ニナルティナ湾タワーを守れ!! エレベーターで…
「しつっこい! なんで追いかけて来るのもう!」
雪乃フルエレの魔ローダーはなんとか誰も踏まない様に苦労しながらも、港湾都市を再び北上し港に向かっていた。
その方が街の中よりも被害が少なくて済むと考えたからだが、もう残り二十匹前後のサーペントドラゴンは放置したままだ。
まだまだ各地で赤い炎が見え、煙が立ち上っている。
「さあさあ、逃げているだけでは何も解決しませんよ! どうするんですか? この惨状を!」
三毛猫仮面の乗る魔ローダー、ル・ツーは魔車や馬車を蹴り、踏み、剣を振って建物を壊しまくりながら突き進む。
「どうするも何もそもそも私の責任じゃありません! 壊した者が悪いんです!!」
通信機能があるのか無いのか不明なので、二人とも外部魔法スピーカーで会話している。
「確かに正論ですね! ではお言葉通りに壊して壊して壊し続けましょうか」
そう言うとル・ツーは見えて来た二本のニナルティナ湾タワーの内の、一本に向かって突進を始めた。
「ちょっとどこに行くの!?」
今まで後ろを追いかけて来ていた三毛猫が不意に違う方向に走り出してびっくりする。
「そーら! こんな物は倒してしまいましょう! ははははは」
三毛猫の乗る魔ローダーは、複雑に鉄骨が組み合わされたニナルティナ湾タワーの根元部分にいきなりタックルを食らわす。
グギイイイイイインという鈍く不気味な音がする。
「わわっ何をするの!! 中に人が居たらどうするのよ!」
フルエレは心配したが、既に避難済みで中に人は居なかった……
「そーらもう一回!!」
再びタワーにタックルを食らわすル・ツー。グギイイイイイン! 鈍い音と共に少し傾き始めるタワー。
「やめなさいって言ってるでしょーーーーーっ!」
堪らずフルエレの魔ローダーが剣を持つ手首を握り、三毛猫の魔ローダーの巨体を押さえつけにかかる。
「ようやく戦う気になってくれましたか!」
ル・ツーは押さえつけて来たフルエレの魔ローダーの腰を掴むと、凄いパワーで相撲の様にぶん投げた。
「きゃああっ!」
遠くの海岸に投げ飛ばされるフルエレの魔ローダー。ドドドーンと凄まじい轟音が起きる。




