表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

185/1095

美魅ィと璃凪 魔ローダーVS魔ローダーの闘い 下


「い、痛いだろうコラー、絶対に同じ目に遭わせてやるからな……」


 中のサッワは子供とは思えない鬼の形相になっていた。


美魅ィ(ミミィ)様を助けに行かなきゃならないのにぃーーーーー!! お前わぁーーー!!」


 璃凪(リナ)も普段の侍女としての清楚でおしとやかな性格とは、かけ離れて興奮して剣を振り上げた。


「お前が、お前が、お前がぁ!!!!」


 ディヴァージョンは滅茶苦茶に剣を振り回して璃凪のバリオスに攻撃を掛ける。しかしバリオスは冷静に全ての攻撃を剣で跳ね返す。


「弱い!! お前弱いな!! 剣筋も足も腰の動きも全て素人だっ!!」


 最後にバリオスはディヴァージョンの剣を大きく弾くと、ドスッと脇腹に剣を突き刺した。


「うぎゃあああああああああ!!!」


 中に乗るサッワの脇腹に燃える様な激痛が走る。


「まだだだ!!」 


 ドシュッ!!

 璃凪のバリオスは精密機械の様に一切昂る事無く、剣を素早く引き抜くと、今度はディヴァージョンの剣を持つ手を素早い動きで切り落とした。


「ガハッッ!!!」


 遂に機体から伝わる激痛や精神的ショックでサッワは吐血した。


「あひゅー、あひゅー、スピ……ネル……さん……たすけ……」

「死ね……」


 璃凪のバリオスは、膝から崩れ落ちたディヴァージョンの首目掛け、剣を振り上げた。


「む、いかーーーん!」


 デスペラードのスピネルは一旦ザンザスの猛攻撃から引き下がると、いきなり剣をナイフの様にブンと投げ付けた。


「きゃーーーーーー!!」


 恐るべき正確さでデスペラードの投げた剣が、バリオスの手首と肘の間辺りに突き刺さる。


「このぉーーーー!!」


 今度は美魅ィのザンザスが逆上して、剣を振り上げ、大きな一撃を加える。

 バシィッッ!!


「う、嘘……何なのコイツ……何者……」


 美魅ィのザンザス渾身の一撃だったが、デスペラードは真剣白刃取りの様に両掌で巨大な剣を受け止めた。


「何時までもこうもしておれん!!」

「キャーーー!!」


 デスペラードは両手で挟む大剣を力任せに捻りながら、肩でタックルしてザンザスを打ち倒す。


「この剣は使わせて頂く、お覚悟」


 デスペラードは無造作にビュビュっと剣を振ると、ザンザスの右手が飛んだ。


「痛いーーーーーーーーー!!!」

「きっさまーーーーー!! 許さんぞーーーー!! よくも美魅ィ様をっ!!」


 手に剣が突き刺さったままのバリオスが走って来るが、デスペラードは足を曲げてしゃがむと、古武道の様な最小の動きでバリオスを投げ飛ばした。


「きゃーーーーーーー!!!」


 まるで重力を失った様にふわりと飛んで地面に叩き付けられる璃凪のバリオス。朦朧とする璃凪。


「璃凪ぁ!!」


 遂にザンザスとバリオスの二機は地面に倒れたままで、立っているのはデスペラードだけの状態となった。


「ヒャッハー!! ぼ、僕たちに歯向かうとこうなるんだぁ! ヒャハハ、は、早くとどめを刺しましょうよっ! スピネルさん! 僕はこいつらが許せません!!」


 ボロボロのディヴァージョンがよろよろと立ち上がる。


(サッワこいつは……しかし、このまま戦うと……勝ってしまう!? 折角魔ローダーが出て来たのに、もう少し長引かせたい……それにこの敵、この動き……乗っているのは可愛い女の子の匂いがする)


 スピネルは変態の勘、本能で敵の魔ローダーに乗っているのが、可愛い女の子だと直感した。


「うぎゃああああ!? 古傷がぁ!? こここ、こんな時にくっそおお!!」


 突然デスペラードはわざとらしく苦しみ出すと、剣をポロリと落としてしまう。


「!?」

「??」

「どうしました!? スピネルさんマシントラブルですか??」

「い、今よ璃凪、逃げるのよっ!! くやしいけど……」

「美魅ィ様、は、はい!! 次は絶対に……くっ」


 ザンザスとバリオスは煙幕をもくもくと放出すると、物凄い勢いで逃走を始めた。


「あっ! 奴ら逃げますっ!! 逃がすかっ!! イテッ、くそっ!!」


 ガクガクとしながらも執念でディヴァージョンが追おうとする。


「待てっ! これまでだ! 歩兵の皆さんにも撤退命令だ」

「く、くっそう……次は絶対に許さん……」


 直後、サッワは気絶した。変態として女の子を殺したくないだけのスピネルだったが、結果的に正しい判断となった。


「こいつを……抱えて帰る訳か?」


 スピネルは操縦席で激しくうんざりした。何故か笑う弁当屋の娘の顔が浮かんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ