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魔呂強奪……


『その機体こそ新たな時代を築くと最新の技術が惜しみ無く投入された最新鋭機なのですよフフ』

『でもこの見た目じゃねえ』

『私は凄く気に入ったわ!』


『と言う訳で、この四機の機体を船から降ろす事を御許可願いたい!』

『と、言いますとどの様な手法で降ろすのですかね?』

『貴様に答えたく無いが、テスト魔呂パイロットが港に降ろす事になりますな』

『んだったら、操縦者乗らんゆーっとったのが嘘になるじゃろが』

『魔呂専用クレーンでも無くば、誰かが乗らねば降ろす事は不可能でしょう』


 その後も不毛なやり取りが続いた。

 ピコーン!

 その時半分寝かけていた雪布留(ゆきふる)が両手を合わせた。


『あ、じゃあ私達が操縦して降ろしてあげるわね、セレネハッチに近付けて頂だいな』

『お、それナイスアイディアです』

『まさにコペルニクス的転回ですなあ』


『え? いや……』


 ウゥイーン

 シューネが戸惑うのも無視して、ル・ツーは度派手な四枚羽を持つ鳳凰騎(ほうおうき)の前に立った。


「セレネ、私を手のひらに乗せて操縦席に!」

「おいさ」

「雪布留落ちてはダメですぞ」



 バシャッグィーン!

 雪布留は何の躊躇も無く開いたハッチから手のひらに飛び降りた。

 ぴょいーん!

 そのまま鳳凰騎の外部ロックを探り当て、簡単にハッチを開けてしまう。

 バシャッ!


「おぉさすが魔法器械好き少女という忘れ去られた特技が生きましたなァ」

「どらどら? ここが座席ね」


 ピタッ

 雪布留の実は色っぽいお尻がシートに吸い込まれた。

 むにゅ


『どうですか雪布留さん?』

「こうかな?」


 シュイーンキュイーーーンビューン!!

 雪布留が操縦桿を握ると、途端に鳳凰騎の各部が光り始め、両目が輝いた。

 シュインッ!


『嘘みたい、この機体何故だか私のお尻にぴったりフィットするの……操縦桿も凄く握りやすい蛇輪(へびりん)みたいだわ!』

『そりゃあ良かった』

『まさにシンデレラフィットですなあ。次はセレネをあの機体に乗せてしんぜよう』


『……お、おいお前らコラ』

「シューネさま良いのでしょうか?」

「良いも何も若君でもいない限り、セレネ達を止める術が無い」

「は、はぁ」


 狼狽えるシューネをよそにセレネと操縦を変わったスナコが彼女を朱金剛(しゅっこんごう)に導く。

 グイーン!


「あ、しまった! お前魔力が無いのにどうすんだよ?」

「ご安心を、この様な事態に備えて大型蓄念池(ちくねんち)を装備してありもうす」

「お前のクセに流石だな」

「この程度は当たり〇田のクラッカーです。中村〇水だけに!」

「良く分からんがとりゃっ!」


 シュバッ

 セレネも開けたハッチから中に滑り込んだ。


「へーこれが朱金剛か、神聖連邦のくせにそこそこいー機体じゃねーかよ!」


 ウィンゥインゥインシュイーン!

 鳳凰騎に続いて朱金剛も瞳が妖しく輝いた。



『あ、またまた良い事を思い付きました。この達磨太師みたいな奴も私達が陸揚げしときましょう。私が肩を持つのでセレネさんは足首を持って下さい』


『お前今日冴え過ぎだろ、よっこらしょ!』


 ぎゅっ

 セレネの朱金剛とスナコのル・ツーは、まるで怪我人でも持つ様にGSX6Fを持ち上げた。

 どさっ!

 そのまま無造作に甲板の上から岸壁に投げ捨てる。


『お、お前ら覚えとけよ……』

『え、何か言いましたか? そらっもう一機!!』


 ドシャッ!

 二機目を投げ捨てると、三機は遂に大型船の甲板から降りた。

 のっし



『おいお前らどこへ行く!』

『はぁどこに行くもあたしらが運んだろ言うとんじゃい!』

『セレネガラが悪過ぎよ、シューネさん決して盗む訳じゃないから、ぷっ』


『フルエレ陛下、何故今笑ったのですか?』

『笑ってないわよ』

『さ、皆でだれが一番先に学園に着くか競争しましょう!』


『お、いいねえソレ』

『セレネスナコちゃん、街の建物を踏み潰しちゃダメよ』

『分かってますって、海岸線の浅瀬を行きますから!』

『よ~しいっくぞ~~』


 バシャバシャバシャッ

 こうして白昼堂々と神聖連邦の旗騎は盗まれた。


「どうされるのですか!? 聖都におられる聖帝陛下にも姫乃ソラーレ姫殿下にも大目玉を食らいますぞ」

「そんな程度ではすむまい。まず極刑だ」

「そんな!?」


「ふっ私がなんとか取り返そう」

「まだ秘密兵器の君がいたか猫」

「今の私は謎の仮面のコーチNだっ!」


 頭頂部にネコミミを装着した謎の仮面の男は不敵に笑った。

お読み頂いてありがとうございます。

蓄念池(ちくねんち)……魔力が使えない者でも魔力を貯めて魔法器械が使える様になる便利アイテム。魔法ランプ用の小型の物から乗り物用の中型、魔ローダーに装着する大型の物、大型船用の超大型の物がある。武器である魔法瓶と原理は同じ。

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