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きゃあっデンジャラスゾーンに迷い込んでしまった… 下


「ゴクリ……」

(何だここは)


「ぱくり、あ凄く美味しいですよ、あ、アルベルトさんもどうぞ」

(フルエレ君は……見ない方針にした、よし私もそれに続こう! 彼女に恥をかかせぬ為に!)

「お、そうなのかい? それでは一つ、僕も頂こうかな、ははは……」


 ガッチガチに固まったぎこちない動きでサンドイッチを取り食べ始めるが、食べた心地がしないし味もよく分からなかった。


「美味しいですね、ぱくぱく」

「そ、そうだね……」


 しばらく二人は黙々と食べ続けた。




「………………」

「………………」


「…………もう我慢出来ない! 折角フルエレ君と楽しく……四時前だとしてもこんなに明るいのになんと破廉恥な! 二・三人蹴って来ます!!」

「やーめてーーーー!!」

(アルベルトさんが壊れたッッ!! 砂緒みたいな事言い出した……)

「もう食べて早く出ちゃいましょ……」

「少し抗議してくるだけですよ」


「いや、それはそれで通報されるから……ほんとに、ああっ!?」

「うわっ!?」


 フルエレが立ち上がろうとしたアルベルトさんを押し留めようとした瞬間、タマゴサンドがアルベルトさんの高そうなスーツパンツにベチャッと付き、おまけに飲み物が膝から足首にかけてガバッとかかった。フルエレの顔は真っ暗になり斜線が掛かった……




(あああああーーーやってしまった!!!)

「すすすすす、すいませんっごめんなさいごめんなさい!!」


 平謝りに謝った。


「いやいいんだ、僕が悪い、今のは完全に僕が悪い」


 アルベルトさんは液体がかかった部分を引っ張った。


 


「なーそろそろ帰ろうよ、もういいだろ?」


 魔輪を道路横に停車して、セレネが砂緒に帰宅を促した。


「あともう少しだけ、ねね良いでしょう、あと少しだけ」

「お前は……帰宅拒否かよ」

「そうだ、あそこの公園行って散策しましょう!」

「少しだけだぞ……」


 セレネは高い宝石を貰った事もあり、無下に断る事は出来なかった。




 二人は離宮公園の中をフラフラと散策した。


「思い出した……ここはこれからの時間ダメな所だ」

「ん、何が駄目なのですか? モンスターでも出るのですか?」

「いや違うけど、ここは……駄目だって、引き返そう……」

「いや行きましょう行きましょう、何があるのか楽しみです! ふふふふふ」


 砂緒はセレネの腕を掴むと、強引に奥へ奥へと連れて行った。




「あ……そういう事ですか……」


 砂緒とセレネが公園の中に進むと、若い男女があちこちのベンチで絡み合っていた……


「な、分かっただろ、もういいだろ帰ろ」


 不安になったセレネは無意識で砂緒の腕に強く抱き着いていた……


「あっっっ!! 何という事でしょうか」

「ど、どした!?」

「セレネって本当に胸の膨らみがあったのですね……今ほのかに柔らかな感触が……」

「本気で怒るぞ」 




 セレネはパッと腕から離れる。


「実は私、もしセレネが男の娘だったとしても、受け入れる覚悟と準備はしていたんです!」

「そんな覚悟するな」

「そうだ! ここらへんのカップル全てにちょっかい出して廻りましょう! わはははは」


 フラフラと歩き出す砂緒の腕を掴んで必死に止めるセレネ。


「それやったら本気絶交だからな」

「どらどら、良いカップルはいますかな?」


 砂緒は有料双眼鏡の能力を、決して使ってはいけない場面で発動してみた。




(ん~~~どのカップルさんも激しいですなあ、結構結構……ん? あんな所にフルエレの様な後ろ姿が……)

「どした?」


 セレネが砂緒を見ると、信じられない様な怒りとも悲しみとも判別出来ない顔になっていた。砂緒の目には、フルエレとアルベルトがなにか妖しい動きをしている様に見えた……


「ちょっと待ってて下さい、今からブラジルを殺して来ます。止めても無駄ですから」

「お、おい? どうしたんだ??」


 セレネの声も聞かず、砂緒は全速力で走り出した。




「ごめんなさい、拭いても拭いても全然落ちない……」


 フルエレは立ち上がり、冷や汗の出る額を拭った。


「い、いやいいんだよ、本当にいいんだ、こんなの後で洗えば良いからね」

(フ、フルエレ君、ここで密着するのは誤解を招くよっ……天然なのかな何て言えば)




「ブラジル殺す!! フルエレも、フルエレもこんな所にノコノコ来て!!」


 猛ダッシュで走る砂緒の双眼鏡の視界に、ハンカチを持って立ち上がり、こぼれたサンドイッチを回収するフルエレの姿が見えた……


(あ、勘違いでしたあああああ、良くあるパターンでしたあ、恥ずかしぃーーーーーーーー)


 砂緒はアメリカの子供向けアニメのキャラクターの様に、キキッと急ブレーキをかけると、反転してすぐさまセレネの元に戻って来た。


「どうしたー?」

「私の勘違いでした、出ましょう、気分悪いですここ」

「ん???」


 砂緒がようやく出る気になってホッとしたセレネだった。

こんな変な内容の小説なのにいつも読んでくださる少数の方有難う御座います。

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