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貴方の事は全力で守ります……その代わり分かってますね? えっ キラリ


 ー東の地神聖連邦帝国聖都ナノニルヴァ


「最近姫殿下にお会い出来ないのはどうした事でしょうか」


 姫乃ソラーレに奏上に来た家臣が、弟紅蓮(ぐれん)アルフォードに追い返されそうになって困惑する。


「全て僕が姉上に伝達すれば良いから、君は必要な事だけを言えば良いよ」

「ワシもおるのじゃ」


 紅蓮の後ろから新妻であるクマミミ少女抱悶(だもん)も出て来た。


「いや、しかし直接にご相談したき事も!」

「しつこい! 家臣は御簾(みす)越しにでも姉上に会えるだけでも喜べ」

「みす越しでは御表情も」

「それ以上言えば斬る!」

「ひっそれではまたっ」


 家臣は恐れをなして出て行った。


 カシャッ

 しばらくしてその御簾をめくって、カツラを被ったサッワが出て来た。


「あのー師匠、いつまでこんな事を俺にさせるんでしょう、生きた心地がしませんが」

「うるさい! 姉上が新たな和平のヒントになるかも知れないと、交流試合のセッティングまでしてシューネの奴に内緒でセブンリーファ島まで行かれたのだ。お前はそこで好きなコスプレでも楽しんでおけ」


「いや俺、制服は集めてたけどコスプレはしてないから。てか危険過ぎないかソレ?」


「今頃姉上はどうしている事か」

「姫乃がおらぬと寂しいのじゃー」


 紅蓮は遠い目をして西の空を見ながら、抱悶の手をそっと握っていた。


「いや話聞けよ」



 ーユティ学園屋上入口


「リリース!」


 カチャッ

 X子は開錠魔法でドアを開けると、スナコと共に誰も居ない屋上に登った。


「……つまりX子、君はいや貴方は……えっと何でしたっけ?」


 X子は豪快にコケた。


「スナコ、貴方はつまり砂緒(すなお)が女装した状態なのですね? つまりこの地では貴方しか知らない者です」



 ペコッ

 スナコは隠し持っていた炭酸水を二つ開けた。


「つまり雪乃(ゆきの)フルエレに似たあの方が、仲間にすらナイショで単独この地にやって来たという事ですか?」

「そうです……たとえ誰も聞いてなくとも名前は控えて欲しいのです」


 そう、X子はスナコこと砂緒が、主人雪乃フルエレと同じくらい密かに愛する聖帝の一人娘、姫乃ソラーレその人であった。


「言えませんよ。障子に耳ありふすまに目あり、どんな事で命が狙われるか。ここは貴方にとって敵地ですからなあ」


「敵地だなんて! わたくしはその様な事は思っておりません、友好国だと」

「フルエレと同じ様な寝ぼけた事を言うとりますなあ。貴方がそうでも、両国とも部下や家臣などに尖ったアブナイ奴らもおりますからなあ。貴城乃(たかぎの)シューネみたいな」


「そんな、あの子はそんな悪い人物ではありません!」

「あの犯罪者的な妖しい目付き絶対悪人ですよ、貴方は騙されております」

「同じ顔してるのに悲しい事言わないで下さい」


 主人公砂緒と姫乃の幼馴染、重臣貴城乃シューネは全く同じ顔をしている。それは雪乃フルエレと姫乃ソラーレが同じ顔をしているのと、何故か共通していた。



 じーっ

 突然スナコはX子の身体をまじまじと見始めた。


「な、何ですかおぞましい」

「その制服はどうしたんですか?」

「サッワのコレクションから借りました」


 ブーーッ!

 スナコは飲みかけの炭酸水を吹いた。


「オエーッ本当ですか? 貴方程の美しい方をなんという汚い物で包んだのですか」

「大袈裟です。確か洗濯してないからと大変恐縮してましたが何も感じません」


 ゾゾゾッ

 スナコの全身に寒気が走る。


「感じろて。大変危険です、制服に何か付着してたらどうするのです?」

「何かって何ですか?」


 にこっ

 Xは天使の笑顔で聞いた。


「……そ、それはその……体液とか」

「体液って、何ですか?」


 にこっ

 さらに笑顔で聞いて来た。


「た、体液言うたら……これじゃーっ!!」


 ガバッ

 突然スナコはむかしの少年マンガの様にXに襲いかかる。


「キャーーーッ!! やめなさい」

「ウッッゲホッサッワの臭いが!? オエーッ」

「どうしたのですか?」


「ゼェゼェその制服を着ている限り無理な様です」

「何が?」



「貴方今何歳でしたっけ?」


 シィーン


「女性に年齢を聞くとはデリカシーの無い! 20代……前半です」

「20代前半の熟れ始めの肉体に、10代の女学生の制服ですと? はぁはぁ」

「ど、どうしたのですか落ち着きなさい」


 パシッ

 再び異常興奮を始めたスナコは鼻に洗濯ばさみを装着した。


「これで何とか。貴方の事は全力で守ります。その代わり……分かってますね?」

「分かりません!? 落ち着きなさい!」

「い、いやもう辛抱たまらん!! うりゃーーーっ」


 ガバッ! スナコが再びXに襲い掛かったその時。

 キラリ

 スナコのはるか後方の空に光る物があったので御座います……

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