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ニナルティナ湾タワーを守れ!! エレベーターで…c


 フルエレは呆然と惨劇を見ているしか無かった。しかしその粉塵の中に砂緒が乗る魔戦車が疾走していた。


「前が見えないんですけど!?」


 メランがキューポラから外に顔を出して、目を半開きにしながら周囲を見渡す。


「とにかくもう一本残ったタワーに向かって下さい、そこで降ろしてもらえば後は逃げてもらって結構です!」

「正気なの!? 今一本倒しちゃったのよ! 何で残りのもう一本に上るのよ!」

「そうですよ、馬鹿はもう一度同じ事を繰り返すという習性を利用するのです!!」


 砂煙の中に隠れ、魔戦車はぎりぎりもう一本のタワーに接近すると、さっと砂緒が飛び降りメランに手を振った。


「気を付けて! これが最後なんて嫌ですよ~!」


 メランも切ない顔をして手を振る。


「愛です愛、では!」


 砂緒は久しぶりに手刀を切るとタワーの中に吸い込まれて行った。


 ギュワーっと急発進する魔戦車。とにかく踏まれない様に二体の魔ローダーから離れ、サーペントドラゴンに見つからない様に細心の注意で逃げまくる事にした。


「さて、階段を上るのはしんどそうですが……」


 薄暗い非常階段を見上げてぞっとする砂緒。


「お客様……魔法力エレベーターが最上階の展望台までご案内します!」


 砂緒は声のする方を思わず見た。なんと聞き覚えのある声だと思えば、最初にこの世界に導いた女神だった。


「何かご不満がありそうでしたので、遅れましたけど違う世界で再出発するかどうかお伺いに参りました……」


 女神はエレベーターガールの顔でにっこり笑った。


「冗談言わないで下さい! とにかくエレベーターガールなら上に案内なさい!」

「それが答えなのね、分かりました。それではお乗りください、最上階展望台に参りま~す」


 律儀に白い手袋の手を上に向ける女神。


「………」


 無言で階数表示のランプを見つめる砂緒。


「今私の制服をじろじろ見ていますね、こういう制服が好きなのでしょう? 今度フルエレさんに着てもらえばどうでしょうか?」


「余計な事は言わずに早く着きなさい!」


 余計な事を言われて無茶な事を言い返す砂緒。


「到着しました、最上階展望台で御座いま~す、あっ!」


 エレベーターのドアが開いた途端に、砂緒は女神の事など一切無視して展望室の巨大なガラス窓に向かって走り出した。


「ははははは、案の定馬鹿は同じ事をしますね!」


 約百メートルのニナルティナ湾タワーの展望室の窓から下を見ると、約二十五メートルの三毛猫魔ローダーが、タワーの鉄骨を蹴ったりタックルしたりしていた。

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