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セレネ、一緒にプレゼントを買いに行きましょう 下


「おおおーーーーーーーーーーーーーーーーい!! デリカシーゼロかよっ!? 違いますよ、これは砂緒の妄想です。全部妄想です、そんな事実は全く御座いませんでしたっ!」

(ここでそれ言うか!?)


 セレネはこれ以上無いというくらいに赤面しながらも、なんとか平静を装って手を超高速で振った。


「そういう訳で、お詫びのしるしに何か買ってプレゼントしたいのですが……」

「お詫びする前に新たなダメージ作ってどうするよ?」

「しかしセレネがどの様な物で喜ぶのか分からないのです。そこで一緒にプレゼントを買いに行きませんか?」 


 砂緒が指先をくねくねしながら言った。態度からしてどうやら本気の様である。


「ほえ? 私へのプレゼントを私が選ぶって事? それって実はフルエレさんへのプレゼントでしたってオチじゃ無いだろうな?」

「はぁ~~どうしてそんな捻くれた事を考えるのですか? そういう所が駄目な所ですよ」

「何でお前にそんな事言われなくちゃならん」

「どうするのですか? 行くのですか行かないのですか??」

「ま、まあ……くれるって言う物を断る必要も無いかな……」


 セレネは意外にも即座に断るという事は無かった。


「あ、でも店があるしな……イェラお姉さま一人に押し付けるのは悪いしな」

「いやいやいや、行け! 今すぐ行け! どんな事があっても行け! 店なんか私一人で見るぞ! とにかく行け!」


 イェラは突然猛プッシュを始めた。


「ひゃ、ひゃい!? わ、わかりました……」


 セレネはイェラの迫力に押され、行くことに決めた。


「嬉しいです。では私を魔輪(まりん)で商店街に連れて行って下さい!」

「私へのプレゼントを買いに、私が魔輪運転して行くのかよ、何か変だな……」

「魔力が使えず面目無い、連れて行って下さい」


 セレネは何か一瞬迷った様な顔をした。


「あ、じゃあ制服だと変だから、少し着替えて来るわ。すぐに戻るから、待っててくれ」

「……はぁ」


 砂緒は二人共制服のままですぐさま行くつもりだったので、拍子抜けした。


「うんうんそれが良いなっ! 砂緒はいくらでも待つぞ、行って来い!」


 イェラが笑顔でセレネを見送った。



 ―十分後。


「遅いですね……いつになったら降りて来るのか」

「馬鹿なのか、十分で着替えれる訳ないぞ!!」



 ―三十分後。


「三十分経ちましたが、何時になったら降りて来るのでしょうか……」

「ははは、三十分くらい掛かっても当然なのだ!」



 ―一時間後。


「一時間はさすがにイェラも遅いと思うでしょう……」

「確かに遅い……何か得体の知れない敵に襲われ、のっぴきならない状況に陥ってる可能性があるぞ!!」


 イェラも流石に遅いと思い始めた。


「ごめん……待ったか?」


 少し恥ずかしそうにしてセレネが店内に戻って来た。戻って来たセレネは喫茶猫呼の黒いシックな制服とは違い、水色の爽やかな可愛い服を着ていた。普段学園の制服だとか喫茶店の制服だとか黒い色の姿が多いセレネだけに、その着替えた姿はイェラにも砂緒にも鮮烈に映った。


(セレネがすっごいおめかししてるーーーーーーっ、すっごい気合が入った可愛い服着てるーーーーーーーー!!)


 イェラは衝撃の展開に言葉を失った。


「どっかそこら辺に落ちてた服を適当に着ただけだ、砂緒あ、あんまじろじろ見んな……」

(うわ、すっごい嘘ついてるーーーーーーーっ、気合が入っている事を恥ずかしがってるーーーーーーーーーっ砂緒、責任重大だぞーーーーーー!?)


 イェラはドキドキして砂緒を見た。


「セレネ……馬子(まご)にプギャッ」


 一瞬、イェラは実力以上のスピードが出、砂緒を殴り飛ばした。


(それじゃ無い、違う違う、そうじゃない……)


 イェラは首を振り、ダラダラと鼻から血を流す砂緒に、無言で信号を送った。


「ふぉえ? セレネ……その、すっごく可愛いです。凄く似合って……いますよ?」


 砂緒はイェラの表情を確認しながら言った。


「へ、変な事言うな……ホントにどっかそこら辺に落ちてた服を適当に着ただけだっ!」


 セレネは褒められて、赤面しつつ隠しきれない笑顔になっていた……

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