表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/1095

魔戦車a むぐぐっ


 ズザザザザザザーーー!!

 雪乃フルエレは必死過ぎて短時間でハンドル操作が向上したのか、運転が難しいサイドカータイプの魔輪(マリン)の急ブレーキをUターン気味に曲がりながら掛けても見事倒れる事は無かった。そしてフルスピードからギャギャギャッと横滑りにスライドしつつ、砦の浅い堀の中に落ちるギリギリ寸前で見事停止した。


「す、すいませんっ、ぜんぜんっぜんぜんっ怪しい者ではないです! 助けて下さい!!」


 フルエレが唇を震わせ必死に叫び終わるのとほぼ同時に、ガコッと先の尖った木材で守れた砦の柵の一部がスライドして開く。


(助かった!?)


 それを見てほっとしてしまうフルエレ。


「お前かっ!」

「大人しくしろっ!」


 すぐに開いた扉の中から、鉄のお鍋を頭に被ったりその蓋を盾代わりに持った様な粗末な装備の数人の屈強な男達が一斉に飛び出し周囲をキョロキョロ見回す。当然その間も人々の間をビュンビュンと魔法や矢が飛び交い、あちこちに突き刺さりドゴンドゴンと爆発音が響いている。



「あ、あの……」


 フルエレは飛び出た男共に目を合わせず恐々声を掛けた。


「魔法防御展開!」


 見た目に寄らず割と用心深いのか、華奢な少女を目の前にしても鉄の盾やお鍋の蓋の上からさらに魔法攻撃を防御する為の魔法陣を透明なビニール傘の様に展開する。

 シュバーーッ!


「こいつ魔導士か?」

「違いますっ!」


 フルエレが即答した途端に詠唱が聞こえた。


拘束輪(リストレイン)!」


 シュババッ!!


「ふぐっぐぐぐ、ふぐーーっ!?」


 突如黄色い光の輪っかがフルエレの口をサルグツワの様に締め付けるのを手始めに、次々に光の輪が飛び少女のか細い全身に絡まり立っていられず溜まらずフルエレは転倒した。

 ドサッ


「ほいさっ確保っ!」


 すかさず屈強な男が米俵でも担ぐ様にがさっとフルエレを肩に抱え柵の入り口にそそくさと入り込む。



「ふぐーーーっ!!」

(ぎゃーーーっやっぱり捕まったあ!?)


 一転してフルエレに死の恐怖と絶望感が溢れ、涙を流し首を振り続ける。


「ふぐっふぐっ」

(ごめんなさい、ごめんなさい……)


「底面良し! サイドカー内部良し!」

「お馬さんこっちだよ~~」


 全く見た目に寄らず慎重な一団は、今度は馬の鞍と魔輪(まりん)サイドカー内などに爆発物が無いか詳しく点検し、その上でそそくさと柵の中に巨馬と魔輪を押し込む。

 ガコッ!

 直後に尖った木材が突き出る木の柵の扉は閉じられた。



「優しく置けよ!」

「ほいさ」

解除(リリース)!」


 詠唱が聞こえるとフルエレのサルグツワと体を拘束していた光の輪は全てスッと消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ