんな大きな物立てるくらい財力があるのに、私達に援軍も出さない。本当に嫌悪するわ」


「確かに大きな建造物ですね。一度観光してみたい物です」


 砂緒とフルエレは遠く見える王都の石造りの城や、塔の様に巨大な像に思いを巡らせた。


「それにしても……貴方達をみんなと一緒に陣で野営させたり、雑魚寝させたりする訳にはいかないけど、本当に二人でここに泊まるの? いいの?」


 リズが二人の顔をちらちら見比べる。


「ご安心下さい、我々二人は今日出会い、既に二人共あられもない姿を晒した仲なのです」

「へ!?」

「誤解さーれーるー。やーめーてー」


 フルエレが顔を真っ赤にして遮る。


「違うんです。襲われそうになってた所を砂緒に助けてもらったんです。砂緒は変な事する様な人間じゃないんです!」(ゴーレムだし……)


「そ、そうなのね、二人が大丈夫だと言うなら大丈夫ね。部屋は沢山あるし」

「あ、そうです、これお返しますね」


 フルエレが腕輪を外して返そうとした瞬間、腕輪は音も無く崩れ去った。


「きゃっ何これ……ごめんなさい、壊れちゃった」

「耐用年数だったのかな、いいの気にしないで!」


 笑顔で許すリズは、館の鍵を渡すと去って行った。



「蜘蛛の巣がー蜘蛛の巣がー」


 ほうきをぶんぶん振り回しながらランプ片手に暗い館を進み、ようやく寝室らしき場所にたどり着くフルエレ。中央には立派なベッドがあった。


「ふう、今日はいろいろありがとう、砂緒に出会えて嬉しかった。明日もよろしくね」


 満面の笑顔になると、パタンと扉を閉めた。


「ふう、なかなか良いベッドですね、私もちろん初めてこういう場所で寝ます物で」

「エー、なんでここに居るの?」


 何故か勝手にベッドに入り込む砂緒の姿を見て、飛び上がる程驚く。


「今寝るといいましたよね」

「そうじゃなくって、それは私のベッド、砂緒は隣の部屋で寝るの」

「あーーーそういう物なのですか、それは失敬した」


 そそくさと何の拘りも無く、部屋を出ようとする砂緒。


「あ、やっぱり待って……」


 ぴとっと砂緒のボロボロの軍服の裾を握る雪乃フルエレ。


「今日は……ここに来て最初の一日目だし、一緒にこのベッドで眠りたい。絶対変な事とかしないよね」

「変な事……? 安来節とか佐渡おけさとかですか? 流石に私も寝ながらそんな事はしないでしょう」

「うん……やっぱり良くわかん無いけど安心した」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ