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ニナルティナ王家金銀財宝の行方……


 三毛猫の魔ローダー、ル・ツーがニナルティナ港湾都市に上陸した同じ頃、根名(ねな)ニナルティナ王を惨殺して、その金銀財宝を奪った元家臣や護衛の兵士を乗せた貨物船は、ようやく北の小島の南側の浜に到着していた。


「ここまで来れば一安心じゃ。それに今街は大変な騒ぎになっておる。この島に関心のある者などおるまいて」


 元大臣の一人は遠く対岸に立ち上る沢山の煙を見ながら他人事の様に言った。


「確かにあの魔ローダーという物は凄そうじゃ。しかし何時になったら海を越えた我らニナルティナの飛び地に行く大船は来るのじゃ? おい衛兵何時になったら来る? 早うせい」


 自らの手によってもはや上下関係等、無意味にも関わらず元大臣は横柄な態度で命令する。


「大船など来ません!」


 若い元衛兵の一人が笑いながら言った。


「何!? 貴様なんという態度じゃ!」


 元大臣の一人が言った直後、若い元衛兵達が一斉に元大臣達に斬りかかり、突き刺し始めた。


「ぎゃああああああああ」


 無人島に元大臣達の叫び声がこだまして消えていく。根名ニナルティナ王を惨殺した元大臣達を、さらに今度はその元衛兵達が惨殺した。


「よし、積荷を全て陸揚げしよう! ここにはいにしえの墓や岩組が無数にあり、全て盗掘済みの物だから誰も関心が無い。それのどこかに隠しておき、ほとぼりが冷めたら取りに来るのだ。小さな物は埋めて置け! 急げ!!」


「おおっ」


 若い数人の元衛兵は金銀財宝を岩組の根元に置いて草で隠したり、小さな物は分散して方々に埋めたりした。


「こんな物で良いだろう。これだけあれば一生遊んで暮らすには十分だ。想像しただけで楽しくなるぜ」


 男達は金銀財宝の中から金貨や宝石など、小さな物でも高額かもしれない用途不明な骨とう品を除く、今現金化して直ぐに使えそうな物は所持していた。


「よし、浅瀬を通って半島に渡り、リュフミュランに抜けよう。あそこは今は手薄だ、女子供しかいないぞ! リュフミュランは妙に美人が多いらしいぜ、ついでに楽しんで帰るか? ひひ」


「それもいいだろうなくく」


 男達は金銀財宝の夢を見て笑いながらひたすら東に走り、浅瀬を通り以前有未(うみ)レナードが、ライグ村の義勇軍やリュフミュラン正規軍をおびき寄せて壊滅させようと罠を張っていた、魔ローダーの偽装発掘現場まで到達していた。


「急げ!」


 カチッ!


「?」


 ドドドドドドーーーーーン!!!

 笑いながら走っていた男達は、有未が仕掛けていた地雷タイプの魔法瓶を踏み全滅した。こうしてニナルティナの金銀財宝は永遠に行方知れずになったという。

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