姫乃ソラーレ機転スピーチ
「ダァ~~ム、ダムダムダムダムダムダムダムダムダムダムダムダムッ! そして時空が動き出す」
朱金剛の操縦席に戻った砂緒は超高速の早口で叫ぶと、その通り時間が動き始めた。
パッカァ~~!
姫乃ソラーレが自ら被っていたX子の仮面を取り去り、その顔を白日の下に晒した。
「え?」
と、自らが掴んでいたハズのX子の仮面が、何故か妖しいパピヨンマスクに変わっていて、内心ドギモを抜かれた。
(何故、これは一体!?)
『あーーーっと、X子の仮面の下から現れたのは、なんと雪布留ちゃんと全く同じ顔だぁーーっ!!』
「アンタ誰?」
突如場内アナウンス役を買って出たメランが驚きの事実を伝えた。
ざわっ
「え、どゆこと? X子さんの正体は雪布留さんの双子??」
「違うわよ、X子の正体は雪布留さんのクローンなのよ」
「違うわよ、本人が分裂したのっ!」
わいわいきゃうきゃう
乙女達は衝撃の正体にざわめき倒した。
「むぐーっむぐーーっ!!」
(ちょ、ちょっと目が見えないよ、口も縛られてる!? 一体これは何なのよっっ)
ジタバタッ
視界を塞がれた雪布留が演じるパピヨンちゃんがバランスを崩してコケかけてしまうが、足元で控えるセレネが危うく彼女を支えた。
「ななな、んじゃこりゃーーっ!?」
「むぐーっ、うぐーっ」
(早くコレを解いて!!)
バタバタ
セレネはセレネで、先程まで勝ち誇っていたパピヨンちゃんの顔が、何故かX子の仮面に変わっていて毛が逆立った。セレネは紅蓮アルフォードに次ぐ強さの戦士であり、彼女の動体視力で見逃す地上の動きなど無かったからだ。
「兎歩これは一体?」
姫乃はパピヨンマスクを握りながら、戸惑って倒れたGSX6Fの操縦席内に潜む兎歩に語り掛けた。
「我が女王よ、我にも何が何だか分からないぽ。超常現象としかぽ」
普段UFOに乗ってる兎幸が頭をかしげた。
『あーーっと、何故かパピヨンちゃんもジタバタして会場が一瞬でカオス状態だぞーーっ!!』
「何故お前が急に実況してるのかの方がカオスだにゃ?」
猫呼は両手を広げた。
「ムムッこれはいけない!」
砂緒のモニター画面から、セレネがX子(※中身は雪布留)の仮面を剥がそうとしているのが見えた。
「砂緒、コレをX子ちゃん(※姫乃ソラーレ)に渡して!」
「分かり申したっ姫乃っコレを使いなさい!!」
砂緒は手を伸ばし、魔法マイクのカールコードをびよーんと伸ばして姫乃に渡した。
ぱしっ
(コレで私に何を言えと?)
『セレネッ手を離しなさい!!』
どビクッ
突然姫乃が雪布留、つまり雪乃フルエレ女王と全く同じ声で叫んで、セレネは動きを止めた。
「えっえっ雪布留さん?」
セレネは手を止めたままキョロキョロしてしまう。目の前にはジタバタしたX子の仮面を着けた少女が……
『皆の者静まりなさい、この場はパピヨンちゃんこと美人で有名な生徒、雪布留が解説致しますわ!』
「え、パピヨンちゃんって雪布留さんだったの?」
「え、そこから??」
『セレネ、その方はまごう事無きX子さんです。その方のプライバシーを考慮して目と口に布を巻いております。決して仮面を剥がさぬ様。つまり今わたくしはスナコちゃんと組み、入れ替わり超奇術を披露したのです!』
シィ~~ン
「え、どゆこと?」
『あーっと雪布留さんのスピーチに会場中がポカーンだ!』
メランも戸惑い気味だった。
『戸惑うのも無理はありません。わたくしがあれ程片ヤ脱ギデスマッチを主張していたのですから……しかしあれは狂言だったのです。我らの同盟と東の地は決して争う物では無い、その気持ちを皆の衆に伝えるにはどうすれば良いか……それで思い付いたのがスナコちゃんと一緒に入れ替わり超奇術を開催し、皆を楽しませる事だったのです』
ざわっ
「な、なんやよーわからんが、楽しかった様な気がする」
「私も、何故かハートフルな気持ち……」
「さすが美人で有名な雪布留ちゃんね」
姫乃の強引な力技スピーチは圧倒的な説得力を生んだという。
ぱちぱちぱちぱちぱち
会場からは拍手が巻き起こっていた。
『ちょ~~っとまったぁあああ!!』
が、雰囲気を叩き壊す様に、謎コーチNがメランの魔法マイクを奪った。




