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魔戦車b 逃げ込んだ先も……


「ガハッ」


 訳も分からずフルエレは目に涙を湛え周囲の状況を見渡した。


(うっ)


 ずらりと腕を組んだ屈強な男達に囲まれていて、不安な中砂緒の顔がただ浮かんでは涙が流れた。


「ごめんなさい痛かった? ただの女の子じゃないのっ何でここまでするのよ!」


 無理やり背の高い屈強な男達を押しのけ、まともな若い女性が飛び出てフルエレを抱き寄せる。


「お、女の人だっわ~~~ん、お女の人っ」


 地獄に仏みたいな感じで同性の登場と優しい言葉掛けにホッとして子供の様に泣きじゃくってすがり付くフルエレだった。



「きっと……こんなに可愛いんだもの、女奴隷として言葉に出来ない程酷い事をされて来たのね……あ、そこ想像しない! 想像禁止!」


 突然周囲の男共の顔に指を指す女性。


「自分で言っておいて」

「なあ?」


 男共が顔を見合わせた。


「女奴隷じゃ無いです旅人です、何もされてないです! 砂緒(すなお)が助けてくれたんです! ここに行って逃がしてもらえって」


 するとひと際大きく屈強な皆から大将と呼ばれている男が話しかける。


「ごめんな痛かったかい? 俺あ、衣図(イズ)ライグってんだ。皆からは大将とか呼ばれてる」

「私はリズよ、よろしくね」


 見た目と違い取って食う連中では無いと判って、突然恥ずかしさが出て来て急速に冷静さが戻るフルエレだった。



「は、はい大丈夫です。砦に入れて下さって有難うございます……私は雪乃フルエレです、旅の行商人です」


 白い清楚なドレスを着た金髪の美少女が旅の行商人とか言い出して、それはそれで疑わしくて顔を見合わせる男達。


「安心しろや、部外者ならすぐにこんなトコ逃がしてやるからよ。その前に通って来た外がどんな状況だったか少しだけ聞かせてくれねえかなあ?」


 巨体の身を屈め傷だらけの怖い顔を意識してか、引きつって作り笑いで聞いて来た。


「行商の旅をしていた時に、南の森の中で悪いニナルティナの兵隊さんに見つかって追いかけられて……捕まってその……吊り下げられたりした時……」



「大丈夫かその展開って?」

「い、いえ全然ぎりぎり大丈夫だったんです、エッチな事とかされてません!」

「お、おう良かったな。それで?」

「突然砂緒が、彼が現れて兵隊さん3人を瞬殺したんです」


 実際には二人気絶、残りは逃走であるがフルエレには同じ事だった。


「マジかよ正義のヒーローか? それでその後何かあったか、どうやってここまで?」


「危険だって事で止む無く魔輪を奪って北上して、走ってると敵が多いみたいだって砂緒が言うので私はこの砦に向かい……彼は私を庇って本隊がいるっぽい方に一人で敵を止めて来るって言って……」


 再び涙ぐむフルエレ。



「ちょっと感動したわ凄いじゃない、その砂緒って子は美形なのね?」

「……そんな事どうでも良いだろ」

「………………ふ、普通いえ中の上?」


 皆はなんとなく悟った。


「敵が多い? 敵がどんな様子だ?」


「はい……南の森を抜ける時に砂緒は伏兵が沢山潜んでるようだって、それに北にも兵がいて誘い出して全滅させるのを狙ってるんじゃないかって言っていました」


「あちこち伏兵かあ……のこのこ出撃してたら挟み撃ちされるトコだったな」

「でもこのままじゃ結局やられちゃうわ!」

「破れかぶれで出てっても結局全滅って訳か」


「最初からこっちが数が少ないからな~」

「文句を言っても応援は来ないのよ! 疑う訳じゃないけど情報が正しいのか物見を今すぐ出しましょうよ」

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