討伐部部長、長い髪の美少女の戦いb
「だから危ないと言っている! 早く逃げるんだ!」
少女は逃げるのを止め、剣を掲げながら叫んだ。
「出でよ流氷、卑しい口を塞げ!!」
少女が叫ぶと回転しながら空中から氷の塊が現れてそれが結束し始め、すぐに巨大な流氷サイズになると竜の大口を塞ぐ様に突き刺さる。
「はあああああああああ!!!」
巨大な竜は何が起こったか理解出来ず、もがもがしながらなんとか氷を吐きだそうとする。
その瞬間を見逃さず、剣を持った少女が物凄い運動神経で周囲の建物のでっぱりを足場に、タンタンと最上階までジャンプの連続で登りきると、そのまま屋上を全速力で走り抜け、竜の口に突き刺さった氷に飛び乗る。
「デタラメだ!!」
兵士が驚嘆するのも気にせず、少女は気合を入れてジャンプすると大きく剣を振り上げながらクルクル回転する。
「うおおおおりゃあああああ、大雪山斬りぃいいいいい!!!」
回転しながらそのまま、もがくサーペントドラゴンの脳天に斬りかかると、剣から巨大な氷の刃が飛び出て少女が自ら魔法で呼び出した、口に挟まる氷の塊共々たたっ斬った。
そのまま脳天から首元辺りまでを斬られてズドーンと轟音を立てて横たわる竜。すたっと着地した少女はふわっと広がった長いスカートをすっと押さえる。
「凄い……信じられない。何者なんだ……」
「だからユティ学討伐部だと。私達はいつでも新入部員を募集しているよ!」
「部長神っス!!」
「部長はこれでもS級ランク冒険者なんだよ!」
部員と思われる少女達が手を組み目をハートにして剣の少女を絶賛する。
「S級と言えば国を救う英雄クラスの者にしか与えられない……そんな凄い子なのか……」
「で、ではこの場はこの子達に任せよう、行こう皆!」
兵士達が避難民を誘導して立ち去って行く。それを無言で見送った直後にがくっと片膝を着く剣の少女。
「大口叩いちまったけど、五匹が限界だと思う……あんた達も手伝いな!」
「ええ!? 私ら部長の足元にも及びませんけど」
「死ぬ気で戦いな。手ェ抜くと許さないよ!」
部長と呼ばれる少女は剣を再び構え直し、巨大な竜達に向かって走り出した。




